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サムライ×KILL  作者: 45
【序】──侍と侍魂──
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【刀】×DARKNES 壱

朝の日差しが差し込む。

それが眩しくて刀真は目を覚ました。

昨夜はカーテンを閉め忘れていたようだ。


起き上がりベッドから出て支度を開始する。

刀真の学校の制服は学ランが基本。

入学当時は大きく感じたこの制服も、今ではすっかり縮んでしまった。

といっても、彼の身長が伸びているだけなのだが。


着替え終えると日課の身長チェックの為、全身鏡の前に立つ。

彼の身長は百六十八センチと決して高い方ではない。

だからこそ毎日チェックを欠かさないのである。

残念ながら今日もあまり変化はないようだ。


身支度を終えたら部屋を出て階段を降りる。

真っ直ぐリビングへと向かう途中、美味しそうな匂いが漂っていることに気付いた。


扉を開けると食卓には朝食が用意されていた。

焼き魚に味噌汁、もちろん白いご飯もある。


「あ、玉子焼き!」


刀真は光り輝くそれに気付いた。

ふんわりとしつつも完璧なフォルムを形成された、鋏子特製の玉子焼きだ。

刀真の好物でもある。


「おはよう。」


刀真の声に気付いた鋏子がキッチンから出てくる。

シワのないスカートタイプのビジネススタイル。料理をしていたので汚さないよう、お気に入りのエプロンは欠かさない。


「おはよう。」


刀真は返事をしながら食卓の席に着いた。


「今日仕事だっけ?」

「そうよ。」


そう言うと、鋏子は資料の整理を始めた。

仕事で使う物だ。


彼女の仕事は刀の販売事業を行う企業の事務処理。

世は侍業が盛んな時代。刀の売買は経済の繁栄において最も利益を生む業種となっている。

近年では刀製造において製造者側が不足してきており後世への引き継ぎが途絶えるのではないかと危険視されている。


彼女はこの仕事で収入を得て、刀真と二人で生活している。

刀真にもその苦労は理解できていた。


「最近、製造部の説明会資料の作成も任せられていて大変なのよ!」


私の仕事じゃない、と愚痴を漏らして資料をファイルに入れる。

それをまたカバンへとしまい、準備は完了したようだ。

鋏子はエプロンを外してリビングの扉の取手に手をかけた。


「じゃ行ってきます。」

「いってらっしゃい。」


鋏子を見送った後もう一度朝食に手をつける。やはり鋏子の玉子焼きは美味かった。


朝食を済ませてカバンを手に持ち、家を出る。

から紅第三中学校は刀真の家から十分ほどで着くほどの距離にある。


この学校へ通うのもあと僅か。

卒業式の準備も進む中、残り少ないホームルームに参加する為、教室へと足を運ぶ。


「あ──おはよう斬咲くん!」


教室の入り口で女子生徒に声をかけられる。

その声に気付いた他の女生徒たちが刀真の周りへと集まった。


「おはよう斬咲くん!」

「おはよう!」

「斬咲くんおはよう!」


まるで有名人──斬咲刀真はクラスではちょっとした人気者である。

去年のバレンダインデーには軽トラック一台分のチョコレートを貰っていた、なんて逸話があるくらいには人気者なのだ。


「おはよう。」


刀真は彼女たちから視線を逸らして自分の席へと向かった。

窓際の席、誰が呼んだか“VIP席”。

その様子を女生徒たちは見惚れていた。


「相変わらずカッコいいわ〜、斬咲くん。」

「そりゃそうよ! なんていったって彼は幼少の頃より剣を学び、己を鍛え、十歳を迎えた時には大人も顔負けの実力までになり──入学時には町内で有名な侍見習。このから紅第三中学校一の実力をもつ、まさにエリート侍と呼べるお方なんだから!」

「なんで説明口調なの?」


刀真は参ったという様子で窓の外に目線を移す。

すると今度は目の前の席の男子生徒が振り返り声をかけてきた。


「おはよう斬咲!」


男子生徒に挨拶を返す。

目の前の席だがそんなに話したことは無く、刀真の記憶に彼の名前が無かったことを申し訳なく思った。


「おい聞いたぜ──お前、黒霧最終試験までいったんだってな!」


どこで聞きつけたのか、彼の手に入れた情報がクラス内に広がる。


「黒霧──マジかよ!」

「斬咲くんすごい!」

「さすが斬咲!」


刀真の机に人集りができる。


「まだ最終試験まで残っただけだよ」


首を横にする刀真に辺りから謙虚だと歓喜の声が飛ぶ。

その言葉には素直に喜べないと、刀真は俯いた。


自分は謙虚な訳ではない。

黒霧学園入学の為に努力は惜しまずしてきたつもりだ。それでも最難関と言われるのが黒霧学園なのである。

刀真はそのことをよく知っている。

だから謙虚な訳ではない。

まだ入学が決まった訳じゃないから、凄いことは何一つとしてない。


そんなことなどつい知らず、クラスメイト達は自分のことのように刀真を称えた。


ただ一人を除いては。


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