第14話 良策を見つけるために!
それにしても、何故こうも次から次へと強敵が現れるのか……。
甘蔵は、もしかして日頃の自分の行いが悪いのでは、と一瞬だけ考えた。
(俺の日頃の行いかな。今後は気をつけて行動しよう……)
「って、人生を一所懸命、真面目にやってますけど?俺にこれ以上どうしろと?」
普通さ、こういうのって“適正レベル”とかあるんじゃないの?
俺の試練、異世界に来てからの経過を考えると控えめに言って、
――鬼畜ゲーなんよな。
そういえば、敵の将スパイシーはガチャ士だよな?
なのに、どうして魔獣しか出さないんだろう。
俺なりに考えてみた。
『出・せ・な・い』のか、『出・さ・な・い』のかで状況は大きく変わる。
出せない場合
魔獣の上位種が仲間として加わるタイプのガチャ士。
その代わり、他の種類のガチャは引けない可能性がある。
だとしたら、こちらが魔獣に特化した優位なガチャを引ければ勝ち筋が見える。
出さない場合
……考えただけで気が滅入る。
冷静に考えて「出せない」と判断するのは甘いかもしれない。
そんなことを考えているうちに、頭の中で整理がついてきた。
今やるべきことが、はっきりした。
第一に、ペッパーウルフを倒すこと。
第二に、魔王軍の軍団長スパイシーを倒す。
――いや、最低でも戦線から離脱させること。
どちらも難易度が高いが、やるしかない。
俺は信長さんに、ペッパーウルフを倒せるかどうか尋ねた。
信長さんは、簡単に勝てる相手とは考えていないようだった。
そこで俺は、短い時間で状況を切り抜ける方法を探す代わりに、
信長さんにペッパーウルフを引きつけてもらい、時間を稼ぐ作戦に出た。
魔獣と対峙した信長さんは、無形の構えをとり、自然体のまま脱力している。
だが、全神経はペッパーウルフに集中していた。
先手はペッパーウルフ。
圧倒的なスピードで迫る――目で追えるかどうかの攻撃。
しかし信長さんは動かない。
引きつけられるギリギリの距離で、紙一重の回避。
俺も、ガチャで出てきた人間が“ガチャ補正”で通常の数十倍の身体能力を持って
異世界に来ることにも、だんだん慣れてきた。
そうだ、この戦いで信長さんが俺に考える時間を作ってくれているんだ。
考えられることをひとつずつ、いけるかどうか確認していこう。
信長さんがこの場をすべて解決する。(実現可能性5%)
2人で対応する。(実現可能性6%)
どちらも分が悪い。どうしよう……。
思いつかない。焦ってる。確実に焦っている。
時間だけは、なくなる一方だ。
信長さんの戦いに目をやった。
どうやら互いに向かい合っているだけのように見えるが、
見た目以上に体力消費と精神消耗が激しそうだ。
このままでは、こちらが攻撃する前に力尽きてしまう。
相手のペッパーウルフに決着を付けるべく、
ペッパーウルフの次の攻撃を躱しながら、
信長さんはカウンターで奥義を繰り出そうとしている。
ペッパーウルフが攻撃態勢に入る。
信長さんは再度、無形の構えをもって相対する。
攻撃が始まる直前、奥義の準備態勢に入り、
詠唱を少し早口にする。
「わが命に懸けてここに誓う!!
武力をもって、この世に秩序を作り、
天下を一つにまとめ、この乱世を終わらせる!
奥義、天下布武――覇王一閃!!」
断末魔だけがあたりに響く。
その声を聞きながら、スパイシーは信長さんを見てにやりと笑う。
「どうやら、今のが最後の力のようねぇ。ご愁傷様。」
「どうじゃ甘蔵、時間は作ったが、良策など浮かばなかったであろう。」
「……ごめん。信長さんのいう通りだよ。」
「余は敵の手には落ちん。自ら命を……。」
そう言いかけた瞬間――甘蔵の身体が、一瞬だけ光った。
この光は何を意味するのか。
そしてこの場を切り抜けられるのか。
運命は、まだ決まっていない。




