3.遭遇の理由
今回はちょっと短めです。途中台詞が馬鹿みたいに長いのでお時間のある時に読んでいただけると幸いです。よろしくお願いします。沢山の方に呼んでいただいて嬉しい限りです。
あれから数日僕の精神は疲弊しきっていた。学校、家、通学路、どこに居ようが関係なく怪異は現れた。毎回のように死を覚悟して、その度になにかよくわからない力に助けられる。どうせ助けてくれるなら危ないギリギリじゃなくてもっと事前に助けれくれればいいのに、それすれば僕は友達を失うことも、先生から問題児扱いされることもなかったのに。何故そうなったかといえば僕は幾度となく友人たちを彼らの現象に巻き込んだ。その結果気味悪いと言われ友達は話してもくれなくなった、それどころかクラスの皆なが僕のことをヤバいヤツという目で見られるようにったし、廊下では明らかに避けられるようになった。その度にちょっと前まではこうだったのにななんて考えが頭をよぎる。こっちだって好きで怪異と遭遇したり死にかけてるわけじゃない。
___いつからだ、いつから僕はこんなよくわからない目に会い始めたんだ。
そして僕は思い出した。彼らだ、昔の僕の知り合い達、彼らに出会ってから僕の日常は一変した。つまりこの状況になっているのには少なからず彼ら関係している。それで言えば僕が毎回助かっているのはスマホがあったからでなににかから助けられる時は毎回スマホからだった。僕のスマホでなにか変えたことといえば彼らの連絡先を追加しただけ。もうこれ以上こんな目に合うのは御免だ。彼らのところに行ってみよう。僕はそう思い達学校が終わってからは駆け足で学校から出て、買い替えた制服で彼らのところまで向かうことにした。
運がよかったのかこんかい移動中に怪異と合うことはなかった。前降りた所と同じ所で降りる。幸いこの間物珍しさで撮った写真の位置情報から事務所がどこにあったかは簡単にわかった。ナビアプリの案内通りに道を進んでまたこの間の裏路地に入る。相変わらず誰もいなくて静まり返った通りだった。
___あった。
前回と全く同じ造りの建物を見つけた。入口から入って階段を登る、確か階は三階だったはずだ。向かうとそのとおりに事務所はあった。扉の近くにインターフォンがあることに気がついた僕はすかさずそれを押した。無音の空間にインターフォンの音が鳴り響く。しばらくするとガチャリと扉が開いた。
「はいはい。もうセールスはお断っ、瑠雨!?」
どうやら僕が来る前にしつこくセールスが来ていたらしい、完全にしかめっ面で出てきて僕の顔を見た瞬間あっ、といった表情になる。それから笑顔になるまでとても早かった。
「おかえり、どうしたの?」
可愛い顔でニコリと僕微笑む。
「あのっ聞きたいことがあって、来た。」
そういった途端わかってた、そういった顔つきになる。
僕は喪模に通されてソファーに案内された。前回来た時はよく見なかったけれど意外と綺麗な事務所で観葉植物がいくつかあったり所長机的なものがあって今日そこには机に足を投げ出した露忌の姿があった。
「いらっしゃい、瑠雨。」
読んでいたらしき本を机に置いて露忌は椅子から立ち上がった。
「というか露忌が所長なの?」
「いいや、俺はただ座ってただけ、今所長はここにはいない」
座っていたからもしかしてと思ったがどうやら違うらしい、まぁこんなチャラ男に所長は任せられないか。そして僕はそのままソファーに座った。続けて僕の隣に露忌、真正面に喪模、その隣に幽羅が座った。
「それで聞きたいことって?」
喪模が真剣な顔つきで話し始める。すかさず僕は言った。
「なにってわかってるって顔してたじゃないか」
一息置いて彼女は言う、
「はぁ、アンタはきっとこう言いたいんでしょ?お前達に会ってから怪異に襲われるようになった、そしてこうも思ってる、それは私達のせいなんじゃないかって」
僕は頷いた。本当にその通りだった。そして僕は思ってしまう、そのように予想できる出来事だったのなら何故僕に教えてくれなかったか、と。
続けて喪模は言った。
「言い逃れはしないわ、言い訳のしようがないぐらいその通りだって、」
「ふざけるな!!」
机を叩いて立ち上がった。ついに僕は怒りが抑えられなくなった。元々そんなに起こっていたわけではない、けれどわかっていたことを教えもせずなによりそれが自分達のせいだって堂々と認めた。せめて嘘でもいいから否定してほしかった。なにがあったかは多くは語れないけれど僕は人生で最も大事にしていた友達を失って僕が大好きだった普通の日常から大きくはなれ、ついには命の危機を日常的感じている。そんなことが一気に頭の中来て今までなかった怒りが湧いた。
「ごめんなさい。けれど、これは避けようがないことでしたの。」
横から幽羅が口を挟む
「どういうこと?」
怒りを必死に抑えようとして昔本で読んだ六秒間黙るという方法をとって聞き返した。どうやら本当に効果があるようで比較的落ち着きながら声を発することができた。
「長くなってしまうかも知れませんけれどきちんとお伝えします。まず瑠雨が最初に出会ったかあれは本当に偶然です。そしてあの時喪模が助けに入っていなかったら確実に瑠雨は死んでいたでしょう。瑠雨、前にワタクシ達が怪異と戦っていると言ったのは覚えていますか?」
僕はコクリと頷いて僕はもう一度席に座った。
「ワタクシ達は沢山彼らを殺しました。ですから通常ワタクシ達が怪異と出会うためには強制的に出現させる為に正しい手順を踏まなければなりません、そう、ワタクシ達は瑠雨を利用してしまったのです。」
「一体それはどういう...」
僕を利用した?、彼らの口ぶりでは僕のことを仲間と言っていたがそれは嘘だったのだろうか。取り敢えず続きを聞こう、僕がなにかを言うのはその後でいいはずだ。
「彼らはワタクシ達を止める為の手段を探しています。そこで貴方は恰好の的、だったのですよ。瑠雨と喪模が出会い、彼女は貴方のことを思って泣いてしまった。瑠雨がワタクシ達の大切な存在で、尚且つ自分で怪異を倒す手段を持っていない、彼らからすればこれ以上いいモノはないでしょう。だからワタクシ達は僅かな期待を持ってあえて無理矢理ワタクシ達の近くに居させなかった。貴方がいればこのあたりに居る怪異を一掃できる、そしてそれが続けば確実に貴方はその責任がワタクシ達にあると気がついてワタクシ達の所に来てくれる、そういうことにしたかった...けれどこれは建前なのです。」
「ちょっ、幽羅!」
喪模が驚いたように静止する。
「ワタクシ達が完全に悪者になる必要なんてないです!それにこのやり方で瑠雨を守り続けるには無理がある、それは喪模もわかっているでしょう?」
幽羅は声を荒げた。そして話を続けた。
「話を戻します。本当は貴方を守るためでもあった、ワタクシ達と接触してしまった以上もう元の平穏な生活はおくれない、けれどあの時瑠雨は怪異はただいるだけだと言った。危機感が足りなかった、あの時点でワタクシ達が貴方を守りに入ってしまえば貴方は怪異の恐ろしさを知らず、見ず知らずのワタクシ達に不信感を持ったまま一緒にいることになる、そうすれば怪異の恐ろしさを知らない瑠雨はいつかは確実に死ぬ。」
危機感が足りない、本当にそうだと思った。口裂け女を出会った時は怖かったけれどあれはただの偶然で人が近くにいれば襲われることはないとか怪異に認識されなければ大丈夫とかそんな考えは甘かった。
「最初彼らと遭遇した時それは偶然だと、いや、そう思わざる負えなかったのかもしれませんがそう信じ込んでいました。怪異を一掃するのはついで、本当は瑠雨が不信感を持つこと無くワタクシ達と一緒に行動してもらうこと。だから一定の恐怖を味わってから貴方を助けた、これがワタクシ達が取った行動の真意です。ワタクシ達の無茶な我儘に付き合ってくれてありがとうございました。そしてごめんなさい。」
けれどこれで彼らの行動の意図はわかった。それと一歩間違えれば死ぬかもしれないそんな状況を平穏だと信じ込んで生きていたことに鳥肌が立つ。きっと建前を作ってくれたのは自分たちが僕にとっての罪悪感を自分たちの都合で自分たちの我儘でやっていたと信じ込むためだったのだろう。重い話だ、でもそれを聞いたからと言っても友達を失った心の傷は大きい、それだけ大事だったんだ。僕は、なんて言ったらいいんだ、なんて言ったら僕の言いたいことが言えて、彼らの考えを守れるのだろう。緊迫した状況だったのか僕は答えを急いだ。
僕は思いついた。彼らの意思を尊重して、自分の身も守れて、尚且つ僕の将来を守れること。すこし我儘になるかもしれない、いや、いい。僕は傷つけられたんだ、ちょっとぐらい傲慢になったっていいはずだ。だから僕は頑張って口を開く、
「僕は、君達が日常を崩したことがまだ許せてない、けど、僕だって死にたくないし...。ええっと...そう、僕は、君達の思う通りにしたんだ、だから今度は僕の思う通りにしてくれ」
「つまり...?」
喪模が申し訳なさそうな、不思議そうな顔をした。
「君達はここで仕事してるんだろ?その...」
僕は全力で悪役を頭の中でイメージして言った。
「僕をここでバイトさせてくれ!」
「は?」
露忌が関係がよくわからないといった顔になりながら言う。
「僕がここで働けばお金も稼げるし、仕事しないといけないんだから身を護る術だって教えてくれるだろう?君たちが僕を守ろうとしてくれたことはわかった。それでも君たちは申し訳ないって思ってるならこれでちゃらってことで、どう!?」
なるべく堂々と言い切る。
もっと罵倒されたり罵られると思ったのだろうか、三人は呆気にとられたような顔をして、それか驚いた顔になって、
「いいの!?だって私達アンタのこと何回も死にかけるような状況にして、アンタの友達だってなくしているんだよ?」
喪模が軽くパニックにでもなったかのような様子で瞳孔が渦巻いている。
「えっうちに?来る?瑠雨が?えっなんか俺良いことしましたっけ神様」
あまりにコミカルな反応でついつい吹き出してしまう、先程のシリアスな雰囲気はどこにいったのだろう。まぁ、その雰囲気をぶち壊したのは自分なのだがそれはいいだろう。
「本当にまた一緒に働けるのですか!?」
幽羅は動揺しているような嬉しいような声色で言う。
「うん、だって僕が襲われたことに君たちは直接関与してるわけじゃないし、君たちがいなかったら今僕はこうやって怒ったり話たりできていないんだから起こる通りなんて無いんだよ。」
実際僕は彼らに助けられなければあの口裂け女と遭遇した時にすでに死んでいる。命の恩人に起こるなんて頭がどうかしていると思う。
「瑠雨、お前昔はこんな聖人君子じゃなかったぞ...。最高神よマジでありがとう!」
本当に面白い反応だな...
「でも、僕が友達を失った件については許してないからね」
笑顔でそう告げる、すると一瞬石のように固まって
「「「すみませんでしたっ」」」
全員揃って頭を下げる。先ほどの謝罪に比べると大分軽いが僕はこのぐらいのほうが好きだ。あれは僕はキレたからもあるけれどあの重い空気は胃が張り裂けそうだったから。その後頭を上げた露忌が椅子を立って胸を叩いて自身満々に言った。
「大丈夫!俺等がどうにかする!」
「どうにかするってどうやって...」
僕がそう言うと露忌は喪模と幽羅を近くに呼んで部屋の隅に集まるとなにやらコソコソと話始めた。
暫く話すと二人は『成程!』と言ってまたこちらに戻ってくる。
「まぁまぁそれは明日わかるから、取り敢えず今日は帰りなさんな、バイトくん。」
喪模は笑いながら僕をバイト君と呼んだ。今日から僕も彼らと一緒に仕事をすることになるのか...。僕は言われるががまま帰る支度をした。
そして僕の帰り際に露忌が僕に言った。
「瑠雨、お前明日仕事だからよろしくぅ〜。」
「??」
そして僕は友達のことも仕事のこともよくわからないまま帰ることになった。
読んでくださってありがとうございます。今回大分頭使って書きました。チート系にならないように頑張っているつもりです。書くの結構疲れました...。次回作もよろしくお願いします。




