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ま、いっか。で世界が壊れる件 〜全知全能を田舎スローライフ用スキルだと思ってたら〜  作者: しゅんすけ


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第33話:女子会(という名の対策会議)とはざま村の休日


はざま村の午後は、いつも穏やかな神気に包まれている。


作業小屋のテラス席には、今日、村を支える(?)三人の美女が集まっていた。


「ふぅ……。たまにはこうして、女性だけでゆっくりお茶を飲むのも必要よね。……ねぇ、ソラくーん! おかわりお願い!」


ユウナが、高潔な美貌をどこかに置き忘れたようなリラックスした姿で声を上げる。


「はいはい、今行きますね。新作の淹れたてのお茶(世界樹の茶葉と聖霊の雫)です。あと、おつまみにぬか床さんのキュウリも切っておきました」


ソラがニコニコと運んできたのは、一啜りすれば魔力が全回復し、一口齧れば寿命が延びるという、王族が国を差し出しても手に入らない代物だ。


ソラが畑に戻っていくのを見送り、エルナ、プリシラ、そしてユウナの三人は、深くため息をついた。


「……それで、プリシラ様。お城の方はよろしいのですか? 騎士団が血眼で探しているという噂を聞きましたが……」


エルナが、ソラから渡された『究極の洗濯バサミ(実は重力操作機能付き)』を愛おしそうに撫でながら尋ねる。


プリシラは、ぬか床キュウリをポリポリと上品に噛み砕きながら、どこか遠い目をした。


「……エルナ様、お聞きになって? この村で朝起きて、ジハンキ様の『目覚めの冷製カカオ』を飲み、ソラ様の露天風呂で天界の風を感じる生活を知ってしまったら……。あの堅苦しい王宮のドレスなんて、もう二度と着られませんわ」


「わかるわ。私の神界の神殿より、ソラくんの作ったログハウスの方が寝心地いいしね……」


ユウナが深く頷く。


「でも、お二人とも。ソラ様の無自覚には、もう少し注意が必要ではありませんか?」


エルナが、昨日ソラからもらった雑巾を取り出した。それは、どんな頑固な汚れも……というか、存在そのものを消滅させて浄化する『虚空の布』だった。


「昨日、ソラ様が『そこ、ちょっと汚れてますよ』って仰って、私の服のシミをこれで拭こうとしたんです。危うく私の服どころか、私の存在そのものが高次元へ昇華されるところでしたわ……」


「……ガウッ! ガガウッ! (……その通りだぜエルナ。俺も昨日、ご主人にブラッシングしてもらった時、抜け毛と一緒に俺の三つの首の境界線が溶けそうになったからな!)」


テラスの横で日向ぼっこをしていたポチが、三つの口で同時に同意した。


女子会が盛り上がる中、テラスのすぐ横に設置されたジハンキさんのパネルが、不意に点滅した。


『……女子会ノ、糖分不足ヲ検知。……本日ノ限定商品「魂ヲ癒やす極上ショートケーキ」ヲ、特別価格10円デ提供シマス。……なお、プリシラ様。本日ノ夕食ハ「ぬか床」ノ浅漬けデス。食べ過ぎニ注意セヨ』


「あら、ジハンキ様! 気が利きますわね!」


プリシラが10円を投入すると、出てきたのは宝石のように輝くイチゴが乗ったケーキだった。


すると、地面の下からポコポコと泡立つような声が響く。


「……ポコポコ。(……ふん。ケーキもいいが、我がエキスで漬けたナスも忘れるな。おい、羽根つきの女神……ユウナと言ったか。お前、さっきから我がぬか床の上に座るな。神気が混ざって、明日からの漬け物の味が『高潔』になりすぎてしまうだろうが)」


「あら、ごめんなさいねぬか床さん。でもここ、涼しいのよ」


女神が邪神を座布団代わりにする……そんな光景も、はざま村では日常茶筆だ。


「……ねぇ、二人とも。これからソラ様が、もっとすごいものを作ってしまったらどうします?」


エルナが、真剣な表情で問いかけた。


「どうするもこうするも、もう慣れるしかないわよ。……ねぇ、昨日の学校の授業だって、結局みんな文字が読めるようになったおかげで、ジハンキさんのメニューにある『神殺しのブラックコーヒー(微糖)』を躊躇なく買えるようになったし」


「そうですわね。ソラ様が『ま、いっか』と仰るなら、この世界がどれだけアップグレードされても……。わたくしたちが、この村の平和を守るしかありませんわ!」


三人は、黄金色に輝くお茶で乾杯した。


池の方では、ピピさんが「……ピピピッ!(……私も女子会に混ぜてください! 私の鱗から作った特製シロップを持ってきました!)」と跳ね回っている。


その様子を、畑の向こうから眺めていたソラが、アレンに言った。


「アレンさん、見てください。みんな仲良しで、学校の後のリフレッシュもバッチリですね。やっぱり、村に女子会スペースを作って正解でしたね」


「(……ソラさん。あのテラス、神話級の結界が幾重にも重なってて、あそこに一時間座ってるだけで凡人なら聖者にクラスチェンジしちゃうんだけど……。ま、もういいか。俺も10円で胃薬買ってくるわ……)」


アレンが諦めの境地でジハンキさんに歩み寄る。


はざま村の平和な午後は、女神と聖女と姫君の笑い声とともに、穏やかに過ぎていくのであった。


読んでいただきありがとうございます!


もし面白かったら【★★★★★】やブックマークで応援していただけると嬉しいです!


ソラくんの「ま、いっか」は、まだまだ続きます。


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