第15話 レベルアップ!
俺、甘蔵が光るとき――そう、レベルが上がるときである。
信長さんのお陰で経験値が入ったのだろう。
早いもので、今じゃレベル3のガチャ士になってしまった。
……って呑気なことを言っている場合じゃない。
さて、本題だ。
この局面を乗り切れるかどうかは、レベルアップの中身だ。
レベルアップで“なんか役に立ちそうなもの”を覚えたか。
ここが大事なポイントで、生きるか死ぬかが変わってくる。
それにしても、相変わらず俺のステータスには微塵の成長もない。
ちょっとぐらい伸びてくれてもよさそうなもんなのにね。
ただ、このレベルで何も覚えないというオチだけは、ご遠慮願いたい。
俺は、意を決して、レベルアップの説明欄を開いた。
天は俺を見放さなかったようだ。
俺はこのレベルアップでしっかりスキルを習得していた。
詳しく読まないとわからないが、まずは、何もスキルを習得しない、
という最悪の事態だけは回避できた。
ここからは、スキルを確認して役に立ちそうなものかをみてみる。
【新スキル:交代】
……交代? なんだそれ。
説明文を読む。
『過去にガチャで引いた存在のうち、意思を持つ者は、
本人の合意がある場合に限り、一時的に召喚枠から離脱できる。
その間、新たなガチャを回すことが可能となる。』
バスケットボールでいうところの交代みたいなことかな。
ちょっと、違うか…今いるメンバーをベンチに戻して、ガチャを引く感じか…。
どう考えても、今俺が必要とするスキルであるのは間違いなさそうだ。
そう、今の俺はガチャを回す代価を払えない。
枠もいっぱい。 つまり“詰んでる”状態だった。だが、このスキルがあれば、
「意思のある人なら……『ちょっとベンチ入ってて』って頼めるってことか。」
もちろん、合意が必要だ。無理強いはできない。
でも、信長さんなら状況を見て判断してくれるはず。
俺は拳を握った。
「……これで、まだ戦える。まだ回せる。」
今回のレベルアップは、俺にとって“延命”じゃなく“突破口”だった。
ここは、状況から見て……光秀さんを、ベンチに下げるべきだと俺は考える。
そう考えながら、成り行き上、仕方なかったのだが、光秀さんをあの状態に、
したのは、俺の言葉が原因だ。俺のせいで……と思うと胸が痛む。
でも、原因はどうであれ、光秀さんが不調で戦力にならないのは確かだ。
ガチャを回すには、誰かの枠を空けるしかない。
そのことを信長さんに説明した。
すると、信長さんは腕を組んだまま、じっと俺を見て言った。
「甘蔵。おぬし、誠に申しておるのか?」
「……はい。光秀さんなら、ご自身の今の状況を理解してくれるはずです。」
その言葉を聞いた信長は、しばらく黙っていた。
場の空気は重くなり、2人の間に沈黙が流れる。
沈黙を破ったのは、背後からの光秀さんの声だった。
表情は穏やかで、いつもの彼までとは言わないが、
顔色は少しはマシになったかな程度の回復は見せている。
「某は今自分にできる最適手をとるよう尽力するだけでございます。」
光秀さんは、まっすぐに信長さんと俺に伝えた。
「されば、此度は、この光秀めがこの交代のお役目を引き受けまする。」
そこには、もちろん俺への協力という意味もあるのだが、
光秀さん自身の気持ちを整理する意味合いも含まれていた。
「……光秀さん。本当にいいんですか?」
「すでに覚悟はできております。」
そして、光秀は静かに頭を下げた。
果たして甘蔵は、この状況をうまく切り抜けることができるのだろうか?
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