第二話
少年はまたあたりを見回してから、言った。
「お、おまえ とりあえずうちに来い。中2だろ」
舞はうなずいた。そしてその少年について行った。
誰もが少年と舞が出て行ったことは気づかなかっただろう。
それくらいあたりは騒がしかった。
「あなた、誰?」
舞は歩きながら訊いた。
「俺?あぁ、玉城龍也。おまえと同じ学校の中3だ。」
舞は少しとまどった。龍也は背が舞より低くて、まだ顔も幼かったからだ。
中1か中2くらいだと考えていた舞は
「中3なの?」
と叫んでしまった。
「おまえなぁ。」
龍也が言った。
「いくら俺が中1に見えるからってそんな驚くなよ。少しは気にしてるんだからな。」
「あ、ごめんなさい。コンプレックス?」
「いや、そんな大げさなもんじゃないけどさ」
龍也は笑いながら、舞に言った。
「家だ。」
龍也の指す家は・・・由緒正しい玉城家の豪邸だった。
「入れよ」
龍也はドアを開けて待っている。舞はすぅっと静かに入った。
そこは広い庭になっていた。
「・・・あぁ、閉めても通れるんだったよな。霊って。」
と龍也は頭をかいた。
「そうなの??」
舞はまだ気づいていなかった。
が、さっきの人混みで誰にもぶつからなかったのはそのせいだったのだ。
ぶつからなかったのではなく、通り抜けたのだ。
「それに」
と龍也が続けた。
「ちょっと飛んで(空を)みろよ」
舞は跳ぶ(ジャンプ)のだと思って跳んでみた。が、身体が軽くて制御がきかなかった。
「きゃっ、なになになに?」
「おいおい・・・大丈夫かよ。」
「私飛んでる!!」
「もしかしてまだ気づいてなかったのか?」
「私飛んだの初めて!」
「そりゃあそうだろうさ!!」
舞が落ち着いた頃、龍也はまた歩き出した。
「おまえ、なんで霊になったかわかるか?」
「そんなことわかんないよ」
「殺されたからだ。」
舞をよく知ってる人ならいきなりこんなことを舞に言ったりはしないだろう。
なぜならすぐにパニックを起こすからだ。
「え、私殺されたの?私死んでるの?ねぇ、私何なの?霊って何?じゃあどうして・・・」
さすがの龍也もこれには困った。
「っちょ、ちょっと待てよな。おまえ焦りすぎだろ。よく聞けよ」
そして龍也は少し考えてからゆっくりと言った。
「いや・・・。おまえ自分が死んでること気づいてなかったのか?」
舞は照れて笑った。龍也はあきれた、という風に首を振る。
「・・・成仏できねぇぞ」
「成仏?」
「そう。おまえは殺人者、つまり犯人を捜すんだ。そしてそれが見つかったら・・・」
「ったら?」
「その殺人者にとられた魂のようなものを取り返すんだ。そしたら成仏できる」
「成仏しなかったらどうなるの?」
龍也は少し躊躇して、それから言った。
「そのときは、俺が無理にでも消してやる」




