表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ま、いっか。で世界が壊れる件 〜全知全能を田舎スローライフ用スキルだと思ってたら〜  作者: しゅんすけ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/101

第77話:極光のボタン――番犬、ついに「神」として出荷される?


【AM 10:00:作業小屋の「掘り出し物」】

 はざま村の午前中。ソラは作業小屋の棚の奥で、埃を被った小箱を見つけていた。


 中に入っていたのは、以前「なんだか綺麗なガラス玉だなぁ」と拾っておいた、全宇宙の魔力を凝縮したような『極大魔石ステラ・マリス』の詰め合わせだ。


「よし。ポチのパジャマ、ボタンが普通の木製だと、夜の散歩の時に少し地味でしたからね。……ま、いっか。この光る石に付け替えれば、もっと明るくなって安心です」


 ソラは鼻歌まじりに、『万象断ちの箸』で器用にボタンを付け替え始めた。


 普通なら、魔石を針で通そうとした瞬間に魔力が暴走して国が消し飛ぶところだが、ソラのDIYモードの前では、銀河級のエネルギー体もただのお洒落なパーツに成り下がる。


「……チチチッ!( アレン、見ろ! ソラ殿が今、こともなげに『全知の魔石』に穴を開けて糸を通しておるぞ! あれ一粒で、魔界の浮遊城を三千年は動かせるエネルギー源なのだぞ!?)」


「……わかってるよ、ゼノン。俺もさっきから、あのボタンが付けられるたびに、村の周囲の座標がミリ単位でより高次の世界に引き上げられていくのを感じて、もう眩暈がしてるんだ……」


 アレンは胃薬(10円)を噛み砕きながら、完成していくパジャマの異常を見届けるしかなかった。


【PM 8:00:第2形態・キラキラパジャマの試着】

 夜になり、ログハウスのリビングで、再びポチのパジャマ試着式が行われた。


「はい、ポチ。新調しましたよ。ボタンが光って、夜道も安全です。ま、なんとかなりますよね」


 ソラが優しくパジャマを着せ、七つの魔石ボタンを留めた瞬間。


 リビング全体が、オーロラのような七色の極光オーロラに包み込まれた。


「ガウゥゥッ!?(ま、眩しすぎる! ご主人、安全どころか、俺、今自分の姿が宇宙のビッグバンの中心に見えてるんだけど! 尻尾を一振りするだけで、銀河の解像度が上がってる気がするぞぉぉ!!)」


 ポチの三つの首が絶叫する。パジャマのボタン一つ一つが、天体の運行を制御する特異点として機能し始めていた。

 

 ポチがトコトコと歩くたびに、肉球からは不老不死の雫が溢れ出し、リビングの床板(世界樹製)が歓喜のあまり新芽を吹き出し始めた。


【PM 10:00:ご先祖様、パニックを通り越して「合唱」】

 当然、いつもの厨子(扉)の向こう側の来客たちが、これを見逃すはずがない。


 扉が開いた瞬間、前夜の行列を遥かに凌ぐ、数万の英霊や天使、さらには異世界の隠居神たちまでが、リビングを埋め尽くした。


「……おお……おお……。ついに、ついに現世に真の救世主が降臨なされた……!」


「あの七つの光は、北斗七星の権能を司る神具……。拝め! 拝むのだ! 瞬きするだけでカルマが消滅するぞ!!」


 リビングは、もはや霊界の巨大フェス状態だった。


 数万の霊体がポチの後をゾロゾロと歩き、ポチが「ガウッ!(あっち行け!)」と吠えれば、その咆哮が神の託宣として全員の脳内ノートに自動筆記される。


「……ニャア。(……ククッ。ポチよ、あきらめろ。今の貴様は、冥界の王である我よりも宗教的価値が高い。……ま、いっか。我はここで、その光を浴びながらお昼寝デトックスをさせてもらうぞ)」


 クロさんがポチのパジャマの裾で丸くなり、至福の表情で眠りにつく。


 一方、掃除係のミナは、この光景を見て再び発狂していた。


「あぁぁ!! 私が一日かけて除菌したリビングが、英霊たちの流す『歓喜の涙(高濃度聖水)』で水浸しですわ! 掃除が……お掃除が追いつきませんわぁぁ!!」


「ポコポコッ!(……ミナ殿、気にするな。その涙はそのまま床に染み込み、このログハウスの耐久値をあと一億年分ほど延長したから、ま、いっかだ!)」


【AM 6:00:神として出荷(散歩)される番犬】

 翌朝。一晩中宇宙を背負って散歩をさせられたポチは、パジャマを脱がせてもらうと、魂が完全に抜けた顔でジハンキさんの前に転がっていた。


「あ、ポチ。お疲れ様。ボタン、外れなくて良かったです。……ま、いっか。ポチが光ってるおかげで、村の街灯代わりにもなりましたし」


『……報告。……昨夜ノ、パジャマノ、神光放射。……天界ノ、最高神ノ、望遠鏡ヲ、物理的ニ、焼キ切リマシタ。……現在、天界デハ「新シイ太陽ガ、地上ニ、誕生シタ」トシテ、パニックガ、継続中デス』


「あはは。ジハンキさん、面白いこと言いますね。……はい、ポチ。ご褒美の『銀河チーズおはぎ・ボタン味(魔力風味)』ですよ」


「ガウッ……(……俺……もう、ただの番犬に戻りたい……。でも、おはぎが美味いから、ま、なんとかなるか……)」


 ポチは三つの首で同時におはぎを頬張り、今日もまた、はざま村の移動式聖域としての一日をスタートさせるのであった。


 アレンは、ソラの帽子の接着剤でガッチリ固められた『最高神の羽』と、ポチのパジャマの『極大魔石』を交互に見て、静かに胃薬の瓶を空にした。


読んでいただきありがとうございます!


もし面白かったら【★★★★★】やブックマークで応援していただけると嬉しいです!


ソラくんの「ま、いっか」は、まだまだ続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ