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4.初仕事(壱)

今回は普通ぐらいの長さです。読んでくださる方本当にありがとうございます。読んでくださる方が二〇〇人を超えました。本当にありがとうございます。そこそこ長いので時間のある時にお読みください。

 次の日の朝、僕は久しぶりに熟睡することができた。彼らの事務所に言ってバイトします。そういったその時ぐらいからだろうかなんだからずっと見られている気分だったのがすっと引いていって帰り道でも家に帰ってからも怪異が僕の前に現れることはなかった。そのせいかここ数日不眠だったのが嘘のように取れた。けれどまだ彼らと一緒に働くという実感がわかない。そもそも正式に審査したわけでも、入社したわけでもない、ただ単に口約束だ。もしかしたらなかったことにされるかもという不安はあるが、あの人達だったらそんなことはないだろうけど、もしかしたら手続き忘れてたなんてことはありそうで、あとでもう一回彼らのところに行って正式に認めて貰ったほうがいいかもしれない。まだ彼らのことを全部わかったわけではないから、若干の不安は拭えない。だが僕は彼らが彼ら同士で話しているあの雰囲気が好きだ。だから彼らの一員になれるならそれは嬉しい。そういえば喪模と露忌が言ってた今日わかることと何故か今日仕事があるということはどういうことなんだろうか。

 僕はそんなことを思いながらいつもより軽い足取りで学校へ向かった。


 そのまま僕はいつも通り進んで教室の前まで来た。中からは楽しそうな声が響いている。

___開けにくい...

 それは何故か、何故かというと、

 ガラガラとできるだけ静かに開ける。皆の視線が僕に集まった。途端に教室が静まりかえる。

「...。」

 そう、ここ数日ずっとこの調子なのである。自分が座るはずの席の周りだけ誰もいなくて最悪なことに僕の机の上には花が咲いた花瓶まで置かれている。これじゃまるでイジメだ。普段各々で尖ってるうちのクラスがこういう時だけ一致団結する。はぁとため息を吐くと誰かがこっちに来た。

「よう。」

「青花...。」

 そうだった。僕の周りから友達はいなくなった、けれど青花だけは僕と今まで通り接してくれた。今日、今だっていつもと変わらずにニコニコとして挨拶してくれている。嘘でないとは言い切れないけれど人間関係が崩れた僕にとっては心の支えだ。。

「なんだよ、いきなりほら、授業、もうちょっとで始まるぞ。行こうぜ」

 僕の机のところまで一緒に移動して当たり前のように花瓶をどかしてくれる。本当に青花はいい奴だなと思った。

 それから次の出来事が起こるまでそう時間はかからなかった。

 学校のチャイムにしては特殊な音がスピーカーから流れたどうやら授業が終わったようだ。確か今終わったのは二限目、次の授業の教科はなんだったか時間割を確認しようとして何故か窓側に人が集まっていることに気がついた。なんだろうと思って近づいても誰も避けようとしない、余程珍しいなにかでもいるのだろうか、僕も窓際まで行って外を見る。

「えっ」

 残念なことにあまり僕は視力が良くないがあまり見かけない髪色で僕は感づいてしまった。

___異変解平社...?

 彼らを僕はなんと呼べばいいかわからなくて取り敢えず会社名で呼んだ。

「えっ誰?不審者?」

「待ってあの人めっちゃイケメン!」

「すげぇ髪色...。」

「こんな時間に誰だろう?卒業生とか?」

「いやそんなに年いってないだろ、あっ見て校長先生だ。」

 クラスメイトが口々に感想を述べている、よく見えないがどうやら校長が迎えに行ったらしい、本当に何故来たのだろう、そんなことを考えていると青花が横に来た。

「どした?瑠雨、知り合い?」

「あっいや...。」

 その時だった。

___ピンポンッ

 校内放送が流れた。

『二年C組日無気子 瑠雨、職員室に来なさい』

 皆の目が一斉に僕に集まる。一瞬怖くてヒヤッとした。そして行かなきゃと思い青花の質問は後回しにして

「ごめん、ちょっと行ってくる」

「あっおい、」

___知り合いなんて言えるわけ無いだろっ絶対目立つ...

 そんなことを思いながらなるべく早足で職員室へ向かった。

 職員室は二階にある、だから着くのにそんなに時間はかからなかった。

 今度もやはりなるべく音をたてまいとして引き戸を引く、こちらも古いもので音が鳴った。こっそり中に入るとすでに教員数名が待ち構えていて僕のことを睨みつけている。

「来たか、日無気子。来い、」

 そうとだけ言うと教頭先生は入口に立っている僕を押しのけて歩き出した。どこに行くのだろうか、

「お前みたいな気味悪いやつをどうにかしてくれる奴をわざわざ呼んだんだ。感謝しろ」

 そうとだけ告げた。

 僕はすでに学校内での問題児になっているようだ、そりゃそうか生徒に怪我させたり学校の備品破壊したり学校壊したり生徒達を気味悪い目になんかいも合わせたんだ、だからってこの嫌われようは流石に傷つく、別に僕が悪いわけじゃないなのに。

 僕がそのままついていくと教頭は校長室の前まで来た。職員室とは違って校長室は一階にある。この学校に入ってから始めて来たかもしれない。

「校長、連れてきました。」

 教頭がそう言うと謎に豪華な扉の奥から声が聞こえてきた。

「ご苦労。日無気子、入れ」

「はい...。」

 なにが起こるのだろうとドキドキしながら扉を開けた。

「なんで...」

 扉を開けた先にいたのは機嫌が悪そうな顔をした校長と___満面の笑みをした異変解平社の皆だった。

「よう、瑠雨」

 露忌が片手を上げる。僕は状況がよくわからなくてポカンとした顔になる。

「知り合いなのですか?」

 校長が驚いた顔をして尋ねる。

「まぁそんなところね、で校長、話ってなにかしら?」

 喪模が自身満々で告げる。はぁ...と顔に?を浮かべながら咳払いをした。

「ご依頼した通りでございます。ここ最近こいつの周りで気味の悪い出来事が多発してまして、実害も出ていて、教員も生徒も困り果てているのです。警察に相談することも考えましたが、なにせ証拠もない。しかも現実とは思えないようなことが多く、そういうモノを解決しているとお聞きしご依頼したまででございます。」

 入学式でも普段でも偉そうで気の使えない校長が謙って喋っていることにとても驚いた。それだけ困っているのだろうか、しかしそれにしても普段と性格が百八十度違って違和感しか無い。

「大丈夫です、校長。我々が来たからには絶対に平穏に戻します!」

 露忌が一歩前に出て宣言した。本当に宣言していいのだろうか...。そしてこれから僕はどうなるのだろうか。僕がそんな風に肩身の狭い思いをしていると校長が今度は偉そうに言った。

「日無気子、お前は今回の出来事が収まるまで授業には出させない。それと異変解平社の方々と行動しろ、これ以上なにか起こると来年の受験生が減るかもしれないからな。」

 厄介奴は居ないほうがいいとかそんなことを考えているのかもしれないが、確かに学校側として受験生が減るのは致命的だろうし、僕がまた怪異に遭遇して死人が出たらたまったもんじゃない。まだ僕は身を守る術を教えてもらっていないし、もし遭遇しても露忌達と一緒にいればどうにかなるだろう。

「わかりました。」

 取り敢えず状況を飲み込んで頷いた。

「それでは校長先生、ワタクシ共は調査開始いたします。何かわかったら方向する、ということよろしいでしょうか?」

 幽羅が確認を取った。

「えっええ、構いません。よろしくお願いします。」

 また丁寧な口調になって、椅子から立ち上がり頭を下げた。それを三人は見届けて、

 「よし、じゃあ行くぞ瑠雨、お前の初仕事だ。」

 露忌に肩を組まれて、校長室から出る。教頭は職員室に帰ったのかいなかった。

「初仕事ってなにすればいいんだよ...。そもそも僕がここで怪異に遭った理由はこの間言ってただけじゃないのか?」

 ちょっと、いや大分力が強くて苦しい、できれば離してほしかったけれど暫く離してくれなかったので頑張って抜けた。露忌が軽くおっといった。

「いいや、あれは狙われやすくなるだけだ。お前が遭遇した頻度は普通じゃないし、現にこの学校にはなにかある。」

 ちょっと真剣な顔つきになりながら言った。

「...。てかどこに向かってんのさ」

「うーん、瑠雨。アンタ、一番最初にこの学校で怪異に遭遇したのってどこ?」

「確か...。嗚呼、この階にある保健室近くのトイレだったと思う。」

 いろんな怪異に出会いすぎてあまり覚えてはいなが、紫貴を最初に巻き込んでしまった場所だったから覚えている。

「おし、じゃあそこ向かうぞ。あっ道案内はよろしくな、瑠雨くん」

 やれれと思いながら僕は三人を最初の現場まで連れて行った。

「てかちょっと待って、ここ男子トイレじゃん」

 喪模がうげっと言って後ろに退いた。

「そりゃそうだろ、逆になんで女子トイレだと思ったんだよ。瑠雨は男だぞ?」

「じゃあ僕と露忌の二人で言ってこようか?」

 流石に別の性別のトイレに入るのは嫌だろうということを汲んで代替案を提示する。

「今って授業中よね...。じゃあ人は居ないはず、うん、大丈夫。大丈夫...」

 なんだか自分の嫌な気持ちを頑張って抑えてるように見える。

「ワタクシは構いませんけれど、喪模、本当に大丈夫ですか?」

 幽羅が心配そうに尋ねた。

「大丈夫って言ってるでしょ!、大丈夫!」

 そうい言って自分からドアをガンッと音がたつくらい思いっきり開けた。

「誰もいない、よかったぁ」

 と、そんなことを呟きながら。

 じゃあ取り敢えず見るか、という流れになって幽羅はスマホを取り出した。なんだろうと思っていると幽羅は答えるように言った。

「温度は校長室より低いですね。」

 温度計だったようだ。最近のスマホは便利だな...。

「ふぅん。でもここで瑠雨が怪異に出会ったってことはここの怪異はもう居ない、あるのは残り香だけね。」

 そう言いながら全体を見回した。

「そうだね、原因だった鏡も割れちゃったし、ここにはなにもないかもしれないな...。」

「いや、そんなことはない。」

 隣で露忌が言う。それってどういう...、そう言いかけた時、露忌は取り替えられた鏡の前まで行っく、するとバキッという破壊音が聞こえた。

「ちょっなにして...あ、」

 取り付けてあった鏡を無理矢理破壊した。後で校長に怒られる、そう考えた、そしてなにがしたかったんだと鏡があった筈の壁を見つめて気がついた。

「御札...。」

 そこの壁だけ血しぶきが飛んだような跡があってそこには大量に御札が貼られていた。しかもそれは剥がれかけいたり爪で引っかかれたような跡が残っている。

「瑠雨が襲われたって言ってたのはここに有った鏡だろ?」

「うん、なんでわかったんだ?」

「俺、実家が神社でさ、こういうのわかるんだ。」

「へぇ、」

 そういえば昨日神様がなんか言ってたことを思い出した。

「これ血ですかね?」

「そうとしか考えられないな、取り敢えず写真撮ってこの血をちょっと回収するか...。」

 こんな血血飛沫みたいな血を見たのは初めてで、僕は驚いた。それに反して彼らは慣れているようで、自分との差を感じた。

「こりゃ警察さんのお世話になるかもね。」

 喪模が呟く、

「けっ警察?」

 警察とはなんだか関わってはいけない感じがするので思わず声が出てしまった。

「だって血があるってことは被害者がいるんだから警察に調べさせたほうが早いでしょ?」

 確かに...。それにしても警察は僕達にそんなことを教えてくれるんだろうか。

「まぁまだ決まったわけじゃないですし、他の場所とかも見て決めるから大丈夫ですよ」

 ふふっと笑いながら幽羅にフォローされる。

「もうここにはなにも無さそうだし、別の場所行こうよ、僕ここなんか怖い。」

 この間の光景がフラッシュバックしそうだったし、血を見るとなんだか怖くなってしまった。だから喪模がの服を軽く引っ張ってそう言った。

「ええ、そうね。でもまずこれが生徒にバレるとパニックになっちゃうから鏡元に戻さないと...」

 そう言いかけて喪模は突然険しい顔になった。

「幽羅、露忌、」

「わかってる、」

 僕はどういうことかわからなかった、けれど僕にもすぐわかった。

___鏡がまたっ。

 どういうわけか、また鏡が紫色に光っていた。

読んでくださってありがとうございます。長いので一度ここで区切ります。瑠雨が出会った怪異達はなにものなのか、あの血は誰のものだったのか、次回作もよろしくお願いします。

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