11.初仕事の後日譚
いつも読んでいただいてありがとうございます。投稿の期間が空いてしまいすみません。
長いので時間がある時にお読みください。今回は派手なことはないですが前回の疑問の説明をしています。
宜しくお願いします。
初仕事から1週間が経った。気づけば僕は放課後はこの事務所によく来るのようになっていた。
そんなある日校長から事務所宛に手紙が届いた。喪模が意気揚々と封筒を開けた後真っ青な顔に成る。
「被害額がでかすぎるっ!!」
事務所にそんな叫び声が響いた。
眼の前で叫んでるのは喪模。僕はその反対側でスマホを見ていた。
「マジ?」
露忌は喪模が持っている紙を覗き込む。
「うわっまじじゃん。まぁ見た感じ新しかったけど、こんな額になんのか...。」
見た瞬間に頭を抱える。様子からして相当大きかったのだろう。
すると幽羅が困ったような顔で近づいてくる。
「はぁ、しょうがないですね。ワタクシがなんとかするのでそれを渡してください。」
「「あざまぁーす。」」
二人はそう言うと幽羅に拝むポーズをした。
「皆んなは今回の依頼お金取らなかったの?」
見た感じ依頼された時の対応からみてお金を払って来てもらった感があったのに...。
「作戦、伝えればよかったかぁ?でも、言ったらぜってぇ止められるしなぁ...。あのクソ校長、異変は解決したってのにきっちり請求しやがって...」
露忌は髪に手を当ててくしゃくしゃと掻いた。
そうだ、作戦。僕はなんだか彼らの行動が計画のように見えて、事件を解決した後、事務所までついて行ってわけを聞いたんだ___。
事件解決後、事務所にて
「で、どうした?瑠雨。いきなり付いていきたい。だなんて、」
疲れたぁと言って事務所にドカッと座り込んだあと、思い出したかのように姿勢をただして露忌は僕に聞いた。
僕は唾を飲み込んで、少しだけ勇気を出して言ってみる。
「そもそも河岸先生になにが昔あったの?君等は知ってた風だったけど僕は全くわからなかった。なんで河岸先生の素性を知っていて、尚且つ奥さんの手紙まで...というかあれは全部計画?
そもそも天界に行ってきたって?あの死神みたいなのにはなに?なんで僕に何も言わないで君等だけで話してたんだよ。
僕にだってできることはなかったのか?」
それまでに溜まっていた疑問が一気に出てくる。別に問い詰めるつもりはなかったけれど僕の知らない物語があったのかと思うとなんで僕に伝えてなかったのかと言いたくなる。所詮は昔の仲間だし記憶のない僕は頼りなかったのだろうか。それとも仲間とも認めてくれなかったのだろうか。
「いやっそれは...すまん。
今回は時間が無くてお前にちゃんと説明することができなかった。それと特異異変が変わったお前の能力がまだわからないから、作戦に組み込むことができなかったんだ。」
露忌は軽く目線をそらした。まるで誰かに助けを求めるように、でも、嘘を吐いているようには見えない。時間がなかったということは、本当になにかしていたようだ。
そこで僕は、一日目、喪模が校長に別れを告げた時、やることがあると言っていたことを思い出した。
「時間が無かったとはいえちゃんと説明しなかったことは謝る、すまなかった。」
露忌が礼儀正しく頭を下げた。
「そんな別に怒ってないよ...。こっちこそ責めるような言い方してごめん。」
ここまで礼儀正しく謝られるとなんだか悪いことをした気分になる。別に彼らは特に悪いことをしたわけではない。
「露忌、チャラ男の割にはちゃんと謝るのじゃない」
喪模が茶化すようにいった。一見空気を読んでいないように見えて、多分軽く重くなってしまった雰囲気を壊そうとしてくれているんだと思う。多分。
「喪模、空気読んで。」
「えっごめん...。」
すると幽羅は喪模のそばにそそくさと移動すると耳打ちをするように言った。目が棒になっているので今回は本当に空気を読んでいなかったようだ。喪模は驚いた顔をして即座に謝った。それを見て露忌は笑う。
「まぁこの言った言ってないの件は解決したことにして、瑠雨が言った疑問には答えるわ。」
さっきのことは無かったかのようにして喪模は笑って言った。
「ええっと、まず、河岸先生の素性を知っていた件だけれど私達は昔、知り合った警察と縁があってね。その人に聞いたってわけ」
「警察!?、君等警察が後ろにいるってこと?」
「まぁそうなるのかしらね。
うちはある程度警察からも仕事を貰ってるし、あ、未解決事件なんかは怪異が関わった異変なことも多いから向こうでその可能性があると示唆された事件はこっちに回ってくる。で、代わりに警察には情報提供を頼んでる。要は持ちつ持たれつってこと。」
自慢げに喪模は言い切った。警察、成程。警察が関わっているのなら過去に事件を起こした人の素性を探るのだって簡単なはずだ。
「もしかして異変解平社って結構凄いのか...?」
一人言のように呟く、どうやら人に聞こえるほどの声量はなかったようで、返答はなかった。
僕は異変解平社は結構小さい会社だと思っていたが渋谷に事務所を構えられるほどの財力があるんだそこそこは凄い会社なのかもしれない。
「そうだ、河岸先生の話だったわよね。あの人の素性は結構複雑だったわ。彼の両親は離婚して父に育てられた。けれど、どうやら虐待されていたという話もある。」
すると幽羅が一瞬顔を歪めた。
「彼には妹がいて妹のことがとても大好きだったそうだけど流行り病にかかって死んだ。病院に連れていけなったらしいわ。そうして成長して唯一優しくしてくれた人の職業だった教師になった。そして何事もなく仕事をして大切にしたい奥さんができた。そして無事結婚、彼の未来は明るい方へ進むはずだった...。」
はずだった...。そうかそしてその後
「彼は上司が変わったことにより職場でとんでもない虐めに遭った。それと同時期に奥さんは人食いバクテリアと呼ばれる病気にかかる。それから虐めがエスカレートするのと同時進行で病気は進行していった。で、最後は瑠雨も知ってる通り。奥さんが死んでそれで彼の精神は限界を迎えたってわけ。」
なんだか重い話だった。殺された人は可哀想だがどちらかというと僕は彼に同情してしまう。だって彼はあんなに不幸にあったのだから。
「瑠雨、あまり深く考えない方がいいです。彼はもう次の道を歩き出したですから、」
露忌の後ろに立った幽羅は目を伏せていった。
少し間をおいて再び喪模は口を開いた。
「次なんで彼の素性を知ってるか、私達は警察の人から資料を貰って美寿さんが死んでいることを知った。美寿さんは特に何か事件を起こしたわけでもない、だから天界にいるんだろう、って思って天界に行ったら居ただけ、で、そのまま話しを___」
「ちょっちょっと待って、天界に行った!?そもそも天界なんてあるのか...いやそれはいいかでもどうやって...」
なんだか凄いことを聞いてしまった気がする。僕が知る宗教のどれかは知らないが天界があるなんてとても驚く。幽霊はなんとなくいるんだろうなってわかるけれど天界があるなんてことがわかったら宗教の一つは正しいってことじゃないか。そんな当たり前のように言われても実感が湧かない。
「「「?」」」
喪模達は顔を見合わせる。そしてあっというように口を開いた。
「天界はあるわ。たくさんある宗教なんて元を辿れは同じよ。知ってる人があんまり居ないから宗教自体は沢山あるけれど...」
「喪模、ややこしくなるので一旦は置いておきましょう。神様の話からしだしたら日が暮れてしまいますよ。今は瑠雨の疑問の話しをしているのでしょう?」
まるでお母さんのようだ。
「ええぇー。」
「喪模だと話しが終わらないので露忌、お願いできますか?」
「俺が話すよ。天界にいけたのは俺の家がその権限を持ってるから、なんで探せたかはそっちの人に聞いたから、計画は警察から話しを聞いた時点で決めた。で、あの死神みたいって言ってたのは本当に死神。これでいいか?」
こっちは簡潔に話しすぎてわからない。
「なんだか情報量が多すぎてよくわからないけど、取り敢えずはいいよ...。」
伏せられた情報が多すぎてよくわからなったけどあの行動には全部理由があったようだし、なんとなくだけど理解はできそうだ。
今はこのファンタジックな世界観を忘れないように記憶することしかできそうにないな。
「今度瑠雨にはちゃんとこの星界の話しをしたほうがいいかもしれませんね。」
記憶は幽羅がそう溜息をついた所で終わっている。
時は戻って現在。
「まぁまぁ露忌、今回はワタクシが持ちますから。そんなに気になさらなくていいですよ。」
露忌の肩に手を置く。露忌は溜息を吐いた。
「人の命に関わるんだからもうちょっと取ってもいいんじゃないか?」
もし彼らがこの異変を解決しなけばすでに何人かは死んでいるだろう。そんな大事を成し遂げたんだ、修繕費なんて余裕で賄えるくらいの額を貰ったって不思議じゃないし、そうするべきだと思う。
「いや、これは俺達の先輩が決めた方針なんだ。俺も昔言ったよ。そしたら、『ここは商売の為にやってるんじゃない。現世を守る為にやってるんだ。』ってな。」
「へぇ、先輩かぁ。格好いいね。でも今は先輩はいないんだな。」
「...先輩は、死んだよ。」
「えっ?」
まずいことを聞いてしまった。
「死んだって...」
「二年前、丁度お前が消えた原因と同じだよ。」
表情が一気に暗くなる、そして昔を思い出すように虚無を見つめた。僕が消えた原因...そうだ僕はなんで、どうやって彼らの前から消えたのだろうか。それが知りたくなる、けれどそれは三人にとっていい話ではない、
僕はなんていったらいいかわからなくて取り敢えずなにか言おうと口を開こうとして
プルルルプルルル___
電話が鳴った。いち早く気がついた喪模は少し急ぎ目に電話に出る。電話は所長机に置いてある。今は誰も座っていないが、座るべき誰かがいるのだろう。
「はい。異変解平社です。ご要件は?」
テンプレートな電話の出方をして暫く話し込んでいた。
___気まずい...。
電話で話している以上自分たちが会話をすると相手に聞こえて雑音になってしまう可能性があるので話すことはできない。ある意味救いなんだろうけれど重い沈黙の空気が続く。
それから恐らく十分ほど経って喪模は受話器を置いた。
「アンタ達、仕事、入ったわよ。」
喪模はこちらに振り返って言った。
「おっしゃ、んでいつ?」
さっきまでの暗い雰囲気がどこかに消えたように露忌は明るげに言って立ち上がった。肩のこりをほぐすように右肩を回す。
「二日後、場所は...田舎のほうだわね。瑠雨、今日はもう帰ったほうがいいわ。多分泊まり込みになるから。」
電話に出ながら取ったメモを見ながら喪模言った。この慣れた流れを見る限り、今までもよくあったのだろう。
「でも、学校はいいのですか?」
僕の隣に座っていた幽羅が不思議そうに聞いた。
「まぁ家金ないし、生活の為ですって言えば別に大丈夫だと思う」
僕の話しを聞いて露忌達は目を見て頷いた。よかった、ありがとうと言っているように感じる。
「じゃあ、それは先生に伝えとけな。俺達はここに残って仕事のことについて調べるから、」
「それは申し訳無い...」
そういうと露忌は溜息をついて真剣な顔で近づいてくる、眼の前まで来ると腰を落として、座っている僕の視線に合わせた。
「?___いてっ」
痛いと叫ぶほどでは無いがそこそこの痛さのチョップを頭に喰らった。
「アルバイトはそんなことしなくていいんだよ。ほら宿題とかあるんだろ?とっとと帰りな。」
そうして僕は幽羅達にも言われて事務所を後にした。
次の日、僕はいつも通り学校に行くことになる。事件のあとは色んなことが変わった。けれど僕がそれを語れるのはまた次の日の話。
読んでいただいてありがとうございました。
今回は初仕事の後日譚となります。説明が下手なのは力不足が何%かあります。
次回、瑠雨の周りで変わったこと、それと次の異変解決に行きます。次回も宜しくお願いします。




