第4話 建国の足掛かりにせよ!
この作品では、会話文の前に登場人物名を表記す形式を採用しています。
読みやすさを重視したこと、そしてこの物語ならではの世界観を表現する
ための工夫です。もしこの形式が合わないと感じた方は、そっとブラウザ
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丘の上の城を見つけてから、空気が一変した。
黒い煙。崩れた城壁。
そして、門の前をうろつく異形の影。
甘蔵「……あれ、完全に魔物の巣になってるよね?」
俺がそう呟くと、光秀が頷く。
光秀「ええ。あの人とは思えぬ動き、甘蔵殿の言う通り人外のものとみて、
間違いござらぬ。しかもかなり数が多い。」
信長は腕を組んで、満足気に笑った。
信長「丘の上、川も近い。立地は申し分ない。あれを奪い返せば、
城を建てる手間が省けるというもの。国づくりの拠点となろう。」
甘蔵「いや、奪うという手間が増えてるんだけどね!?
見てよあれ、絶対にヤバイやつだよ!」
光秀も冷静に分析する。
光秀「確かに、あの位置は戦略的価値が高い。
人外のものが占拠する前は、人の城であったのでござろう。」
そんな俺の訴えや光秀の分析をよそに、信長はすでに前へ歩き出していた。
信長「甘蔵よ、あれは良い城じゃ。
あの丘の形、周囲の地形、風向き……すべてが理想的じゃ。
魔物ごときに譲る理由がどこにある。」
甘蔵「さすがに、この状況じゃ、理由しかないよね!?」
光秀が俺の肩に手を置く。
光秀「甘蔵殿。殿はああ見えて、合理的な判断もされます。
つまり――あの城は、本当に良いのです。」
甘蔵「……光秀さんまで……。」
甘蔵「それに、奪い返すって言っても……たぶん、
俺たち3人じゃ無理だよ。」
信長は胸を張って言う。
信長「3人おれば十分じゃ。」
甘蔵「戦国武将の基準がすごい!」
光秀が静かに言った。
光秀「甘蔵殿、ご安心を。いきなり突撃するのは無謀である故、
まずは敵の数や種類、動きを観察し、勝機を探るべきかと。」
甘蔵「そうそう、それそれ!そういう冷静な意見待ってたよ!
でもね……光秀さん、冷静すぎて逆にチョット怖い。」
信長は堂々と歩き出して言う。
信長「よし、実践躬行!
偵察じゃ。余が見てまいる。」
甘蔵「3人の誰が偵察に行っても危ないだけだよ!!」
しかし信長は止まってくれない。
信長「甘蔵、案ずるな。余はこう見えて、
戦場では一度も死んだことがないのが自慢でのぅ。」
甘蔵「いや、それが当然だから!つーか、死んだことあるんかいな?」
光秀が俺の肩に手を置いた。
光秀「甘蔵殿。信長様は、こういう時こそ最も輝くお方です。」
甘蔵「いやいや、輝かなくてもいいから、
安全な場所にいて欲しいのですけれど!!」
それでも信長は止まらず、丘の中腹まで進んだ。
そして――
信長「……ふむ。あれは“魔物”というより“獣”に近いな。」
信長が低く呟いた。
俺と光秀もそっと覗き込む。
門の前にいたのは、
巨大な狼のような魔物――しかし、動きは鈍く、警戒も甘い。
信長は偵察を無事に終えて戻ってきた。
信長「光秀、どう見る?」
光秀「……知性は低い。群れで行動しているようですが、
統率は取れておりませぬ。」
信長「つまり、弱いと。」
光秀「信長様、断言が早すぎます。」
俺は震えながら言った。
甘蔵「いや、でも……あれくらいなら、いける……のか?」
甘蔵がノッてきたのが嬉しくて、信長の笑顔が止まらない。
信長「甘蔵、よく申した。まずは“門前の魔物”を排除し、城門を確保するぞ。」
甘蔵「いや、俺、戦力にならないんだけど!?」
信長「案ずるな。余と光秀が戦う。甘蔵は“見ておれ”。」
甘蔵「見てるだけ!?」
光秀が刀に手を添え、静かに頷いた。
光秀「甘蔵殿。あなたは我らの“主”なのですから、
無理に戦う必要はござらぬ。」
甘蔵「いや、主っていつの間に!?」
信長が刀を抜き、堂々と宣言した。
信長「よいか甘蔵。国づくりとは、まず“城”から始まる。
ここが我らの第一歩じゃ。」
甘蔵「いや、最初の戦いが占領された城の奪還、
それも魔物ってのは、どうなのかな……。」
しかし、そう言いつつも、甘蔵から見た信長のその背中は、
異世界の風を切り裂くように頼もしかった。
――こうして俺たちは、
魔物に占領された城を奪い返すため、
最初の戦いへと踏み出すのだった。
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