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ま、いっか。で世界が壊れる件 〜全知全能を田舎スローライフ用スキルだと思ってたら〜  作者: しゅんすけ


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第49話:水龍ピピさん、村の「ウォシュレット」になる。~聖なる水圧と、お尻の救済~


はざま村にアカさんの地熱が加わり、ログハウス全体が常春の暖かさに包まれた。だが、ソラにはまだ、冬の朝に直面する最後の試練が残っていた。


「……冷たっ! ……うぅ、やっぱり冬の水は、目が覚めるどころか魂まで凍りそうですね」


朝、顔を洗おうとしたソラが、あまりの水の冷たさに肩をすくめた。


村の水道(ソラが竹と魔石で作った自動給水システム)は完璧だが、源泉が雪山の地下水であるため、冬場の温度は限りなくゼロに近い。


「(……ま、いっか。……いや、よくない。……特にお手洗いの時、この冷たさは絶望に直結する……)」


転生前、ブラック企業時代の唯一の癒やしがオフィスの温水洗浄便座だったソラにとって、これは死活問題だった。


そこに、池の掃除を終えてパシャパシャと跳ねる、小さな青い龍のような魚——ピピさん(元リヴァイアサン)がやってきた。


「あ、ピピさん! ちょうど良かったです」


ソラが、濡れた手を拭きながらピピさんを優しく抱き上げた。


「ピピさんは水の管理が得意ですよね。……実は、村の水道をもう少し温かく、そしてピンポイントで狙えるようにしたいんです。……ピピさん、村全体の『水圧管理センター』をになってくれませんか?」


「……ピピピッ!?(……えっ、私に水圧を任せると!? ……ついに来たましたか! 私が本気を見せれば、大津波で大陸ごと洗い流せます! ソラ様、どこを狙えばいいのですか!?)」


ピピさんのやる気(ピピピッ!)を「やる気満々ですね!」と受け取ったソラは、さっそく作業小屋へ。


素材は、アカさんの時と同じく、天界の天使が落とした『光の羽(大いなる光の欠片)』


「これを……水道の蛇口と、お手洗いの配管にインストールして。……ピピさんの魔力を『超高速振動』に変えて、摩擦熱でお湯にするんです。……仕上げに、ピピさん専用の『通信用ノズル(拡声器型)』を装着して……よし、完成です!」


ソラが金槌で叩き出したのは、宝石のように輝く青いノズル。


それがピピさんの魔力とリンクした瞬間、村のすべての蛇口が、ピピさんの意志で自在に操れる【神聖知能水道網】へと進化した。


「さっそく、試してみましょうか。……まずは、お手洗いから!」


ソラが、新しく改造したお手洗いのボタン(10円自販機の余りパーツ)を、恐る恐る押した。


(シュゴォォォ……)


ピピさんが水道管の中で集中する。

「……ピピピッ! (……魔力、充填! ……摩擦熱、発生! ……角度、固定! ……聖なる水、射出!!)」


「……っ!? ……ふぉぉぉ……。……あぁ、温かい。……しかもこの水、ただの温水じゃない。……汚れと一緒に、心の悩みまで洗い流されていくような……」


ソラが恍惚の表情を浮かべる。


ピピさんが放った水は、天使の羽の力で『聖水(極上Ver.)』へと昇華され、さらにピピさんの超精密な水制御によって、一ミリの狂いもなく救済を届けたのだ。


「(……ソラさん!! それ、お尻を洗ってるんじゃなくて、ピピさんが『浄化の極大魔法』を、一点集中でぶっ放してるんだよ!!)」


外で待機していたアレンが、お手洗いから漏れ出す後光を見て、地面に這いつくばった。


その頃、天界の『大いなる光』は、かつてないほどの静寂(絶望)に包まれていた。


「……報告……します……。……我らが最高神の欠片……『光の羽』の、現在の使用状況です……」


「……言え。……もう、どんな結果でも驚かぬ……」


「……はざま村において……。……神の威光が、『温水洗浄のヒーター』として利用されています。……さらに、我らが聖なるエネルギーが……人間の……その……排泄器官の洗浄に使われ……。……現在、はざま村のトイレからは、天界よりも清浄な浄化の光が放たれています……」


「………………」


「…………最高神様?」


「……もう、放っておけ。……あそこは、我々の理解を超えた。……神すらも、あの男の前では生活家電に過ぎぬのだ……」


天界が大いなる沈黙に入った瞬間、ピピさんは村の池で、得意げに水を噴き上げていた。


「いやぁ、ピピさん、最高です! 村のみんなもお尻に羽が生えたみたいだって喜んでますよ!」


「……ピピピッ!(……ふふん。当然です。……私こそが、村の清潔を守る水神ウォシュレット。……加湿器エリュシオンさん、霧だけで満足しているあなたとは、サービス密度が違いますよ)」


ピピさんは、ソラが作ってくれた水圧管理バッジを胸に光らせ、エリュシオンをライバル視しながら胸を張る。


その横では、アカさんがヒヨコ着ぐるみのまま、「……ポポッ。(……ふん。我の熱がなければ、その水もただの氷水だぞ)」とマウントを取り合っていた。


「(……もう、この村の家電ラインナップ、神話レベルを超えて宇宙規模だな……)」


アレンは、聖なる水でピカピカに洗われたポチが、全身から虹を出して走っているのを眺めながら、静かに10円を握りしめた。


はざま村の冬は、古龍の熱と、水龍の浄化、そしてソラの「ま、いっか」によって、お尻から世界を救いながら、爽やかに過ぎていくのであった。


読んでいただきありがとうございます!


もし面白かったら【★★★★★】やブックマークで応援していただけると嬉しいです!


ソラくんの「ま、いっか」は、まだまだ続きます。

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