9.初仕事(陸)
諸事情により投稿できず、申し訳ありません。
今回も4000文字程度なのでお時間のある時にお読みください。
今回も宜しくお願いします。
校門を通って学校の中に足を踏み入れる。本当に人が誰もいない。事務のおじさんも、掃除してくれるおじいちゃんも。
「おはようございます。」
奥からの校長が出てきた。贅肉を揺らしながら小走りしてくる。
「校門開けておいてくださってありがとうございます。」
「いえいえ、それで今日は何をなさるんですか?」
幽羅が喪模に目配せする。喪模は頷いた。
「道案内、です」
貼り付けた笑顔でそう言った。どうやら校長の評価は最低まで堕ちてるようだ。
「と、いうと?」
「河岸さんが自殺したというところまで連れて行ってください。」
「...。」
校長黙る。何かを隠すというよりはなんていったいらいいかわからないようだった。
「誤魔化さないでくださいませ。もうこちらで調べはついています。」
幽羅がそういうと
「申し訳ありません、その部屋は一番酷い惨状だったらしく現在は壁が作られ入れない状態になっておりまして...」
渋々といった風に校長は答える。完全に下手に出ていて普段偉そうな姿しか見ていなかった僕は笑いそうでだった。
「つまり部屋はあるんでしょう?壁を塞いだだけだったら大丈夫だろうし、」
「??、わっわかりました。」
その後僕たちは校長の後について行く、空気は終始無言で軽い緊張感が走る。僕と校長以外は全員黒服て葬式でもするんじゃないかと思ったがそのわけは後で聞くことにしよう。
校長が案内した先___河岸先生が自殺した場所、それは本校舎の最上階にあった。階段を沢山上ったせいか校長は軽く息が切れている。
「ここです。」
校長が手を向けたのは不自然に隙間の空いている壁、ここは最高学年、つまり三年生の教室があるので普段はあまり来ないけれど、ここの不自然な隙間は同級生の間で度々話題に上がっていたので知っていた。丁度教室一つ分ぐらいの大きさがある。
「ありがとう、じゃあアンタはもう帰っていいわよ。」
「防犯上そういうわけには...。」
確かに赤の他人だけを勝手に残すわけにはいかないか。
「まぁ死にたいならご勝手に」
喪模が言い捨てるように言う。
「喪模、この方に腹立たしい気持ちを覚えるのはわかりますが、ここは一旦冷静になりましょう。」
それを幽羅が静止する。喪模が頷く、
「残っていただいくのは構いませんがこの校舎から出るのをお勧めします。」
「それはまた何故...?」
「怪異は出現すると自己が展開する自界に相手を閉じ込めることがあります。そうするとその中では怪異は格段に強くなります。恐らくこの怪異が展開するのは学校全体だと考えている為ここに留まるのは危険です。」
僕もよくわからなかったので説明してもらえて助かった。自界ということは僕が逃げようと思っても逃げられないのは自界を展開しているからなんだろうか。でもそれってあの某アニメと同じ様なものなのか、
「この校舎を出たら連絡をください、自己愛が強い貴方なら無いと思いますがもしこの校舎を出る前に戦闘に入れば貴方は死にます。それに関しての責任は追いかねますので...」
「もっもう大丈夫です。ではっ失礼します。」
流石に脅し過ぎではないかと思うが説明し終わる前に校長は駆け足で階段を駆け下りていった。急ぎすぎて転ばないといいのだが...。
「あんなクソみたいなやつ罰でも下ればいいのにな...。」
ふとそんなことを思って口に出してみる。
「そこまでは俺達の仕事の領分を超えてる。俺らは初戦は関係ない第三者、だから介入できないんだ。」
露忌が重そうに口を開いた。虐められて苦しい思いをしている人を前にして真っ先に保身に走るようなやつは同じ目に逢えばいいと思っている。もしかしたら露忌も同じ気持ちなのかもしれない。だけど僕たちはあくまで他人だから、なにもできないんだ。
「あっ連絡来た。」
喪模がスマホを見てあっと声を上げる。
「じゃあやりますか。」
すぐさま杖を取り出し、今はもうコンクリートで埋まられた壁に向ける。杖が音を立てて変形した。
「ちょっ、なにやって、」
次の瞬間にはそこそこでかい音を出して壁を撃ち抜いた。ただそれだけでは手のひらくらいの穴しか空いていない。僕は学校を壊さないでと言おうとしたがもう遅かった。
今度はドカドカ轟音を立てて壁を崩す、あっと言う間に人二人は通れそうな大穴が空いた。
「その杖銃だったの!?」
壁が崩れたことにも驚く、いやそっちの方が驚いたけどまさかあれが銃的なものだったとは、魔法っぽいからいいのか?
「まさかただ振り回すだけの鈍器とでも思ってるの?」
何をいってんだよという風貌で僕に言う。返事ははい、とだけしか言えない。
「いや、ちょっと驚いただけっていうか...。」
言葉を発しようとした時ものすごい異臭が鼻をついた。
「臭っ、なにこれ」
思わず後ずさりして鼻を塞ぐが中が真っ暗で見えない。
「こりゃお出ましか?」
そういって露忌もギターを出す、それとほぼ同時に電気が消えたように空の光が消えた。夜、というわけではないただ本当に暗い。明るいのに慣れてしまった僕の目は暗闇を暗闇としか捉えられないが兎に角暗い。
そこに蝋燭のような光が見えた。灯りだそう思っているとそこにいたのは異形のなにか。
「___っ!」
異臭の正体はどうやらそれらしい、段々と目が慣れてきた。皆んなは?と思ってあたりを見るが周りには誰もいない、違う、皆んな教室の中に入ってる。
僕も大斧を出して構える。それに動きらしい動きはまだ無く呼吸するように揺らぐだけだった。僕は恐る恐る教室の中にはいる。その時わかった。空気が変わった。異臭もそうだが首を締められているような感覚がある。これはやばい、あまり多くを経験してはいないけども目の前のやつがやばいことくらい僕にだってわかる。周りをみる、誰も動けていない。一触即発のような空気、僕は唾を飲み込んだ。
改めて目の前のそれをよくみる。死体がいくつも集まって丸まったみたいだ。正直とてもグロい。耳を済ませるとあ、ああと小さく声がいくつも聞こえてくる。その中には聞き覚えのある声も混じっていた。この大きな肉塊が河岸先生...なんだろうか。冷や汗が流れるのがわかった。
そして最初に動き出したのは向こう側だった。
その巨大な肉塊から小さな子供が這って出てくる。それはどれも血塗れで四肢がない子もいる。それはただ叫びながら床を這ってくる。決してそれは動きが速いわけではないが、溢れ出てくる恐怖は拭えなかった。かといえこれをどうするかわからず僕は困惑する。
「そいつに触られるな!!」
露忌が叫ぶ、はっとして足元を見ると子供の手がもうすぐそこまで迫っていた。僕は斧を降る下ろす。一瞬泣きそうな、苦しそうな顔をして子供はその場に倒れた。ただそれをじっと見ている余裕は無く歩みはゆっくりだが数が多く次に、また次にとそれはやってくる。なんだか毎回人を殺している気がして僕は吐きそうだ。どうしても手応えがないわけではなく、なんとなく肉を断つがその感覚が手に残る。若干手が震えてきた。でも動きを止めたら死ぬことがわかっているから止められない。
「瑠雨、こいつは本体じゃない、別のところにそいつはいる。」
「わかった。露忌、こいつら一掃できないの?」
この前見たように感電させられないか、そう思って聞いてみる。
「実態がないタイプの異変には俺の技が通じないんだよっ!」
けれどもう死骸となってしまった彼らには肉が焼けようと動けるのだろう。露忌はそういいながらギターでそれらを叩き潰していた。
そしてそれだけではなくそれは巨大な腕を数本伸ばしてきた。
___子供だけならまだしも手までは相手できないっ
「瑠雨!、どいて!」
不意に喪模が僕の眼の前に飛んできた。そして喪模は僕たちの前に立ちはだかる。
「私が暫くこいつらの相手するから、アンタ達は河岸先生の霊魂見つけてきて!」
僕がまだ内容を理解しないうちに喪模は次の行動に出た。
「お姉ちゃん!!」
喪模が叫ぶすると杖の先が変形して大鎌のようになった。そしてそれを振って空間を裂く、そこから出てきたのは黒いナニカ。それは怪異全体に覆いかぶさるように広がると手が喪模に届く前に全ての怪異を粉々に裂く。血らしき液体が飛散して僕にかかった。こんな力があったら余裕なのではと思うが一瞬消えたかと思えばまたそれは出てくる。
「行って!!」
次に喪模が叫んだ時僕は首根っこを捕まれ外に出ていた。
「露忌!?」
「あいつなら大丈夫だと思うがそんなに長くは持たない。本体のとこ行くぞ!」
「あれが本体じゃないの!?」
「あれは一番強いだけで本体の気配はなかった。」
僕は自分で立って走る。向こうの方が断然速いわけだけど僕も遅れないようになるべく全力で走る。
「幽羅は?」
「恐らくだが今はこの学校にいる全ての怪異が出現している。喪模が河岸ってやつの造った怪異を相手してる間、廊下から来る怪異は相手できない。だからそこを守ってる」
いつの間にか役割分担まで終わっていたようだ。
走っていると突然窓から紫色の手が出てくる僕はそれをなんとか避けて、斬る。
「うわっ」
それが終わったと思えば次は後ろから真っ赤な血でできた怪異が走って追いかけてくる。僕は必死に走ったがそれは想像以上に速い。露忌は舌打ちをして立ち止まる。ピックでギターを弾いて雷鳴がなりそいつらを崩した。
「行くぞっ」
その後露忌と僕は一回も足を止めずそのまま屋上へと走った。屋上の扉、本当なら施錠されいるはずだけど露忌はそれを蹴破る。一気に空が拓けた。
空は割れたように赤が入り込んでいる。上から見える景色に校庭はなく旧校舎と本校社、別棟は昔無かったからかこの空間にはなかった。
そして前を見る、そこには一つの人影があった。
「河岸...先生?」
そう呼ばれた男性はこちらを向いた___。
読んでくださってありがとうございます。初仕事はいよいよ終盤に近づいてきました。屋上で出会った瑠雨達と河岸先生、この後どうなるのかは次回、宜しくお願いします。




