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12.三瀬ダムの怪(壱)

今日は2つ更新しました。読んでくださってありがとうございます。今回も宜しくお願いします。

少し長いので時間がある時にお読みください。少し文が雑かもしれません。

「こっこれはどういう状況?」

 僕は光景を見て固まった。

「なにって?」

 荷物の中心にいた喪模が不思議そうな顔をする。

「いや、この荷物の量だよ!?、なにしに行くんだよ!?」

 そう事務所の中がなんやらよくわからない機材と荷物だらけだったのである。

「嗚呼ー。そっか瑠雨は知らないんですよね。」

 奥から幽羅がハンカチで手を拭きながら出てくる。

「一応、ワタクシ達はちゃんとした会社、ですから調査する時に感だけでやるわけにはいかないんですよ。 これらは普段奥にしまってあるのですが今回は使いそうだったので持っていく、といった状況です。」

 幽羅が機材をバンッと叩きながら言った。

「じゃあこの荷物は?」

「あっそれは...。」

 喪模が気まずそうに顔の向きをずらす。

「ははっそれは喪模の私物だよ。」

 機材に隠れて見えなかった露忌が顔を出す。露忌が喪模に向かって視線を向けると喪模は頬を膨らませて

「いいじゃない!」

 と言った。案外可愛いところがあるんだなと思う。

「それにしてもこんなのどうやって持ってくんだ?」

「車。」

 え、車?今、車って言った?あんなバカ高い乗り物を持っているのか。

「持ってるんだ...。」

「依頼があれば全国どこでも行くからな。持ってたほうが楽だろ?」

 露忌はそういいながら指をならして僕に向けてウィンクする。そんなことやってるからチャラ男って言われるんだよ...。僕はちょっと引いた。

「はいはい、時間なくなるからこれ積むよー。」

 すると手をパンっと叩きながら喪模が露忌と僕の間に入る。そういえばだけど車の免許って何歳から取れるんだったか。


 仕方なく僕は機材を運ぶのを手伝った。結構多く見えたけど積んで見れば意外と少なくてよかった。喪模は手伝わないかわりに自分の荷物を完全に一人で詰め込んでいた。幽羅は振袖をたすき掛けして露忌と僕とで一緒に運ぶのを手伝う。こう言っては難だがかなりの怪力と見受けられる。

 そうして僕達___僕はやっとのことで積み終えた。

「疲れた...。」

 僕は重くて疲れたから道の端に座り込んだ。

「お疲れさん、まぁ後は座っとけば着くから、」

 露忌が上から僕を見下ろしす。手にはポカリが握られていた。それを手渡してくれる。

「露忌が運転するんだ、」

 僕はありがと、と言って受け取ったポカリを飲む。

 発言からしてもしかしたらと思ったが本当に運転するらしい。

「お嬢さん方にやらせちゃ男の名折れだろ?」

 そしてまた片目をつぶる。

「その一言があるからチャラ男って言われるんだよ...。」

 はぁ...と溜息を吐きたくなった。でも個性があって面白いとも思った。どうやら聞こえなかったらしく、ん?と笑顔で返事をする。

「さぁそろそろ行くか。」

「うん。」 

 僕はポカリのキャップを閉じて立ち上がった。




 そうして僕は車に乗り込む。運転席に露忌、助手席に幽羅、後部座席の右に喪模と左に僕。普通の車というよりかは業務用なのだろう。人が乗る面積より荷物が乗る面積の方が大きいかった。

「「「レッツゴー!!」」」

 割と元気めな皆んなが手を上げて言った。それと同時に車が走り出す。


「あ、そうだ。瑠雨にはまだ情報共有してなかったわね。」

 座席の上に置いてある荷物を漁りながら喪模は紙の束を取り出した。

「場所は秩父にある三瀬ダム、ここは昔から心霊スポットとしても有名なんだけど...」

「嗚呼、なんか聞いたことあるかも」

「私はよくわかんないだけど、そうなの?まぁいいか、で今回の依頼は警察半分と、地元住民半分みたいな感じで、依頼内容はここの異変をどうにかしてくれ、って感じ。」

「具体的にどんな異変なの?」

「まぁサイトとかだとここで自殺した人の霊が見えるとかなんだけど、実際に受けた内容はこうよ。『ここに訪れた車が落ちる、このままではダムも道も使えなくなってしまうからどうにかしてくれ』って」

 車が落ちるとはつまりダムの中もしくは外に落ちるという意味だろうか。

「それ、この車で行って大丈夫なの?」

「手前で止めるから大丈夫よ。今は一旦通行止めにしてるらしいわ。詳しいことは現地に人をやるからそこで聞けって言われているけれど、」

「けれど...?」

「いや、たまににはなるけど現地住民は外から来た人を嫌うことがあるからちゃんと協力してくれるか不安で...。」

 絶対昔なにかあったなと思われる顔をして言った。表情からして大分大変だったのだろう。

「いざとなったら幽羅の名前を出すしか無いわね。」

 幽羅の名前を出したところでなにか変わるのだろうか。自己紹介した時に言わなかったのだから、言いたくない理由があるのかもしれない、ここは聞かないで置こう。

「任せてください!」

 意気揚々と下声で腕をたたく。が、本当に大丈夫なのだろうか。



 その後三人は楽しそうになにかの話をしていた。

 僕も混ざりたかったがなんだか視界がぼやけてぼーっとしてきた。これは恐らく昨日眠れなかったから今頃になって眠気がやってきたんだろう。

 最後に喪模がサービスエリア寄るんだったらスタバ行きたいと叫んで天井に頭をぶつけた所で僕の意識は無くなった。






「...う」

 誰かの声がする。

「るう、」

「瑠雨!!」

 嗚呼そうだ学校、やばい、遅刻か?

「...?」

「瑠雨いつまで寝てんだよ。」

 ぼやけた視界が段々クリアになって行く。目の前のモヤが段々形を成してきて、僕はそれが人であることに気づいた。

「遅刻!!いてっ」

 遅刻と思って飛び起きるいつもの癖が発動して目の前にいた露忌にぶつかった。僕は額にぶつかっただけだけど露忌は思いっきり鼻にぶつかったのでとても痛そうだった。

「いっtっ___。」

 露忌が悶絶する。

「ごめんっ」

 僕は慌てて車を降りて、露忌の近くに立つ。蹲っていたので顔を覗き込んだのだが痛そうな顔をしている。申し訳無い。

「あははははっ、だからやめたほうがいいって言ったのに」

 喪模が実に愉快そうに笑っている。その隣にいる幽羅も袖で口元を抑えているが耐えきれなかったのか吹き出してくる。二人はすでに車から降りていたようで少し離れたところから僕たちを見ていた。

「喪模、お前っ」

 露忌は体制を立て直して喪模を睨んだ。

「まぁまぁ、瑠雨も起きましたし、結果的に怪我した訳でもないんですから...ふっふっ」

「笑うな!!」

 少し顔が赤くなっている。僕もちょっと笑ってしまう。

「はいはい、青春ごちそーさんです」

 別の方向から声がした。驚いて僕はそちらを剥いた。喪模達の反対側に居た人物は、警察の恰好をしていて、なんだか見るからに不真面目そうな感じがする。

「矢口様...」

 幽羅は名前を知っているようだ。この前喪模が言っていた仲が良さげな警察官とは彼のことなのだろうか。

「そんじゃ、瑠雨が起きたってことで話をしてもいいかぁ?」

 この人も僕のことを知っている。もしかしたら昔あったこともあるのだろう。しかし僕にとってははじめましての人だ。

「ええ、お願い。」

「ここの三瀬ダムには三瀬って名前の村が沈んでる。近くに住んでる奴等はその村が原因だと挙って言うが実際のところはわからん、それはアンタ達の仕事だ。で、ここに来ると車が落ちるってのは昔からよくあったらしくこのあたりじゃ有名な話だったらしい。」

「昔からあるんだったらもっと早く教えてくれてもよかったんじゃない?」

「昔はここを通る車も少なかったからな、けど今月に入ってここで車が落ちるのは先日を入れて4件目。流石にやばいって話で捜査したが何も見つからなかった。それでアンタ達の出番だ。」

 そう言いながら警察官は近くに居た露忌に資料らしきものを渡した。

「落ちる瞬間は写ってないの?」

 喪模がこちらに腕を組みながら歩いてくる。

「こんなド田舎に防犯カメラなんてあると思うか?」

 そう聞いて喪模は溜息を吐く。

「もし住人の話が事実だった場合呪いと怪異の両方を調べなくちゃいけないのよね...。」

 そういう喪模は面倒くさそうな様子だ。

「どうやら沈んだ村の住人はダムを作るのに反対していたらしい。」

 ファイルをパラパラとめくりながら露忌は言った。

「じゃあなんで沈んだ理由?金で無理矢理どうにかしたとか?」

「いや、土砂崩れで村ごと潰れたらしい。」

「なんか妙ですね...。」

 気づけば幽羅も露忌の近くに来て資料を覗き込んでいた。

「じゃあ言う事言ったし俺は帰る。後は任せた。」

 こちらに背を向けながら、ぶらぶらと手を振って警察官は去っていった。

「ちょっ...」

「いいのよ、あいつはいつもあんな感じだから。」

 止めようとした僕を喪模は静止する。

「わかった。」


 僕が後ろを向いて資料を見ようと露忌に近寄った時だった。

 ものすごい音、まるで車が急ブレーキをかける時の音のような。

 僕は慌てて振り返る。

 黒い車がこちらに向かって走ってくる。元々そこまでの距離はないが、それはどんどん近づいてきた。ダムの上の道路には通行禁止の看板とKEEP OUTのテープが貼ってある。

 流石に止まるだろう、そう思っていた。

「避けろ!!」

 露忌が叫ぶ。

 皆んなできるだけ急いで道路の端によった。その車は全く速度を落とすこと無くこちらへ向かってくる。むしろどんどん早くなってる気すらしてくる。フロントガラスに写っていたのは白目を剥いた人間、とてもまともに運転しているようには見えない。

 それは高い速度のままこちらに突っ込んできたそしてハンドルをきった。タイヤが悲鳴を上げる。一瞬なにか見えた気がした。


 車は勢いよく曲がるとダムの___水のないところで突っ込んでいった。

読んでくださってありがとうございました。今回三瀬ダムにはモデルがあって今回の車が落ちるというのは本当に地元では有名なようです。村が沈んでいるのも本当だそうで、一度行ってみたいですね。次回も宜しくお願いします。

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