第10話 魔王×海の英雄!
魔王の拳が振り下ろされる。
ドゴォォォォン!!
ラプ=ラプは盾で受けるが、衝撃で地面が陥没し、ラプ=ラプの足が沈む。
「ラプ=ラプさん!!」
「問題ない……!」
彼はすぐに体勢を立て直し、槍を回転させて魔王の腕を切り裂く。
だが――。魔王の腕にできた傷は、すぐに黒い霧で塞がった。
「無駄だ。この程度の傷、意味をなさぬ。」
息を整えながら、ラプ=ラプは呟く。
「……やはり、そうか。」 そして、彼は決断する。
「そうだな、今はそれしかないな……。」と独り言を味方の状況をみて呟いた。
そして、自身の覚悟が決まった。
ラプ=ラプが、次に放った言葉は、さすがに三人を驚かせた。
「甘蔵、信長、光秀。そなたらは、すぐに町へ戻れ。」
「えっ……なんで!? まだ戦えるでしょ!?」
甘蔵は困惑した表情を見せる。
ラプ=ラプは何もしゃべらずに首を振った。そして、説明した。
「このままでは、そなたらが巻き込まれる。そうなると――。」
彼は魔王を見据えた。
「この男は、ここで倒すべき相手ではない。」
「ほう? 逃げるつもりか?」
魔王は、ラプ=ラプに落胆と軽蔑が入り混じった怒りを露わにした。
ラプ=ラプは不敵な笑みを浮かべ、魔王に言葉を返す。
「お前から逃げるのではない。お前をこの戦いから“退かせる”のだ。」
「退かせる……? いやいや、いくらラプ=ラプさんだからって、
話進め過ぎちゃってるよ?」
ラプ=ラプ相手でも、また他のどんな相手であろうと決めている事がある。
言うべきことは言うというスタイル。それが、ガチャ士、佐藤甘蔵流だ。
「そうか……。本当なら説明すべきだと思うが、今はどうか私を信じて欲しい。」
ラプ=ラプは申し訳ない気持ちがある一方で、わがままを押し通してでも、
この使命は、我が身一つで果たさねばならなかった。
それゆえに、心を研ぎ澄ます時間がどうしてもラプ=ラプには必要だった。
ラプ=ラプは、槍を地面に突き立て、両手を広げた
その瞬間、海波のような青い光が彼の周囲に展開する。
光秀は何かに気づいた。
「ま、待て……この術、陰陽道の術式に酷似している。
いや、これは……その流れを汲んでいる。」
記憶の底に沈んでいた文献が、ふと浮かび上がる。
光秀が生まれる少し前、陰陽道の理を一部取り込み、
新たな体系を築いた者がいた。
光秀は確信を深めるように呟いた。
「思い出した……あの術式だ。陰陽道から取り込まれた“あの技法”
……まさにこれだ。」
「なるほど……左様であったか。」
信長は必要以上に頷く。
「いやいや、信長さん、本気で言ってますよ。光秀さんは。」
「正直、光秀が分かっておればそれでよい。
それに、部下に遅れを取るわけにもいかんからのぅ。」
信長も短時間でメンタルを少しは回復ができたようだ。
「元々、卜部だったがお二人の時代風に改姓って、
名前わかるアピールとかしてる場合じゃないな、俺。
光秀さん! ラプ=ラプさんは何をしたいんですか?」
「封印でござります。」
光秀は下を向きながら言った。
キュイィィィン……。(フレクサトーンの音)
魔王は何か嫌な気配を感じ取った。
「……その気配。まさか、異界の封印術か?」
ラプ=ラプは振り返らずに言う。
「時は来た。代々、部族に伝わる“追い返し(=封印)”の儀だ。
ババイランとして――海の戦士の名にかけ、必ず成し遂げる。」
ラプ=ラプの足元に、海の紋章のような光が広がる。
「甘蔵君。君は、まだやるべきことがある。無駄にここで死ぬな。」
「ラプ=ラプさん……!」
魔王は一歩踏み出した。
「無駄だ。そんな術で――。」
ラプ=ラプは叫んだ。
「――“潮返しの封”!!」
青い光が爆発し、魔王の身体全体を包み込む。
「……っ! これは……異界の潮流……!」
ラプ=ラプは槍を構え、最後の力で魔王を押し込む。
「今だ……行けぇぇぇ!!」
「ラプ=ラプさん!!」
魔王の身体が、青い渦の中へと引きずり込まれていく。
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