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サムライ×KILL  作者: 45
【序】──侍と侍魂──
13/39

【試練】×ABILITY 参

後ろに夢中だった少年たちは自分たちの目の前に意識がなかった。

飛んでくる肘鉄に気付いて振り向いた時には、もう避けられる距離ではない。


「──!?」


少年の目の前が真っ暗になり、顔面に痛覚が走る。

同時に少年の体が後ろへと吹き飛ぶ。

砂埃を巻き上げて少年は地面へと倒れ込んだ。


「なあ〜!?」


友人らしきもう一人が呆気に取られている。

すぐに少年の元へ駆け寄った。


「大丈夫か!?」


少年は白目を向いていた。

鼻が赤く腫れて鼻血も出ている。

友人が見上げると、彼らの前に並んでいた人物がこちらを睨んでいた。


「何すんだお前!」

「アァ?」


返事にしては強い口調で返されて、彼はそれ以上は追求出来なかった。

よく見れば風貌が真面目とは程遠い、言うなれば“不良”のような姿だ。


「テメェらがピーコラうるせえからよぉ、つい手が出ちまった。」


男の中では刀真たちも同類になっていた。

否定すれば余計な揉め事を起こすかもしれない。

刀真は男に一礼して詫びた。


「随分と素行の悪そうな奴だ。」


光子郎が小声で呟く。

「君が言うか?」心の中でそう思ったが、刀真は口には出さなかった。


しばらくして刀真たちの順番が回ってくる。

試験管を担当する教師から一枚の表が配られ、そこには“メンバー表”と書かれている。

名前が幾つか書いてあり、五人区切りのところで丸で囲まれていた。


「丸で囲まれているところがチームだ。」


なるほど、と納得する。

隣で光子郎は理解できてない表情を浮かべていた。


「チームごとに擬似カゲロウと戦ってもらう。 制限時間は十分だ。」


それだけ告げると試験管は腕時計を確認した。

前のグループ、最後のチームの制限時間もあと僅か。

次のグループの準備を開始しなければならなかった。


「説明はそれだけかよ。」


光子郎は不満そうだ。

刀真はもう一度、自分のチームを確認することにした。


Aチーム


園柳仁

斬咲刀真

渡座間実呂

月島宇佐美

中山友恵


様々な修行を行なってきた刀真も団体戦というのは初めての経験だったが、“ルール的には問題なかった”。


試験終了のブザーが鳴り、前のチームが戦闘を終える。


「次のグループ──Aチームは位置に着きなさい。」


試験管の指示通り、刀真を含めたAチームの五人は競技場(フィールド)へと足を踏み入れた。

メンバーの中には先程の不良や、彼にやられた少年もいる。

緊張感が溢れる中、刀真は隣に立った女の子と目が合った。


「私、月島宇佐美(つきしまうさみ)って言います。 よろしくお願いします!」


そう言って微笑む可憐な少女に、刀真はつい試験を忘れてしまう。

頬を赤らめて目を逸らす。宇佐美はそれを見てまた笑った。


「き、斬咲刀真です──よ、よろしく。」


ぎこちない挨拶でなんとか返すが顔は見れなかった。


「擬似カゲロウ用意!」


試験管の指示に従い、巻物が開かれる。

大量の煙が天へと噴き上がっていき、巨大な影が映し出され姿をカゲロウへと変える。


「いつのまにこんな収納術まで。」

「最新技術で持ち運びが楽になったらしいですよ。」


擬似カゲロウの準備完了を確認し、試験管は受験者たちの方を振り向く。


「刀を構えよ。」


合図を受けて五人一斉に抜刀をする。


「それでは試験開──待て、君なんだそれは?」


刀真の木刀を見て尋ねる。


「僕はこれで受けます。 駄目ですか?」

「──構わないが。」


刀真は安堵の表情を浮かべた。


「馬鹿な奴、刀の能力をみる試験だぜ。」


小馬鹿にするように渡座間実呂(わたりざまみろ)は呟いた。

隣にいる不良──園柳仁(えんりゅうじん)に気付くと、黙って彼との距離を数センチ空けた。


「それでは試験開始!」


ブザーが鳴ると同時に座間実呂が走り出す。


「俺がぶっ倒す!!」


地面を蹴って宙へと舞う。

素早い動きでカゲロウへと近付き、左上から刀を振り下ろす。捉えた──かに思えたのも束の間、座間実呂の真横に巨大な影が迫る。

カゲロウの左手だ。


「何!?」


空中では止まれず座間実呂は攻撃を続ける。

カゲロウは顔を数センチ動かし、刃が当たらないギリギリのところでかわす。


「しまったァ──!!」


左手は座間実呂を捉えて重たい衝撃を与える。

勢いをそのままに遠くへと吹っ飛ばした。


「ザマアミロ。」


皮肉を込めて光子郎が呟く。


一方の刀真たちはかなり冷静だった。


「無鉄砲に突っ込んでくれて助かる、逆に攻撃方法は分析できたわ。」


宇佐美は囁くと、刀を空へ突き出すように掲げた。


「“月光(げっこう)”──!」


刀の名を叫ぶと天から光が宇佐美へと落とされる。

それは神秘的な輝きを放っていた。


光を吸収した刀を構えて宇佐美が走り出す。


「また一人で行く気かよ、チームはどうした!」

「わかっていないのか。」


光子郎の野次を隣の男が遮る。


「この試験は何も“チームで協力しろ”とは言っていない。」

「はぁ? なら何のためににチームごとになってんだ。」

「如何なる状況をも利用して勝利に導くこと──先ずはそれだ。」


そう言って男は宇佐美の次の動きに注目した。

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