20.実家
開いてくださりありがとうございます。
そこそこ長いのでお時間のある時に読んでください。
つまらなかったらすみません、力不足です。
宜しくお願いします。
あの後僕らは警察を呼んだ。職員の人に聞いたところ”ある人物”から貸し切りにしてもらえないか?と急遽連絡が入り多額の資金提供に目がくらんだそうな。そんなことが本当にあっていいのだろうかとも思うが起きてしまったのだから仕方がない。因みに襲ってきた彼らは一旦病院送りになった。中で何があったかわからないという話になったが監視カメラが全てを見ていたため、僕らが一方的に暴力を振るったという事実はなかったことが証明された。事情聴取を受けてもらえないかと言われたが僕は飛び出していった露忌のことが気になって仕方がない。
どうにかできないだろうか...。
「うーん。全員で行ったら確実に日は暮れるし、露忌の所には行けないわよね。」
そう、警察を呼んでからすでに二時間ほど経過していた。
「誰かが代表として一人だけ行くというのはどうでしょうか。」
幽羅が警察の人に提案した。確かにそうすれば誰かは露忌の様子を見に行ける。
「構いませんよ。ではどの方が来られますか?」
喪摸は再び唸ると頑張ってひねり出したように言った。
「闘夜は車だし、露忌の家を知ってるから絶対に行かせちゃ駄目よね。」
僕たちは案内してもらうつもりだったから露忌の家を知らない。彼のことを追いかけるには彼は外せない人材だ。
「喪模は露忌と長い付き合いですしなにかあっても対処しやすいと思います。」
「となると瑠雨かワタクシですかね。」
「多分だけど僕高校生だし社会経験ないからあんまり役に立たないと思う。幽羅は警察の人話したことあるだろうから行くんだったらそうしたほうがいいんじゃないかな?」
「それは...そうですが...はぁ、適材適所、ですよね。わかりました。ワタクシが行きましょう。」
話し合いはそこで終わり幽羅は警察の人と共にその場を去った。僕たちも幽羅を見送った後京都タワーを出て闘夜の車がある所へと向かっていく。
「あーあ、折角旅行できると思ったんだけどなぁ。」
「短かったね。今回こそは変なこと起きないと思ったんだけど。」
僕達の未来に平和という文字はないのだろうか。京都についてからまだ一日も経っていないというのに。
「そういえば君たちは人間と戦う仕事でもしているのかい?」
不意に聞かれ僕は反応に困った。会話から察するに露忌は闘夜に仕事のことを話していない。単純にそんな余裕がなかっただけかもしれないがもし意図的に話さなかったのだとしたら僕達は言ってはいと思う。
「えっと、あれは趣味みたいなものよ。」
「あっは!、趣味かい?人の骨を折るのが趣味とは、」
違う、よりにもよって趣味はないぞ、喪摸。これから付き合っていくかもしれない人間関係にこんな形で信頼を失う可能性だけは避けたい。笑ってる...から一応大丈夫なのだろうか。
「違うよ。僕達は民俗学の研究をしている人達の中の一人で、色んな所に行くから半分仕方なくやってるんだ。」
念の為だ。咄嗟に出た嘘を吐く。これで誤魔化せるかはわからないが趣味よりはましだろう。
「そうかい、それは大変なんだろうね。しかしあいつがそんな地味な仕事に就くとは驚きだよ。」
「露忌ってどんな感じの人だったの?」
「うん?、嗚呼、あいつは昔、闇を感じる子供だったよ。」
そう言いながら闘夜は立ち止まる。横にあるのは車。乗って、といって僕らは後部座席に座り、闘夜は運転席に座った。
「ずっと暗い顔してちょっと気に障ることがあるとすぐに手が出たんだ。」
「そんなバイオレンスだったの⁉」
少し振動が走るどうやら車が出たようだ。
「まぁ怒った時の目つきは相変わらずだったけど、まぁ僕にとっては見慣れたものだよ。」
「へぇ...。」
「まぁ君が彼の過去を知るには付き合いが短いからね。彼が君に話してもいいと思うまで僕は言わないでおくよ。それが友達ってものだろ?」
彼は僕に向き直るとウィンクをした。なんだろうやっぱり今の露忌と近いものを感じる。もしかしたら彼の今の人格はこの人を参考にして作られたものなのかもしれない。
自慢げに話し出していた割にはちゃんと思っていることがあるようだし、僕もちょっと安心する。なんだか異変解平社の皆んなとはずっと一緒にいたわけじゃないのにもうずっと昔から一緒にいたような気がしてしまった。でもよくよく考えたらまだ出会ってから一か月ちょっとしか経っていないんだ。まだまだ経験も力も足りない。そんな僕が彼を知るにはまだ時間が早すぎると思った。
「メッセージを送っても既読すらつかない...。あいつ、本当にどうしたのかしら。っ!、まさか、闘夜なるべく急いで!」
血相変えた様子で喪摸が焦りだす。
「どうしたの?」
「死人が出るかもしれないわ。」
僕が問うと喪摸は静かに言った。
「あいよ!」
そういったの同時に車が加速したのがわかる。感覚だけど高速道路を早い速度で走っている気分だ。制限速度なんて絶対破っているだろう。
「制限速度は⁉」
「バレなきゃ大丈夫さ。なにせ友達のことだからね。」
制限速度は事故を起こさない為にあるのだが僕はそんなことは言えなかった。
その後も凄い速度で急カーブしたり青信号に間に合わなくて急ブレーキしたり、まぁ赤信号は守ってくれてよかったけど。
「もうすぐ着くよ。」
窓の外には大きな神社が見える。窓の外を見る限りそこは山に近そうだ。確かにこの前実家は神社にあると聞いていたがこんなにでかいとは思わなかった。
「もうすぐ行くとこの神社の横に大きな家があってね。そこがあいつの家だ。」
言われた通り少し進むと神社の横には立派な家があり、昔ながらの和風建築だ。
車が止まる。喪摸はすぐさま車から降りようとしたが、なにかが気になったように一度戻って言った。
「ありがとう、アンタは行かないの?」
「僕はあくまで昔しか知らない。なにかあるなら君たちの方がよっぽど適任だ。僕はここで待ってるよ。行っておいで。」
自信ありげに見えて以外と控えめな感じなんだな。彼は表情は終始にこにこしてるので感情が読み取りずらい。
彼は手を軽く振った。喪摸が降りたので、僕も後に続いて降りる。喪摸は振り返らず走っていった。
僕達は入り口で止まる。何故ならそこに立派な門があったから。僕は軽く見上げる。別にそこまで高いわけじゃないけどちゃんとした門というものは初めて見た。
「蹴破りたいんだけど、そういうわけにはいかないわよね...。」
喪摸は門についているインターフォンを押した。それは最新のやつではなく、昔の造りで音が聞こえるだけのやつだった。
音が鳴って暫くの沈黙が走る。
数秒経って返事がないと今度はインターフォンを連打した。
「ちょっ押しすぎだよ。」
「人死にが出るかもしれないんだからしょうがないでしょ。」
「でもまだ決まったわけじゃないし....。」
すると少しだけ門が開いて女の人が出た。割と年はいっていそうだが整った顔をしていて少し華奢な体格だ。服装は着物を着ていて見た感じ物腰が柔らかそうな女性である。
「はいっ、なんでしょうか?」
少し焦ったような声だ。走ってきたのだろうか少しだけ息が切れている。
「突然すみません。露忌がこちらに来ませんでしたか?」
かなり直球に聞いた。
「息子なら居ますが...どちらさまですか?」
すると先ほどの雰囲気と変わって警戒しているのが伝わった。
息子...ということはこの人は露忌のお母さん?ということか?露忌の顔を思い出して目の前の女性と比べてみる、が似ている要素が見つからない。
僕がそんなことを考えている間に喪摸は急いだ様子で
「すみません!」
といって門を無理やり開ける。女の人は驚いて後ろにさがった。
「きゃっ」
それを待ったく気にすることなく喪摸は走り抜けていく。一体なにがあったのか僕には全くわからない。こんな無理矢理入ったんじゃ警察に通報されるかもしれない。
僕は女の人に
「本当にすみません。僕ら露忌の友達で…すみませんっ。」
「友、達?」
僕はできる限り深いお辞儀をすると喪摸を追いかける。
玄関を開けて廊下を走っていく。どこにいるかわからないしこんなに広い家なのにどうやって探すんだろうと思ったが入った瞬間、案外簡単なことだったと気づく。
___この声は露忌と男の人?
誰かが言い争ってる音が聞こえた。広いだけあって造りは複雑で廊下には沢山の分かれ道があった。中は昔ながらの造りだったが綺麗で掃除は行き届いている。
喪摸の後についていくとその声はどんどん大きくなっていった。そしてある瞬間瞬間大きな物音が聞こえる。
奥の襖から人影が見えた。物音がした後、声は急に静かになる。なにがあったのだろうか。
走って一番突き当りの部屋まで来る。
喪摸は勢いよくドアを開ける。
同時に男の低い唸り声が聞こえる。僕は部屋の中を見て驚いた。人死にが出るとはこういうことだったのか。
部屋の中で露忌は男の首を絞めていた。見る限り手にはかなり力が入っているようでこのままだと死ぬかもしれない。僕は焦った。
喪摸はいち早く動いて露忌に蹴りを入れる。いきなりなにを,と思ったがこの状況では仕方ない。露忌は蹴られるまでこちらに気が付いていないようだった。
露忌が倒れ、男の人もその場に座り込む。
「ゲホッゲホッ...」
男はせき込む。大分苦しそうだ。
___露忌...なんで...
まだ付き合いは短いけど露忌はなにもないやつに自分から殴るに行くわけない、そう信じたかった。
「大丈夫ですか?」
喪摸は男に駆け寄った後、安否を確認した。僕も駆け寄るが呼吸は大分荒い。しかし取り合えず生きているので大丈夫だろう。
「クソッ」
倒れたはずの露忌が起き上がる。蹴られた所が痛いのかそこを庇いながら起き上がった。少しふらついている。
「露忌、アンタまさか最初からこうするつもりで...」
問い詰めている場面なはずなのに喪摸の目には哀れみが移って見える。
「違う、ただ...」
声は必死だった。下を向いているせいか僕には彼の表情が見えない。だけど一瞬前髪の隙間から除いた目が暗くて光が無いのだけは見えた。
僕らは見つめあって状況がわからなくてお互い顔を合わせ沈黙し合う。すると先ほどの男性が口を開いた。
「お前を家から出すべきじゃなかったな。ゲホッ、ゲホッ、親に手を上げるとは育てた恩を忘れたか、このクソ息子!」
それと同時に腕が上がる。形相はつい先ほどまで首を絞められていたとは思えないものだ。その腕は勢いをつけて露忌の頬を殴った。骨に当たったようで殴るとき特有の音が出る。露忌は体制を崩し、口の中が切れたのか唇からは血が垂れる。
どういうことだ?これはどちらかが一方的に何かをしたわけではない?
ますます状況は混乱していくばかりだった。
僕達は驚いて声が出なかった。
読んでくださりありがとうございました。
一体あの場ではなにがあったのか、喪摸達はその後どう動くのか
次回もよろしくお願いします。




