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桜の木の下で  作者: ゆめ
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第三話

「消すって・・・どういうこと?」

龍也は明らかにしまったという顔をしながら、ちょっと庭を横に曲がった。

「消すっていうのは、この世界から消すっていうことだ。殺すのとは違う。

第一もうおまえに命はないんだ。死ぬこともないけどな。えーと、

この世界に生きていたという事実を消すという・・・」

舞の目が潤んできたのをみて、龍也はあわてて

「大丈夫、ちゃんと成仏させてやるし、いきなりは消さないよ。」

といった。


舞はもう一度訊いた。

「どうして、そんなことできるの?」

「俺は玉城家の跡継ぎなんだ。玉城家っていうのは代々霊感が強いから、

占い師や預言者、あと陰陽師みたいなこともやってた。

それで、霊を成仏させてやるのも仕事なんだ。」

「成仏・・・」

そして舞は黙り込んだ。内心、龍也は焦った。

舞は中学の男子には評判となるほどのかわいさだった。

本人は気づいていなかったが、

クラス替えで舞と同じクラスになった男子がにやついていることはしばしばで、

龍也もその噂は知っていた。だから近づいた訳ではないのだが・・・

いざそばに寄ると、霊だとはいっても、可愛らしかった。

「舞?」

舞はいきなり名前を呼ばれて驚いた。はっと顔を上げると龍也がのぞいている。

「名前・・・呼んだの?」

「だめか?」

龍也は庭の石に座った。

「・・・」

「おい、悪かった。許せよ。」

龍也は困ったなあという風に頭をかいた。

しばらくぼうっとしていた舞だったが、ふと顔を上げて言った。

「ね、わたしも龍也ってよんでいい?」


突然のことで、冷静な龍也も思わず驚きを隠すことが出来なかった。


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