第11話 魔王×ラプ=ラプ!
青い渦に飲み込まれる最後の瞬間、
寸前で魔王は体をねじり、封印の儀の芯をずらした。
そして、不気味な笑みを残したまま、渦の中へ沈んでいく。
「英雄、ラプ=ラプよ…………技は不完全だ。
覚えておくがよい!我は、また戻ってくるぞ……。」
ズォォォォォン!!
魔王の姿が完全に渦の中に消えた。
「えっ?俺には何も言わんのかーい!!」
複雑な気持ちでツッコミを入れる。
ラプ=ラプは膝をつき、息が荒くなっている。もう立つ力すら残っていない。
それでも――その『封印の儀』は、確かに戦局を変えた。
甘蔵のツッコミが飛んだ瞬間、ラプ=ラプはかすかに笑った。
――ああ、うまくいったみたいだ。
甘蔵がツッコむのは、余裕が戻った証拠だ。
つまり、自分の『封印の儀』が“戦況をひっくり返した”ということ。
敵が消滅し、味方の士気が戻っている。戦場の空気が、明らかに変わった。
「……なら、これだけで十分だ。」
その背後で、封印の渦が静かに消えていく。
それは、魔王が戻るまでの“猶予”ができた証でもあった。
封印の残滓が空へと散っていく中、
誰も気づかぬ場所で、魔王の意志が言葉となって形を成す。
「……英雄よ……敵ながら見事であった。だが――。」
黒い霧が渦の奥で蠢く。
「封印は永遠ではない。 いずれ、必ず戻る……。」
魔王ミッドナイトキングが青い渦へと飲み込まれたあと、
戦場には一瞬だけ、嘘のような静けさが訪れた。
ラプ=ラプは振り返り、穏やかな目で甘蔵を見た。
「守れたぞ。甘蔵君達の未来を…。」
彼は確信していた。甘蔵の声が止まない限り、
甘蔵達の戦いもまた終わることはないのだと……。
「ラプ=ラプさん!!」
光の粒となり、ラプ=ラプは消えた。
「ラプ=ラプさん……どこに……?」
ラプ=ラプの姿は、もうどこにもなかった。
ただ、彼が立っていた場所にだけ、潮風の温かい気配が残っていた。
何故、甘蔵がラプ=ラプを気にかけているのか?
信長と光秀は気にはなっていたが、あえて口に出さずにいた。
信長と光秀もようやく息を整え始める。
「……助かった、のか……?」
「いえ……あれは、ひとまず退いただけにございます。
あの魔王、まだ本気ではございませぬ……。」
突然、甘蔵はその場に崩れ落ちた。
学生だった甘蔵には、いきなりのラスボス戦は、
対峙するだけでも大変なことだった…。
すっと信長は立ち上がり、甘蔵の肩を支える。
「甘蔵よ、まずは町へ戻るぞ。そなたが倒れては元も子もない。」
光秀も頷く。
「魔王復活まで、わずかながら時は稼げ申した。
ここはまず、態勢の立て直しが肝要にござる!」
「……そうだよね…。」
三人は互いに支え合いながら、ゆっくりと町へ向かって歩き出した。
落日がその余韻を消して、そして、次第に空が闇に覆われていく。
「町、まだ結構遠いよね。今日はここで休んで、明日にしよ。」
その夜は、三人で野営することにした。
(ただの野宿なんだけれど、一応二人は武将なんでね。)
そして、甘蔵が眠りに就こうとした時、耳元で、かすかな声がした。
『……甘蔵君……。』
「……ラプ=ラプさん?」
「さあ行け、甘蔵君。そなたの戦いはこれからだ。
己の強さを信じ、未来を掴み取れ。……忘れるな、
私はいつだって、君のすぐ傍にいるということを。」
甘蔵は目を開けたが、まわりには誰の姿もなかった。
翌朝、明け方前に町へ向けて歩き出した。
町が近くなってきたあたりで……なんか、空気が変だ。
山道を下る途中、風の匂いが違った。
この匂いは、焦げた匂い。煙の匂い。
「…なんじゃ。これは…一体、何が燃えておる?」
信長が険しい顔で前方を指す。
「まずいのう。町の方角から煙とは…。」
甘蔵は、状況と思考がうまくかみ合わない。
木々の隙間から、黒い煙柱が立ち上っている。
それを見た甘蔵は呟いた。
「うそ……だろ……?」
甘蔵は駆け出した。嫌な予感が、全身を駆け巡る。
町の門は破壊され、地面には巨大な爪痕。
家々は炎に包まれ、逃げ惑う人々の叫び声が響く。
「誰が……こんな……!」
甘蔵が叫んだその時――。
ガチャのハンドルが回る音が響いた。
瓦礫の上に、ひとりの女性が立っていた。
赤と黒のコート。片目に魔王紋のアイシャドウ。
杖の先には、ガチャのハンドル。
炎の中で、その姿は異様なほどに美麗で、
同時に冷酷さも秘めていた。
「……あら。帰ってきたのねぇ、甘蔵くん。」
甘蔵は動けなくなった。
「誰だ……お前は!」
女性は微笑む。その笑みは、炎よりも冷たかった。
この女性は、一体何者なのか?謎が深まっていく。
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