19.短かった平和
開いてくださりありがとうございます。
投稿が遅れてしまいすみません。展開が急だったらすみません。
宜しくお願いします。
「やっぱり電車は車ほど窮屈じゃなくていいわね。少しだったらいいけど何時間も座ってたら体が固まりそうだもの。」
新幹線から降りると喪模は伸びをした。確かに一理はある。因みに喪模以外は自分の荷物を持っているが何故か僕と露忌で荷物を持っている。何故だ...。
「別に荷物載せなきゃ普通のやつ買ってもいいんだけどな。」
馬鹿みたいに重い荷物を持ちながら露忌は言った。荷物があの量では普通の車は買えないか。
「皆さん、なんでそんなにゆっくり歩いているのですか?折角京都に来たんですよ?時間もあまりないですし、急ぎましょ!」
比較的、荷物の無い幽羅は楽しそうにどんどん歩いて行く。僕達は(僕と露忌は)必死について行った。
駅の中はかなり広く、壁がガラスになっていて綺麗だった。意外と造りは単純で、ついて行っただけだったけれど迷うことはなさそうだ。
「待てって、楽しみなのはわかるが幽羅はあいつがどこにいるかわかんないだろ。」
「あっそうでした...。すみません。興奮してしまって...。」
あっと振り返って、自分が知らないことに気がついたようだった。少ししょんぼりとしている。
「大丈夫だ。ただこの邪魔なこれだけはどうにかしたいがな。」
そう言うと目線を斜め下の脇に抱えた荷物を見た。
「ごめん、ごめん。なんか持ってくれるから、いいかなーってあはは...。」
流石に駄目かー、と苦笑いしながら露忌から荷物を受け取った。でも僕の荷物は回収されない。
僕は?
「あいつ、もう着いたらしいから行くぞ。」
再び鳴った通知を確認しながら露忌は行く方向を指さす。
「わかった。」
僕は素直に頷く。半分スマホと友達になりながら露忌は案内してくれた。
「おーい。」
僕達は駅をすぐ出た所で遠くに人影を見える。いや、人は沢山いるのだが、一際目立つ人がいた。その人は大きく手を振っている。段々とその人は近づいて来た。
背は僕よりも低い、体格的には男に見えるが顔は帽子を被っているのでわからなかった。
「やぁやぁ、君達が露忌の友達かい?」
___中華服!?
現代に中華服を着ている人間なんていたのか。服のセンスがわからない。ただ少しだけデザインの方向性が僕らに似ている気がした。
「...?どうかしたかい?」
そういうと帽子をゆっくりとはずした。ちょっと自信ある気のある少年だ。幼並みとい
言っていたから恐らく同い年なんだろうけどどうみても年下だ。見た目的には中学生くらい。それにしても小柄な方だ。
「あっいや...個性的な、服、だね。」
なんて言えばいいかわからなくて取り敢えず目に着いたことを言ってみる。
「僕のセンスがわかるのか?あっは!君とは良い仲になれそうだ。」
すると彼は嬉しそうに言った。
別に服を褒めたわけではないのだがまぁ嫌われるよりはいいだろう。急に距離を詰められるので僕は焦る。
「お前、大分変わったな。」
「あやっ」
露忌が僕に近づいた彼を突き放す。
「そうかい?お前に比べれば全然さ。だってあんな...」
「おい、」
なんだか楽しげに話そうとしていたが露忌はそれを静止した。露忌の顔を見ると物凄く怖い顔をしていた。
「おっと失礼、なにか感に触ったかな?」
おちゃらけた雰囲気の子だなと思う。そういえば彼の名前が気になる。
「アンタ名前は?」
すると僕の言葉を代弁するかのように喪模が言った。
「おや、お嬢さんが喪模くん?ずいぶん美しい方だ。自己紹介が遅れたね。僕は闘夜、見ての通りの一般人で露忌の幼馴染さ。まぁ、一緒に居た期間は短いけどね。」
一般人というには少し変わっている気がするが挨拶は丁寧だし悪い人ってことはなさそうだ。
「ありがとうございます。こちらも自己紹介致しますね。ワタクシは幽羅。」
それに続いて幽羅が名乗る。
「知ってると思うけど私は喪模よ。宜しくね。」
「僕は瑠雨。宜しく。」
僕と喪模はそれに続いた。
露忌のことは知っているからか露忌は名乗らなかった。
「これは、ご丁寧にどうも。今日は僕が案内するよ。っと、その前に近くに車を止めてあるんだ。観光はその重そうな荷物を置いてからにしようか。」
話が早い。
しかし僕の認識だと車の免許って十八歳からだった気がするが二人も持っているとなると僕の認識が違ったようだ。
「助かるわ。」
「よかった。」
僕は小さく息を吐いた。やっとこの重い荷物から解放される。そう思うと嬉しくて堪らなかった。
僕は解放という希望を胸に闘夜について行った。
車についてはよくわからないけどなんとなく高い車だなという印象だ。普通の車だったから入った荷物はギリギリで
「ところでこれは一体なんの荷物なんだい?」
と不思議そうな顔をする。
「それは喪模の...」
「こっこれは仕事!そう、仕事で使うのよ!」
露忌が説明しようとした所喪模が慌てて横槍を入れる。少し顔が赤くなっているので恥ずかしいのかも知れないな。
「ほう...君たちは仕事で来たのかい?」
「半分はそうですね...。というかここへ着た目的は仕事です。」
「ふぅん...。」
そういうと闘夜は少し考え込むように手を顎に添えた。なんとなくだけど僕はそれがすごく気になったんだ。
それから僕達は移動して京都タワーに行くことになって向かい始めた。
駅から近いとは聞いていたけど本当に近い。まぁ駅から出た時点で見えては居たが眼の前にあったがそれは思ったより大きい。
「さっきも見たけどでかいわね、もっと小さいのかと思ってたわ。」
「思ったよりも近かったですよね。」
「下にモールがあって上に塔...ちょっと違うか...。」
なんとなく似てる気もしないでもないけどいやあれは違ったか。うん、勘違いだ。
「なにを行ってるかわからんけど、多分、それ地元のやつに言ったら怒られると思うからはっきり言うなよ。」
「はい。」
京都の方々ごめんなさい。
「御二方、何をしているのですか?時間が無いんですよ!行きましょう。」
ワクワクで張り切っている。幽羅はいつの間にか遠くにいて僕達に向かって手を振っていた。
「悪い、悪い。」
そういうと僕らは少し駆け足になってついて行った。
僕達はそのまま京都タワーの中に入る。入った直後の場所は食べ物屋さんが多い。
「「来たー!」」
嬉しそうに腕をあげて喜びあうのはうちの女子たちだ。
「せっかく来たんですから中を全部見ていきたいところですが...。」
「時間が無いのよねぇ...。」
はぁ...と残念そうに溜息を吐き合う二人、露忌は初めて見る所に関心があるのか辺りを静かに見回していた。僕は皆んなが思った以上に早くて僕の息は絶え絶えだ。どうやら僕は体力をつけた方が良さそうである。
「そういえば漫画だと皆んなで集合写真撮っていたことを思い出しました!これが聖地巡礼...。皆さん折角来たのですし写真を取りましょう!」
写真を取れる場所を見つけた幽羅はそこを指さした。物静かなイメージの幽羅にそんな趣味があったとは驚きだ。その漫画を僕にも教えてくれないだろうか、と思うがそれを聞くのはまた今度にしよう。
二人は真っ先にフォトスポットに行って僕達を待ち構えている。
「皆んな並んでいいよ。僕がいるんだ僕が写真を取るよ。」
闘夜は喪模からスマホを預かると僕達に並ぶように言った。
「闘夜さんは入らないの?」
「僕はよそ者だ。こういうのは仲間内でやるべきさ。」
あっは、と彼は笑った。少し悲しい気もする。でも勇気がないからそんなことは言い出せなくて、言われた通りにした。中心の喪模と幽羅が居てそれをサンドイッチするように露忌と僕が並んだ。どういう感じに取ればいいのかわからなくて取り敢えずピースする。笑顔がぎこちないのはあまり写真を取らないからだ。喪模と幽羅は肩を寄せ合って笑っている。露忌は位置的に見えなかった。
「いくよ。はいチーズ。」
声の後に小さくシャッター音が鳴った。その後彼はスマホの画像を確認してグッとサインをした。
「ありがとう。」
喪模が闘夜からスマホを受け取る。
「じゃあ、展望台にでも行こうか。」
「ええ。」
にこりと微笑んだ。どうやら喪模達にとって闘夜の好感度はかなりたかそうだ。
「あんなにはしゃいで疲れないのかな?」
「まぁお嬢さん方が楽しそうなら俺は別にいいけどな。どうした?疲れたのか?」
「うん...大分、ね。」
「ははっじゃあ俺が担いでやろうか?」
「やめてくれ...。」
楽しそうに歩いている三人の後ろで露忌と僕は話した。この間の異変で脇に抱えられたことを思い出す。ヒーローが助けたヒロインじゃないんだから、と思うがそもそも少女漫画で脇に抱える方が稀だった。
「それにしても人が多いね。」
「東京まではいかなくてもそこそこ人はいる。あっあの人めっちゃ美人だ...ちょっと行ってきていいか?」
「だったら僕が全力で止める。」
冗談で言ってるならいいが露忌だと本気で行っていきそうなので全力で止める。顔が良いからって何しても許されるわけじゃないからな、チャラ男。
「はい、二人分。」
喪模から唐突にチケットが二人分渡される。僕はチケットと喪模を交互に見た。
「なに?これ。」
「なにって上に上がるには料金が発生するの。知らないの?」
ここで知らないと言えば無知の権化だ。全力で知ってるふりをする。
「しっ知ってる、うん、大丈夫。」
僕はチケットを受け取った。二枚渡されたので片方を露忌に渡す。
そこからメインデッキのエレベーターまで行ってエレベーターを待った。暫くするとポンッと音が鳴ってエレベーターが到着したのがわかる。僕達は他の客と共にエレベーターに乗った。
「しかし露忌は大分変わったね。髪型とか雰囲気とかさ」
唐突に闘夜は話し始める。
「だから昔の話しはするなって...」
軽く睨めれても全く気にする様子はない。エレベーター内は狭いので自然と声の大きさは小さくなる。
「露忌とは中学の頃からの付き合いだけど言われてみれば最初の方は冷たかったわね。それが今じゃこんなチャラチャラ男になって...。」
お母さん嬉しいわ、という風に喪模はふざけながら言った。なんだろうすごく気になる。だけど、なんだか露忌は可哀想ポジな気がしてきた。
「その話僕も気になる。」
しかし己の欲を素直に言わないのは勿体ないので僕も話に乗っかりたい。
「ワタクシも気になります。」
すると幽羅もこの話に興味を示した。
「あれ、幽羅も知らないの?」
「はい、ワタクシが異変解平社に入ったのは彼らが入った時より少し遅れているので。」
僕はいつ頃入ったのかも、皆んなが昔どうだったかも、全く知らない。だから知らないことがあるのは仲間ができたようで嬉しかった。
「よくぞ言った。あれは小学四年生の時...」
話始めようとした所で丁度エレベーターが着いた。ランプは十一階を差している。
「ここが頂上ってわけじゃないのよね。」
流石にここで終わりということはないだろう。先程見たら一人辺りの値段が千円と書いてあった。金欠学生にしてみれば恐ろしい値段である。値上がりのせいで今は買えないがおにぎり三個分だ。
「嗚呼、ここから乗り換えて上にいくんだ。」
「そういえばですけどここってホテルあるらしいんですよ。」
「へぇ、」
ということは泊まりたいという意味なのだろうか。残念ながら僕達が泊まるのは普通のビジネスホテルというやつだが。
僕らは展望台に行くためのエレベーターに乗り換える。エレベーターを降りたことをきっかけに話がそれてしまったので露忌の昔話を聞くことはできなかった。
エレベーターの中は言ってしまえば普通で外が見えるということは無かったが右側に今どこの地点にいるのか表示されているのでなんとなくは伝わる。それに上に上がった影響なのか耳が詰まったような感覚になったが唾を飲み込んだのでなんとかはなった。
その暫く後到着したようでエレベーターは止まった。僕達はエレベーターを降りる。そして僕は少しその光景に違和感を覚えた。
「なんか暗くない?」
窓際まで歩いて僕は疑問を口にする。
そうそこは異様に暗かった。怪異がいるような暗さじゃない外は晴れているしその光は入ってくる。だけど証明が一つもついていない。
「人も全然居ませんね。」
言われればそうだ。いくら平日とは言え京都だぞ。外国人観光客の一人も居ないのはおかしい。それに下には人が沢山いた。
「良く言えば貸し切りだけど悪く言ったら怪しいわよね。」
喪模がそう言った時だ。闘夜がなにかに気がついたように、はっとした。
「...っ!」
「誰かいる。」
「お客さんってことはない?」
僕は勘違いだったらと思い言ってみる。
するとどこからともなく人が出てきた。僕達の視覚からは見れない位置だったから気づけなくてもしょうがない。
「お客さんがスタンガン持ってるとは思うかい?」
よく見ると手にはそれが握られている。
確かに...。暗くて一瞬よくわからなかったけれど彼らは暴力団崩れような見た目をしていた。まぁ実際に見たことがないのでヤンキーぽいっと言った方が正しいかもしれないが。
「京都っていつから治安悪くなったのかしら...。」
喪模が杖を出した。まさか撃つ気じゃないよなと思うが、構え方的に殴る感じだったのでひとまずは安心だ。それにしても僕らに平和は無いのだろうか。平和な時間は長くは続かないのだろう。
幽羅と闘夜と僕は喪模と露忌の後ろに下がった。幽羅は肉弾戦は無理だし、闘夜は一般人、僕は戦い慣れていないから。
それにしても一瞬だけ闘夜が構えたのは護身術かなにか心得があるのだろうか。
僕達とは対照的に二人は前に出る。
それにしても露忌の能力は普通の人間に使ったら死んでしまうようなものだ。どうやって戦うのだろう。
僕らが動いたのとほぼ同時に彼らは向かってくる。当然一人ずつなんて事はなく一斉に出てきた。数は十数名だと思われるがそれ以上いるかもしれない。
なんだか襲われているのは僕達のはずなのになんだか彼らは露忌を狙っているようにも見えた。二人は襲いかかられたがなんとか対処している。露忌は一体どうやって戦うんだと思ったらまさかの素手だった。交わしてたと思ったら気絶させる。前から少し感じていたが武道をやっているプロのような動きをしていた。
喪模は自分達じゃなく露忌が狙われていることに気がついたのかある程度倒したらカバーに入る。いくら強いといってもそこそこ屈強な奴もいるからそいつら全員に抑え込まれたら流石に無理だと思ったのだろう。露忌に向かっていった奴等を後ろから殴って気絶させた。
それから数分、いや数十秒だったかもしれないが、その後全員地面に突っ伏すことになった。
「今回は人数が多かったな。」
小さい声だったけど僕にはそう聞こえた。
「なんなの?こいつら、」
倒れた敵(?)を見ながら喪模が言う。
「...悪い、俺は先に実家に帰るわ。」
少し黙った後、露忌は小さく言った。なんだかいつもの雰囲気と違う低い声だった。
「え?」
僕はよくわからなくて咄嗟に聞き返した。
「お前らはこいつら警察に突き出してといてくれ。」
露忌はそうとだけ言い残すと駆け足でエレベーターに乗って行ってしまった。
「ちょっ待っ」
僕が追おうとした所、闘夜に止められる。
「瑠雨くん、こいつらが目を覚ましたらまたなにか起こるかもしれない。まずはこいつらを警察に渡すのが先だよ。それにこの状況の解明だってしなきゃだろ?」
彼はもっともなことを言っている。僕は走り出そうとした体を止めた。
「一体、露忌になにが...。」
僕の頭の中は疑問符でいっぱいになる。
こうして僕らの平和な観光は終わりを迎えた。
読んでくださってありがとうございました。
平和回結構短かったですね...。
よろしければ次回も宜しくお願いします。




