第9話 マクタン島の英雄
(本編の前に)
今回扱った題材には、宗教的な背景が強く含まれています。
物語の中でどの宗教が登場しても、特定の信仰を推奨したり、
否定したりする意図は一切ありません。
私は、
「誰がどの宗教を信仰しても良いし、信仰しなくても良い。
その人が自分らしく生きられるなら、それで良い。」
という立場を今後も変えるつもりはありません。
読者の皆さまが安心して物語を楽しめるよう、
ここにその旨を記しておきます。
――紫蘭
光が完全に晴れた。
そこに立っていたのは、戦士の風格を漂わせる男。
褐色の肌。鋭い眼差し。海風に揺れる赤い布装束。
片手には短槍、もう片手には貝殻の盾。
歴史の中で語られる“マクタンの英雄”――その人の姿だった。
魔王ミッドナイトキングは、警戒レベルを上げた。
魔王「……この気配。 貴様、ただの戦士ではないな。」
その英雄は落ち着いた声で名乗った。
ラプ「マクタンの戦士、ラプ=ラプ。
海の民を守り、侵略者を退けし者。
そして今は、甘蔵君の呼び声に応じてやってきた。」
甘蔵は息を呑んだ。
(本物だ……! 歴史の英雄が……!)
信長と光秀は、半分気絶しながらも呟く.
信長「この男……ただ者ではない……。」
光秀「世界英雄……恐るべし……。」
ラプ=ラプは甘蔵を見た。
ラプ「そなたが私を呼んだ者か?」
甘蔵「はいっ! 呼んだというより、
ガチャを回して当てたんですけど……。
今は、そんな細かいことはこの際どうでもいいや!
ラプ=ラプさん、助けてください!!」
ラプ=ラプは頷き、魔王を見据えながら甘蔵に質問する。
ラプ「……あれが侵略者だな?」
魔王「侵略者扱いとは心外だが……
まあ、していることは似たようなものだしな。」
ラプ=ラプは槍を軽く回し、構えを取る。
ラプ「ならば話は早い。私は、あいにく侵略者を許さない主義なのでね。」
その言葉を聞いて、(うおおおおお!! 耐えたぁー! 頼もしすぎる!!)
と甘蔵はこの場を乗り切ったかのように喜んだ。
ラプ=ラプは魔王に向かって歩き出す――。
その途中で、突然、立ち止まった。
ラプ「……む?」
甘蔵「ど、どうしました!?」
ラプ=ラプは甘蔵の“表情”をじっと見つめた。
ラプ「そなた……本当は、魔王が怖いのであろう?
それを従者のために我慢しておるな?」
甘蔵「(ドキンッ)えっ……。」
ラプ=ラプは優しく言う。
ラプ「敵に恐れを抱きながらも前に立つ者こそ、真の戦士だ。
胸を張れ。そなたは立派だ!」
甘蔵「ラプ=ラプさん……もう少し頑張れそうです!!」
(……なんでだろ。転生前の父さんに、どこか似てる。
結局、喧嘩別れのままだったのに。)
魔王「……いつまで待たせる気だ?」
魔王が強敵を前に苛立ちを隠せずにそう言った。
そして、戦いが始まる
ラプ=ラプは槍を構え、海風のように軽やかに前へ出る。
ラプ「ミッドナイトキングよ。私の槍を受けてみよ!」
魔王「面白い……! ならば見せてもらおう、海の英雄の力を!」
(うおおおおお!! 始まった!!)
かたずをのんで戦況を見守る甘蔵。
ラプ=ラプが槍を下段に構えた瞬間、
空気が変わった。
海鳴りのような槍気が、戦場に満ちてゆく。
魔王ミッドナイトキングは、愉快だった。
魔王「ほう……この世界の者ではないな。
だが、強い。実に強い。」
ラプ=ラプは自分の信念を口にする。
ラプ「私はただ、守るべき者を守るだけだ。」
次の瞬間――。
ラプ=ラプの槍が、海風のようにしなり、
魔王の胸元へ突き込まれた。
ガァンッ!!
火花が散る。
魔王の身体が後方へ吹き飛ぶ。
甘蔵「す、すげぇ……!」
信長「なんという技量……!」
光秀「まさに英雄……!」
俺たちは、窮地を脱する勢いに、希望をもった。
しかし、魔王は地面を滑りながらも、笑っていた。
魔王「良いぞ。実に良い。 だが――。」
魔王の身体から、黒い霧が立ち昇る。
魔王「まだ、能力全体の二割ほどしか力を解放しておらん。」
甘蔵「に、二割ぃぃぃぃ!?」
ラプ=ラプの表情がわずかに険しくなる。
ラプ「……なるほど。ならば、長期戦は不利だな。」
魔王が力を増す。魔王の足元が砕け、地面が沈む。
魔王「さあ、英雄よ。もっと楽しませてくれ。」
海の英雄ラプ=ラプ、ついに真の力を解き放つか。
対するは、未だ二割の力で余裕の魔王ミッドナイトキング。
この戦い、いかなる結末を迎えるのか――如何に。
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