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5.初仕事(弐)

沢山の方に読んでいただいてとても嬉しいです。ありがとうございます。今回シリアス(?)の戦闘シーンを書けるように頑張ってみました。長いのでお時間のある時に読んでいただけると幸いです。

宜しくお願いします。

「瑠雨、後ろ下がってて。」

 喪模にそう言われ、僕は情けなくも彼らの後ろに下がった。

___パチンッ

 そう音をたててこの間と同じように証明が消えた。

 喪模を見ると手にはこの前見た武器が握られていた。なにもないところからスッと現れたので本当に魔法みたいだった。今度は鏡を見る、すると鏡が歪んで空間が裂けたように割れてそこから手が現れる。見ただけでは六本ほど、それは喪模達に向かって手を伸ばす。すると露忌が喪模の前に出る。手にはギーターのようなものを握っていたがギターと呼ぶには不思議な形をしていた。その持っていた楽器を思いっきり弾いた。突如紫色の稲妻のようなものが一瞬見えて、大量に出ていた手に降り注ぐそれはバチバチと音をたてて手を焼いた。焼けた手は地面に落ちる。次の瞬間にはまた手がさっきよりも多く早いスピードで襲ってきたがまた同じように焼いてしまった。

「喪模っ!!」

「おっけぇい!」

 露忌が叫ぶ、間髪を入れず喪模が前に出てそのまま鏡があるところまで走った。その間に襲おうとして出てきた手を露忌が焼き払う、幽羅は僕を守るように立っていた。喪模は鏡の前まで来ると鏡の中で裂けているところに杖の棒の部分を突っ込む、そうするとそれを払おうと手が出てきて杖の先の方を掴んだ、やばいじゃないか、そう思っていると喪模は思いっきりそれを引く、

「ぎゃああああああ」

 うるさいぐらいの声を出して鏡の裂け目が開く、そこから出てきたのは、

___子供?

 肩から腕を何本も出した奇形な子供、目は真っ黒で涙の代わりに血が流れていた。

「い゛だいよぉ、お゛があ゛さあ゛ん」

 目の前のなにかはお母さんと何回も呼んで泣き叫んだ。喪模はそんなことにはお構いなく首に杖の先端を突きつけた。

「動いたら殺す」

 なんだかその目には生気が籠もってない気がしてちょっと怖かった。女の子は喪模を見てわからないといった顔をしたが喪模の表情を見て叫んだ。子供特有の人の雰囲気を感じ取る能力が発動したのだろうか。

「いやああああああああ゛あ゛」

 黄色いようなしゃぐれてるような悲鳴を上げた。正直うるさいがその子は必死そうだった。本能的に動いたら死ぬことがわかっているようであまり大きな動きは見せない。

「こりゃ駄目だ...。脅しても言葉が通じない、っていうかうるさぁい」

 言葉の意味が通じていないことに気がついて、あちゃーと言ったいつもの喪模に戻る。耳を塞いで大分うるさそうだった。ここからだと距離が離れているから向こうはもっとうるさいんだろう。

「露忌ぃこいつ拘束できる?」

 拘束できるのか?とも思ったが彼らは半人外と言っていたし、能力持ちだと言っていた。そういえば知人に能力について聞いた時、なにいってんの?と言われたがアレはなんだったんだろうか、

「おっけおっけ、お嬢ちゃんちょっとこっち見える?」

 露忌が優しい声で近づいて少女の前に座る。黒く穴の空いたような目が露忌の目を見た。まるで、助けてくれるの、と言いたげに、優しく話かけただからだろう。しかし、苦しそうに表情を歪めた。けれど先程のように泣き叫んだり、動いたりはせずただ苦しそうにしているだけだった。後ろからなので露忌がなにをしているかわからなかったが本当に眼の前にいる女の子を動けなくしたようだった。

「死んだら手がかりなくなるから、そこんとこよろしく」

 喪模がそう言って、少女の前にしゃがみ込んだ。

「ねぇ君なんでこんなところで怪異やってんの?」

 今度は優しく言う。僕は幽羅と目配せして喪模達に近づいた。僕達はその様子を覗き込む。するとさっきの苦しそうなのが落ち着いて、なんだか様子も落ち着いたようだった。脅しだと駄目だとわかって今度は優しくして答えてもらうという作戦だろうか。

『知らない、先生がっ先生があたしのこと、死んじゃった。でねっそしたらね、ここから出られなくなってね、でねっでねっ...お母さん、帰りたあああい、お母さん、お母さんっ』

 その後、少女はお母さんと呼ぶばかりで特になにも言わなかった。

「この子お母さんの所に返してあげた方がいいんじゃないか?」

 僕がそういうと幽羅と露忌が頷いた。

「ありがとう。怖いことしちゃってごめんね。ねぇもう一個だけ聞いてもいい?」

 喪模が頭を撫でる。

「”君の他にもいる?”」

『うんっあたしの他に、友達も、っあと先生も』

 他にもいる...?もしかしてこんな奴等が他にもいるってことか!?

「わかった。ありがとう、頑張ったね。大丈夫、ちゃんとお母さんのところに戻してあげるからね。待っててね」

 にこりと微笑む、

「これは幽霊が怪異化したもの、この子の言い分だとこの子が先生と呼ぶ誰かに殺されて強制的に怪異化させられた。そう見ていいわよね?」

「いや、まだわからない。なにせ子供が言ったことだ、だけど信じないってわけにもいかないか...。」

 二人はすごく悩んでいるようだった。すると幽羅が手を上げる。

「他にも先生と呼ばれた方もいらっしゃいますし、そちらに行ってみるのいかがでしょうか...。」

 若干自信なさげだが、今悩んでいてもしょうがないことは事実だ。

「そうね、ひとまずはそうしましょう。で、それで本当にこの子達が殺されてるんだとしたら...」

「学校側と警察に報告...ですよね」

 任せてください、そう幽羅は言った。

 それとほぼ同時に鐘が鳴る。

「やっば、これ戻さなきゃ。」

 「早く、早くっ」

 付かないなーなんて言いながら壁に押し付ける、だけど一度留め具を破壊しているからくっつけられる訳がなかった。

「もういいや、」

 そう言うと鏡を押さえつけると靴で鏡を蹴る、すると壁が割れる音が響いて鏡が壁に埋まった。おかげで血痕は見えないが見事に壁が壊れているこれじゃ校長に怒られることは明白だ。

___いや、雑っ!!てかなんで鏡割れてないんだよ...。

「よしこれでおっけい、私達が男子トイレ入ってんのバレたらヤバいからずらかろう。」

 そうして僕達は足早にそこから離れた。

 今度は僕が先頭に立って道案内する。

「瑠雨、それで次に出会った場所はどこですか?」

「うーん実はあんまり覚えて無くて...。でも大人がいるってことは大人のほうが強いだろうし、それだったら心当たりがある。」

「道案内宜しくお願いします。」

 幽羅なにをするにしても丁寧だな、と思いながら僕は階段を上がって二階に上がった、途中廊下を通る。何故なら廊下を通らないとその場所には行けないからだ。しかし僕には懸念があった、

「お兄さん放課後一緒にお茶しませんか?」

___来たっ。

 先ほどいた自分教室内の雰囲気から見るに三人はどうやらモテる、絶対面倒くさいことになるなと思ってなるべくなら生徒の近くは通りたくなかった。

「わるいね、綺麗なお嬢さん。俺はちょっと用事があるんだ。また今度、いいかな?」

 気がつけば露忌は立ち止まって声をかけてきた子と話していた。やっぱりチャラ男をじゃねぇかという感想しかわかない、話し方とか見る限りそれだ。

 同じように喪模も幽羅も絡まれている。どちらも困った顔をしている、こういう時って嫌われ者の出番なのかもしれない、いやでも僕にそんなよくある悪役令嬢モノのができるかというとそんな度胸はないので黙って静観することしかできなかった。恰好が珍しいからだろうかあっという間に人だかりができてしまった。

「私は仕事で来たの、学生の本分は勉強でしょ?私の本分は仕事なの!だからアンタ達は教室に戻らっしゃい!!」

「ワタクシそういうの興味ないですし、あまり続けるようなら処しますよ?」

 なんだかちょっと幽羅が怖いのは気の所為だろう。しかし男子たちは全くそれに応じず話しかけに行っている。僕はなんとか勇気を振り絞って喪模の手を取った。

「行こう、」

 僕が手を掴むと人がサッと離れた。この嫌われようには涙が出そうだ。まさか他学年からも嫌われていたとは...。

 幽羅もそれに続いて僕の方に来る、ただ露忌だけが楽しそうに女子たちと話していた。

「ほら、行くよ、このチャラ男!」

 それを見つけた喪模は一度下がって露忌の首根っこを掴んで連れいく、

 そうして僕達はなんとか目的地にたどり着いた。

「ここは、大分古いですね。」

 そう、ここはもうすぐ取り壊される予定の旧校舎。普段はほぼ誰も来ないからホコリが積もっていて歩くと足跡が残る程度には積もっている。この旧校舎には二階からしか行けないから仕方なくあの道を通った。古いから誰も近づきたがらない、居場所がなくなった僕は青花とよくここに来て弁当を食べていた。

「これ、崩れるんじゃないか?」

 古くなった扉をガタガタしてる。彼らの腕力だと本当に壊すんじゃないかと思って怖い。

「でも、どうせ取り壊されるんだったら別に来なくてもいいんじゃないの?地縛霊は場所が潰れれば消滅するはずだし」

「馬鹿、手がかり探しにきたんだろうが」

「馬鹿とはなによ!馬鹿とは!」

 僕がつっこもうとして露忌がつっこんだ。二人は睨みあって火花を散らしている。目的を忘れてどうする、と言いたい所だがそれはちょっと怖い。

「もう、喧嘩はやめてください!、瑠雨その場所まで案内してもらってもよろしいですか?」

 幽羅が静止する。僕は頷いて前に進んだ。ちょっとずつ彼らの関係がわかってきた気がする、しかしわかっているのは喪模と露忌がボケで喪模が半分と幽羅がツッコミ役とということだけだが...。

 僕はゆっくりと歩みを進めた。

「えぇと、僕が出会ったのは確か1個上の階で一番奥の教室のはず...、あそこ日当たりが良くて電気無しでも結構明るいんだ。ただホコリ臭いのが難点だし、嗚呼そうだあそこでゴキブリ見つけ時は青花と叫んだりしてさ...あ、ごめん、なんでもない」

 ついつい喋り過ぎてしまった。密かに過ごした青春が楽しくて勝手に口が開く。強制的に関わりが遮断された彼らにとっては嫌な話かもしれない、でも、そもそも僕と彼らがそんな仲が良かったどうかなんてわからないけれど...。

「いいんだよ、瑠雨。お前がまた来てくれたんだ、一緒に思い出作ろうぜ」

 露忌が僕の肩を叩いて言った。前向きな言葉に後ろめたさがなくなる。記憶を失って、前と変わってしまった僕に無条件で好意を抱いてくれたのがちょっと嬉しくて僕は立ち止まる。

「ほら、行きましょう、瑠雨。初仕事、頑張りましょうよ!」

 うん、と頷いて僕はまた歩みを進めた。


 それから暫く他愛ない話をして目的の場所まで来た。

「ここが例の場所?...特になにも無い気がするけど」

 建付けの悪い引き戸は音をたてながら引く、真っ先に喪模が入った。

「それは前の場所でも同じだったでしょう、異変の元が幽霊だった場合は察知しにくいですから...。」

 そうなんだ...といいかけて知らない単語があることに気づく、

「あの異変って?」

「怪異が起こすと都市伝説や超現象のことをワタクシ達は異変、と呼んでいます。」

 つまり僕が出会ったやつらは異変ってことなのだろうか。

「異変か...。そういえばさっき戦ってたけどいつもあんな感じなの?」

「いいえ、あれは弱すぎました。普段あんなに簡単に行く方が少ないです。」

 僕が出会った時はこの世の終わりかもってくらい怖かったのにそれは彼らにとっては簡単、なのだろう。

「瑠雨ー、で今度はどっから現れるんだ?」

 教室は特にホコリ臭くて僕がこの間訪れた足跡がまだ残っていた。教室は至って普通の作りをしているがその中には教卓がと黒板があるだけで机や椅子などはない。

「あっごめん。黒板あるじゃん、そこに阿弥陀籤(あみだくじ)があるんだけど...。」

 露忌は黒板に近づいく、

「あーこれか、これなんの阿弥陀籤なんだ」

 そう言って阿弥陀籤の縦に引かれた線のうち一つをなぞろうとして、

「駄目!!」

 僕はそれをやっては行けないことを知っていたけれど、

「?」

 それはもう、遅かった一番最後までもう指は到達している、するとさっきまで白かった阿弥陀籤は血のようにどす黒い色になって阿弥陀籤の終着点___露忌が触っているところに”死”という文字が現れた。

「なんだ?!」

 露忌は驚いて後ろに下がってなにも無い所から武器を取り出した。

 僕はその様子を見ているとポトリと音がして首筋に水滴がついたような気がして指で拭う、なんで水が...、と思い拭った手を見て僕は絶句した。

「どうした?...瑠雨?」

 自分の手には真っ赤でドロリとした液体がついている。そして鼻を付くような鉄臭い匂いがしていた。僕がなにもできず固まっていると天井からものすごい量の血液らしきなにかが垂れて床一面に広がる。気づけば窓のそとは真っ暗になっていた。

「瑠雨!」

 ものすごい勢いで背中を押された、途端に現実世界に戻ってきた感じがした。なんだとおもって振り返ると幽羅が僕の背中をを押していた。顔は切羽詰まった顔でそれを見たのとほぼ同時に幽羅の肩が斬れたのがわかる。幽羅は肩を抑えてしゃがみ込む。恐らく幽羅は僕を庇ったのだろう、さっきまで僕が居た位置のすぐ近くには赤い血でできて人型のナニカが僕の喉笛を掻き切る形で長い爪で攻撃していた。

「幽羅!!」

 そのナニカの後ろから喪模が杖を鈍器のようにしてナニカを潰す、するとそれは形を保てなくなってぐしゃりと液体状になり地面落ちた。

「大丈夫!?」

 心配している素振りを見せながら喪模は幽羅に駆け寄った。

「大丈夫です、少し切れただけですから...。それよりもワタクシは瑠雨を守ります、ですので喪模達は残りの怪異を...」

 若干震えた声がした、喪模はどうしよう、そう迷った顔になって、決心したように頷いた。

「ええ、わかったわ!!」

 そのまま喪模は視界から外れる、残りの怪異って...、そう思って奥を見れば同じような血でできた人型の怪異が沢山いてそれは露忌の方に向かっていっていた。喪模はそこに向かって走っていく

 僕は幽羅に肩を貸して教室の端っこまで下がった。幽羅は僕を庇うように腕を広げてなにも通すまいとしている。その間喪模と露忌は怪異と戦っていた。僕は戦えて自分の身が守れれば幽羅も戦いに参加できる、そうすれば二人の負担も減るはずだ、なのに僕はなにもできない、自分の無力さが嫌になった。申し訳ない、そう思っても僕にはなにもできない、ただ黙ってみることしかできないのだ。

 その間にも喪模は戦っている、怪異を杖やギターで物理的に潰し、一定の隙ができた時は能力をつかって攻撃する、けれど怪異は崩れたそばから復活しまた攻撃に入っているせいで戦いが終わる気配は永遠に見えない。むしろさっきより量が増えている気すらする。

「ったく、きりがねぇなっ」

 二人は、なんとなくだけど僕の方に怪異を行かせないにしている気がする。そのせいで自分の近くに居る敵ではなく他の場所に行こうとしている少し離れた的を攻撃しているて、自分の周りの怪異に関しては避けることしかできていない。

「私が一回こいつら全部殺るだから露忌はその間にこいつの本体を探して」

 そう言って喪模は血溜まりの中心へと行くと中心に杖を突き刺して叫んだ、

 「お姉ちゃん!!」

 杖の先が変形して魔法陣らしきものが現れるそれとほぼ同時に杖を中心として巨大な鎌が凄い速度で回転してそこにいた怪異を一掃した。一斉に怪異が崩れて血溜まりに消えた。

___凄い、

 そう思って見とれていた時だった。

 もの凄い力で引っ張られた、抵抗する隙なんてなくて僕は何故か自分の足元に出現していた血溜まりの中に引っ張られる。僕はそのまま真っ赤な穴の中に落ちる、遠くから幽羅の自分の名を呼ぶ声がした。

読んでいただいてありがとうございます。誤字脱字が多く申し訳ありません。怪異に連れ去られた瑠雨はどうなってしまうのか、次回も宜しくお願いします。

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戦闘ハラハラします。瑠雨がどうなるのか気になります。
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