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サムライ×KILL  作者: 45
【一】──黒霧学園──
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【月】×PEDIGREE 弐

宇佐美は何度か仁の方を見ていた。

彼がいると出来ない話なのか、それとも、


続けて刀を抜くと、刀真に刃を向けた。


「私と勝負しなさい斬咲くん。」

「しょ、勝負?」


頭に疑問が浮かぶ。

宇佐美はそんなことはお構い無しと構えた。


「文字通りの真剣勝負を希望するわ、刀を抜きなさい。」


刀真は理解した。真剣勝負ということは木刀では無い。彼女は“刀を抜け”と言っているのだ。

意図はわからないが、それは簡単には承諾出来ることじゃない、刀真は首を横に振った。


「できないよ。」

「どうして、私と戦うことが怖い?」

「そうじゃない! 突然そんなこと言われても意味がわからないし、僕が刀を抜けないことは君も知っているだろう?」


一年三組のクラスメイトなら周知の事実を口にするも、宇佐美は納得した様子はみせなかった。


寧ろ、少し苛立っているようにもみえる。

普段の彼女からは想像も出来ない、冷たい眼差しで刀真を睨んでいる。


「ふーん、私相手じゃ本気は出せないか。」


宇佐美は歯を噛み締めた。

どうすればその気になるか、答えは単純だ。

彼女が刀をゆっくりと振り上げると、月光は光を放った。

鋭利な三日月を模った光が、宇佐美の手によって解き放たれる。隙だらけの刀真の首元へと真っ直ぐ飛んだ。


刀真は反射的に木刀でそれを弾いた。

重い──今のは斬撃だ。

反動で位置を少しずらされたことが攻撃の威力を表している。


「そっちじゃ駄目なのよ。」


淡々と呟いて、宇佐美は次の攻撃へと移ろうとする。

間合いを詰めようと近づく彼女の前に、気付けば仁が立ち塞がっていた。


「退いて。」

「いや待てよ月島、本気の刀真と戦いたいのは何もお前だけじゃないんだぜ。 俺と戦って勝った方が戦うってのはどうだ?」


どうやら仁はまだ状況を理解していないようだ。

それは宇佐美の苛立ちを余計に募らせた。


「鬱陶しい奴。」


冷たい言葉を浴びされても仁は笑っていた。


「一緒に修行したかったのなら早く言えよな。」

「──呆れた。」


一瞬、宇佐美の姿が見えなくなる。

素早い動きで駆け抜けた彼女の刃が、仁の腹を斬り裂いた。


「がはッ──!?」

「あなたに用は無いと言ったでしょ?」


倒れて腹を抱える彼を見下すように囁いた。


「仁──!?」


刀真の呼び声には反応しない。

痛みで声が出ないのだ。

ふつふつと怒りが湧いた。何故こんなことをするのか、最早どうでも良い。刀真は彼女が許せなくなった。


「さあ、本気出してくれる?」


嘲笑う彼女に対して刀真は木刀を手に取る。

宇佐美はそうじゃないという反応をみせるが、関係ない。静かに呼吸を行い、黒椿の力を引き出してみせた。


「僕は君を──斬る!」


スタートダッシュを切って振り下ろす。

刀真の攻撃を受け止めきれず、宇佐美の体が宙を舞う。まだだ──刀真は続けて高く跳び上がると、彼女の体を地面へと叩き付けた。


「──!?」


骨まで響く振動。痛みを噛み締めている余裕は無い。起き上がる間も無く、次の一撃が迫る。


駄目だ、かわせない──。黒いオーラを纏った一振りは宇佐美を公園の外へと吹っ飛ばした。


決着は着いた。

刀真は宇佐美の元へと近付いて、彼女の容態を確認する。気を失っているが、大きな怪我はしていないようだ。“思った通り”に刀が振れて良かったと、安堵の表情を浮かべる。


仁の方も確認してみると、彼も気を失っていた。早く出血を止めてあげよう。そう思い近付こうとするが、新たな気配に気付いた。


「斬咲くん。」


聞き覚えのある声に振り返る。

白枯木穂乃果だ。後をつけていたのか、いつの間にか彼女はそこにいた。

穂乃果は辺りの光景を確認して、状況を察したのかため息を吐いた。


「だから言ったのに、月島宇佐美には気を付けなさいと。」

「こんなことになるなんて予想できないよ。」

「仕方ないわね。」


もう一度ため息を吐くと、穂乃果は宇佐美の元へと近付いて彼女を背負った。


「何を?」

「私、月島さんとは中学が一緒だったの。 彼女の家まで行きましょう。」


刀真は迷ったが、彼女がこんなことをした理由は知りたい。それに先ずは仁の手当てを優先すべきだとも思い、穂乃果に従うことにした。


穂乃果に着いて行くと、から紅町の外れへと辿り着いた。

広めの敷地に(そび)え立つ古い館。隣には道場らしき建造物も見える。

入り口であろう門には“月島”の表札がある為、ここが彼女の家であることがわかる。


「じゃあ呼ぶわね。」


誰のことか尋ねる前に、穂乃果はインターホンを鳴らした。

鐘の音のような音声が鳴ってしばらくすると、大きな門がゆっくりと開かれて、中には老婆が立っていた。


「誰じゃ?」


全員の顔をじっくりと眺める老婆の目が刀真の所で止まる。

目を大きく見開いて、老婆は刀を手にするといきなり刀真へと斬りかかった。


「うわ!?」


仁を背中で抱えたままかわすが、刃先は既に目の前へと向けられていた。

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