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新人VTuberの成り上がり 〜元大手敏腕マネージャーが、底辺の原石美少女たちを独り占めして世界一にプロデュースする〜  作者: 遙 カナタ


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第35話:作戦会議

 東京・港区の一等地にある大手広告代理店『Minty Agency』本社。

 ガラス張りで東京の街並みを一望できる最上階の巨大会議室に、豪華な面々が一堂に会していた。

 中央の長テーブルを挟み、片側には『Vスタ』の陣営——織田駆、神代弦、音無すず(白雪みあ)あかぎ蓮(赤城蓮)天月ルナ(天王寺飛鳥)の5人。

 もう片側には『Trinity Raid』の専属コーチである桜庭葉月と、所属ライバーの緋ノ宮レイ(白河湊)蒼星ほむら(九条志乃)月城ねね(佐倉陽葵)の4人。

 そして上座には、Minty Agencyの社長・桜庭詩織が優雅に腰掛けている。


「……うわぁ、凄い部屋。ドラマの撮影みたい……」


 みあが緊張気味に声を漏らすと、飛鳥も「本当ですね……緊張しちゃいます」と小声で頷く。

 隣では陽葵が「ポテチ持ち込めなかったのショック〜」と呟き、志乃に「陽葵、静かにしなさい」と咎められていた。


「——さて、全員揃ったわね」


 詩織が静かに口を開くと、会議室の空気が一瞬で締まる。

 スクリーンに大型のプロジェクター映像が投映され、詩織は手元のリモコンを操作した。


「まず、本日の議題の第一項目。『Minty AgencyとVスタのメインスポンサー契約』、ならびに『VスタとTrinity Raidの業務提携』のプレスリリースおよび世間への正式発表についてよ」


 スクリーンの画面が切り替わり、インパクト抜群の発表スライドが映し出される。


「明日正午、我が社主導で全メディアへ一斉にプレスリリースを配信します。弱小事務所と侮っていた業界各社、そしてLive:CLOWNを含め、この発表は間違いなく巨大な衝撃を与えることになるわ」


「ひぇぇ……Trinity RaidさんとVスタが業務提携……!? ネットが大騒ぎになりますよ……!」


 みあが目を丸くする。葉月は肘をつき、淡々と補足した。


「世間へのアピールだけじゃねぇ。蓮のプロ活動における海外遠征費、渡航費、渡航先での環境構築、データアナリストの手配……それらの費用はすべてMinty Agencyのバックアップで全額補填される。お前は余計な心配をせず、ゲームだけに集中しろってことだ」


「マジかよ……ッ!」


 蓮は拳を強く握り締め、興奮を隠しきれない目で葉月を見つめた。


「金のこと気にせず、あんたの地獄の特訓を受けて、世界大会に殴り込めるってことか……! 望むところだぜ!」


「ふふ、蓮ちゃん良かったね」と湊が優しく微笑む。


「そして、提携後の『最初の仕事』についてよ」


 詩織の合図で、弦が自前のノートPCを操作し、次なるスライドをスクリーンへ映し出した。そこには洗練されたアパレルブランドの最新デザイン画が並んでいる。


「Minty Agencyが新しく立ち上げる初のアパレルブランドコラボ……そのプロモーション広告を、VスタとTrinity Raidの合同で担当してもらうわ」


「合同で……モデルを、ですか?」


 飛鳥が首をかしげると、駆がニヤリと笑って身を乗り出した。


「ただのモデル撮影じゃない。弦が構築した高精度アバター技術を活用した『バーチャルフィッティング』だ。実際の服を縫製・製造する前に、お前たちのアバターに完璧に着こなさせてイメージデザインとして提示する。完全受注生産のアパレル展開だ」


「在庫リスクはゼロ。ファンは推しと同じデザインのリアル服を手に入れられる。我が社のアパレル領域にとっても、これは革新的な大プロジェクトよ」


「すごいです……! 女の子としても、ライバーとしてもめちゃくちゃワクワクします!」


 飛鳥やみあの目がキラキラと輝く。陽葵も「えっ、ねねのアバターもめちゃかわな服着られるの!? やったー!」と身を乗り出した。


「さらに……Vスタの生活・配信環境の抜本的改革よ」


 詩織が次の一手を明かす。スクリーンには、都内の一等地に建設予定の最新鋭マンションのCGグラフィックが映し出された。


「我が社からの出資により、『Vスタ専用個人マンション』の建設計画を始動させます。防音配信部屋の完全完備、最新の機材と高速回線、そして外部からの妨害を遮断する厳重なセキュリティシステム。ライバー全員に、個室の居住スペースと配信環境を提供するわ」


「えっ……!? 専用マンション……!? 織田さん、ボロアパート脱出ですか!?」


 みあが思わず立ち上がる。弦もメガネのブリッジを押し上げながら「ボロアパートの回線速度と騒音問題からは、これで完全に解放されるね」と満足げに頷いた。


「防音バッチリの部屋で、24時間いつでも思い切り歌えるってことだ、みあ。……それと飛鳥」


 駆はすずとルナの二人をストレートに見つめ、声を落とした。


「マンションのスタジオ環境が整ったら……お前たち二人で『最強のユニット』を始動させる」


 会議室にいた全員の息が呑まれる。


「音無すずの絶対的歌唱力と、天月ルナの圧倒的カリスマ。お前たち二人を組ませて、Minty Agencyのバックアップで超大型ライブをぶち上げる。……これがVスタの目玉だ」


「……っ!」


 志乃や湊、葉月すらも一瞬目を見開く。詩織は満足そうに微笑んだ。


「この二人のユニットなら、音楽エンタメ業界のパワーバランスがひっくり返るわ。ファーストライブのプロモーションは我が社が責任を持って完璧に仕切るわよ」


 みあと飛鳥は一瞬顔を見合わせ……直後、言葉もなく互いの手を強く握りしめた。


「やりたい……! ルナちゃんと私で、最高の歌を届けたいです!」


「わたしも……! すずちゃんと一緒に、新しい景色が見たいです!」


 力強く頷き合う二人。

 駆は全員を見渡し、悪魔のように獰猛で不敵な笑みを浮かべた。


「蓮は世界を獲れ。みあは音無すずとして、飛鳥は天月ルナとして、エンタメの頂点を獲れ。Trinity Raidは最高のライバルでありパートナーとして背中を預けろ。弦はインフラを完璧に固めろ。……行くぞお前ら、業界の天下を奪いに行くぞ」


「「「「おーっ!!!!」」」」


 ガラス張りの巨大会議室に、VスタとTrinity Raidの溢れんばかりの歓声が響き渡る。

 弱小事務所の逆襲——その圧倒的な快進撃が、今ここに幕を開けた。

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