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23.誰のせい

開いてくださりありがとうございます。

長いので時間がある時にお読みください。

宜しくお願い致します。

「あの後私は息子を探しました。でも恐らく息子にとって家は以後心地の悪い場所でしょうから唯一、一人になれた場所の自室にいるのではかと思って向かいました。案の定息子は居て話をしました。私が無理に話をしなければよかったのでしょうか。息子は一人にしてくれと言っていたのに私はなにがあったか知りたくて、それ以前に息子が心配で無理やり話をしたのです。」

「親として自分の子供の心配をするのは当然ですよ。」

 僕に両親の記憶がないからわからないけれどきっとそうなんだと思う。

「そうですね。息子は夫のことをひどく憎んでいるようでした。当然ですよね。子供の頃辛い思いをしたでしょうから。

 けれど私は、本当は家族で平和に過ごしたかった。夫を私は夫を庇う発言をしました。そこで言い合いになって、なんで母さんはあんなやつのことを庇うんだと昔から誰にでもいい顔してそんなんでいいのかって。私は夫の言いなりになっていただけだったのでそう思われてもしょうがないと思います。そうなっていた時...」

「魔嚥ちゃんが来た、と。」

「はい。きっと息子は普通の精神状態じゃなかったのでしょうね。魔嚥ちゃんを見たときの顔は忘れられない。私は魔嚥ちゃんは一時的に預かっているだけだと説明しましたが聞く耳を持ってはくれませんでした。そこからずっと言い合って私が貴方の本当のお母さんだってこんなことは望んでないだずだって言ってしまったんです。本当にお母さんが大好きなんでしょう。結局アンタもそうなのかって、そしたらいきなり部屋の家具や物が裂けて、後は御覧の通りです。」

「っ完っ全にあいつがおかしくなってただけじゃない。」

 その通りではあるがそれでも喪摸が露忌のことを責めないのは思う節があるのだろう。

「なんでいきなりあんな風になったんだろう?」

 堕ちると言われてもきっかけとか原因があるんじゃないだろうか。

「人によってきっかけは様々よ。露忌の場合はお父さんに会うこと、だったんじゃないかしら。どうしよう、このまま先輩達みたいに...」

 喪摸がなにかを言いかけた。最後の方は小さくてきこえなかったけどどうしようと困っている様子は見てとれる。

「やっぱりあたしがいるからなのかな。」

 静かに話を聞いていた。魔嚥が涙目になりながら言った。

「違うわ、運命の神がそうなさったのよ。」

 遥さんは魔嚥の頭を撫でた。

「あの、魔嚥ちゃんがさっきから自分で不幸を招いてるって言ってるんですけど、なんでなんですか?」

 ずっと気になっていた。この子の発言。そもそもなんで託児所でもない場所に子供一人を預けるのか。

「これは貴方達に隠す必要はないですよね。この子とその近くの人は不幸に遭ってしまう呪いがかかっているのです。」

 呪い?

「呪印があるから恐らくなにかから呪われていることは確かで、でも魔嚥ちゃんもそのご家族も心当たりはないって。」

 そういうと魔嚥は目線をそらした。この逸らし方には覚えがある。言わないだけできっとここ当たりがあるんだろう。

「それは今回の件に関係あるんですか。」

「わかりません。魔嚥ちゃんの呪いがどの程度強いのかも範囲もまだわかっていないのです。だからうちに依頼が来てどうにかしてほしいとそれで今預かっていて…。」

 そう言いかけた時ピンポーンと古いインターフォンの音が鳴った。誰か来たのだろうか。

「すみません。少し席を外します。息子と魔嚥ちゃんのことよろしくお願いします。」

 遥さんは立ち上がってお辞儀をすると部屋から出て行った。

「ねぇ喪摸。露忌本当に大丈夫なの?このままだと怪異になっちゃうならそれを止める方法はないの?」

 質問攻めになって申し訳ないが本当に平気なのか気になる。気を失っていれば大丈夫なのか。それともその間も進行してしまうのか。助かってほしい。けれど僕には怪異になるとどれほど大変なのかわからない。喪摸の方がよっぽど深刻と考えているようだった。

「意識がなければ一旦は浸食は止まる。幽羅が来てくれれば時間稼ぎくらいはできるわ。止める方法…神に直接頼むか、信託者の力が使えれば…。」

「神様は無理だもんな…信託者、お父さん?」

 喪摸の話を聞いたと時に露忌のお父さんは信託者だと聞いた。もし神託があればどうにかできるんだったらそれが一番手っ取り早い。

「それぐらいしか方法が思いつかないのだけど…。」

 喪摸はうーんと唸った。理由はわかる。

「殺しかけてる…というか骨折ってるし、協力してくれるかどうか。」

 露忌がお父さんを殺しかけた理由はわからないが行動には理由がある。全てを聞いたわけではないがあの場での発言や喪摸からの話を聞く限り相当偏屈な人間に間違いはない。

「けれど協力してもらわないと露忌が危ないの。説得できるからしら…」

「やってみるしかないか…って幽羅はなにも知らないままじゃないか、連絡しないと。」

 今の状況ばっかりで幽羅のことを忘れていた。連絡をしようとスマホをみる。そこには通知が大量に来ていた。なんだと思って開くと全て幽羅からの連絡だった。悪いことをした。一番最後には終わったと連絡が来ていてそれから連絡はない。

「なんか書いてあったの?」

「いや、終わったって、にしても早いな。」

 嗚呼、と喪摸は思い出したように言った。

「あの手を使ったのね。使えるものは使うスタンスなのかしら。」

 あの手と言われても僕にはよくわからない。幽羅がわざわざ隠すなら言いたくないのだろう。だったら聞かないほうがいい。

「へぇ…」

 適当に返事をする。

 すると階段を上ってくる音が聞こえた。遥さんが帰ってきたのだろうか。

「遅れました!!」

 足音はまだ続いているのにそれより先に扉が開けられた。見るとそこには大分焦った顔をした幽羅がいる。

「来るの早くない?」

「闘夜さんが送ってくれたので。」

 頭の中でグッとサインをしている様子が思い浮かんだ。気が利くタイプなんだな、と思う。

「ってなんで露忌が倒れてるんですか⁉」

 驚いた顔をする。無理もない、突然来て見せられた状況がこれでは驚きもするだろう。

「立って話すのもなんだからこっち来て。」

 幽羅は不思議そうにこちらにやってくる。


 その後遥さんもやってきて全員座った所で僕達は幽羅に事情を説明した。


「そうですか…。わかりました。できる限りのことをしましょう。ワタクシは意識が戻らないようにするのでお二方はお父様を説得していただきたいです。」

 状況を理解するのが早い。露忌の過去を説明した時とても悲しそうな顔をしていた。そしてお父さんに強い怒りを覚えたように見える。彼女となにか関係があるのだろうか。

「そういえば幽羅は時間を戻せるんだよね?だったそれでどうにかできないの?」

 さっきは思いつかなかったが時間を戻して人の傷を治していたことを思い出した。それを使えば怪異になる前に戻してどうにかできるのではないだろかと考えた。

「正確には時間を戻すのではなく再びそれを提唱する能力です。それにこれは魂の問題なので肉体しか戻すことはできません。」

 能力には色々規制があるようだ。それに概念の話をしているので理解するのが難しい。

 では何故進行は止められるのだろうか。それを聞こうとして、幽羅は続変えた。 

「意識がなければ魂は動けないので意識がない状態を維持し続ければ進行は止められます。

 ただ時間稼ぎ過ぎないですし、ワタクシが寝てまうと能力が使えなくなってしまうのでその前にお父様をどうにかしてください。」

「ありがとう。じゃあお願いできる?」

「勿論です。」

 そう言うと幽羅は寝かせてある露忌の近くに手を置く。地面に変な記号が現れて体が薄く光った。

 何度も思うが本当に魔法みたいだ。

「本当にありがとうございます。息子のこと宜しくお願いします。」

 遥さんはなんども幽羅と僕らに頭を下げる。別に悪いことは誰もしていないのだからそんなに頭を下げる必要なんてないのに。

「お姉ちゃん凄い!魔法使いみたいだね!」

「貴方も色々大変なのですよね…。ふふっありがとうございます。」

 先程魔嚥の話もしたので幽羅は魔嚥のことも知っている。そのことを気にしているのだろう。

「お兄ちゃん助かるの?」

 心配そうに露忌を見る。子供の目はいつだって純粋だ。

「助けてみせます。貴方はなにも悪くないですからどうか自分を責めないでくださいね。」

 優しく魔嚥に言った。事実はわからないが魔嚥が直接なにかをしたわけでは当然ないだから、自分のせいなんだという必要は全くないということを伝えたいかもしれない。

 そこで着信音が鳴った。

「はい、アナタ?はい…はい、わかりました。今すぐ向かいます。」

「どうかしたんですか?」

 喪摸が聞く。呼び方からしてお父さんだろう。

「医者から一人で帰らせられないと言われまして迎えに行くことになりました。入院まではいかないそうですがかなり怪我が酷いらしく。」

 彼の力で蹴ったのだからそのぐらいにはなるだろう。逆に入院にならない方が不思議だ。まぁあの体格だから一般人より丈夫だったんだろうと推測した。

「じゃあ魔嚥ちゃんは私達が見ておきますからどうぞ行ってください。」

 喪摸が大変ですね、と苦笑いをする。

「なにからなにまですみません…。」

 そしてまた頭を下げる。

 時間がないならおちおち待ってなんていられない。迷惑になってしまうかもしれないがお父さんと話をして早く説得したい。

 迷惑を承知で僕は口を開く。

「あの、すみません。僕もついて行っていいですか?」

「「え?」」

 二人は不思議そうに僕の顔を見た。

読んでくださりありがとうございました。

次回はお父さんと話します。果たして説得できるのでしょうか

次回もよろしくお願いします。

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