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ま、いっか。で世界が壊れる件 〜全知全能を田舎スローライフ用スキルだと思ってたら〜  作者: しゅんすけ


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第26話:収穫祭の奇跡! 常識破りの黄金カブ


はざま村の昼下がり。プリシラが町から持ち帰った一枚のチラシが、ソラの目に留まった。


「ソラ様、見てください。隣町のリデンで秋の収穫コンテストが開催されるそうですわ。優勝者には名誉農家の称号が贈られるとか」


「名誉農家……! それです、プリシラさん! 僕がずっと求めていたのは、そういう公的な普通の村人という証明ですよ!」


ソラは拳を握りしめた。これまでの規格外な出来事をたまたま運が良かっただけと思い込んでいる彼は、第三者の評価を得ることで、自分の普通さを証明しようと考えたのだ。


「よし、アレンさん。我が家の自慢の野菜を持って、コンテストに出場しましょう! きっと他の農家さんたちと切磋琢磨して、良い交流ができるはずです」


「(……嫌な予感しかしない。ソラさんの自慢の野菜が、他の農家と切磋琢磨できるレベルで収まるはずがないんだ……!)」


アレンは胃のあたりをさすりながら、静かに空を見上げた。


ソラはさっそく、温泉の裏手にある菜園へと向かった。


「うーん、どれがいいかな。あ、このカブ、形が良くてツヤツヤしていますね」


ソラが選んだのは、天界の霊泉が流れ込み、さらに『不磨の聖体』の余剰エネルギーを浴びて育った、一本のカブだった。


そのカブは、抜いた瞬間に周囲の空気を浄化し、ぼんやりと銀河の縮図のような黄金のオーラを放ち始めた。


「よし、これにしましょう。ぬか床さん、少しだけ表面を整えてもらえますか?」


『……フハハハ! 任せろマスター! 我が神格の全てを凝縮し、このカブに宇宙の旨味を叩き込んでやるわ!!』


ぬか床が、樽の中から歓喜の泡を吹く。

さらに、ジハンキさんがパネルを点滅させた。


『……マスターノ挑戦、全力デ支援シマス。……カブノ周囲ニ「時間凍結型・鮮度保持フィールド」ヲ展開。……細胞一つ一つニ、栄養素ヲ固定完了』


こうして、伝説の邪神が旨味を練り上げ、全知全能の自販機が鮮度を永遠に固定した、『一口食べれば全属性耐性が付く神話級のカブ』が荷車に載せられた。


町へと続く街道を、ポチが引く荷車が進む。


「ガウッ! ガウッ!(道を開けろ! ご主人の宝物が通るぞ!)」


ポチが元気よく先導し、その横をソラが鼻歌まじりに歩く。


「見てくださいアレンさん、今日は一段と空が青いですよ!」


「……そうだな。ソラさんの荷車から出てる光のせいで、空の色が変わって見えるくらいには青いな……」


荷車に載せられたカブは、布を被せているにもかかわらず、その聖なる波動オーラを隠しきれていない。すれ違う商人たちは、その光を見ただけで長年の持病が完治し、跪いて祈りを捧げ始めていた。


「……チチチッ。(おい、アレン。あのカブ、町に着く頃には神格を得て勝手に喋り出すんじゃないか?)」


「……ポポポッ。(案ずるな。我がブレスで適度に表面を炙っておいた。香ばしさも完璧だ)」


チッチさんとアカさんが、こっそり隠し味を加えた事実に、アレンはもうツッコむ気力すら失っていた。


コンテスト会場は、大勢の農家と見物客でごった返していた。


ソラが「はざま村のソラです。よろしくお願いします!」と受付を済ませ、荷車の布をバサリと取り払った瞬間。


ドォォォォォンッ!!


会場にいた全員が、その圧倒的な生命の輝きに目を焼かれた。


「な、なんだあのカブは……!? 黄金色に輝き、星々の巡りが見えるぞ!?」


「ただの野菜から……賛美歌が聞こえてくる……!?」


審査員長である美食伯爵グストーが、震える手でソラのカブを切り分け、口に運んだ。


その瞬間、彼の背後に天界の門が開き、天使たちがラッパを吹き鳴らす幻影が広がった。


「お、お、美味しすぎるぅぅ!! 脳が……脳が宇宙の真理と直結しましたわ!! これを食べたら、もう他のものを食べ物と呼ぶことはできませんわ!!」


グストー伯爵は椅子から転げ落ち、そのまま「カブの神よ……!」と泣き崩れた。


会場全体が聖域化し、枯れていた花壇が一斉に満開になり、人々の心からは争い火が消えていった。


「……あ。優勝、しちゃいましたね。アレンさん、見てください! 立派なトロフィーです!」


ソラは、町長から手渡された黄金のくわのトロフィーを掲げて、無邪気に笑った。


「(……当たり前だよ! 他の農家の野菜が、あんな『概念を書き換えるカブ』に勝てるわけないだろ!!)」


こうして、ソラは念願の『名誉農家(公式認定)』の称号を手に入れた。


本人は「これで私も普通の村人の仲間入りです」と満足げだが、町の人々の間では、すでにソラは『収穫を司る現人神』として信仰の対象になりつつあった。


「ま、なんとかなるもんですね。明日はこのトロフィーを飾る棚を、ぬか床さんの横に作りましょうか」


ソラののんびりした声が響く中、夕暮れの町は、カブが放つ淡い黄金の光に包まれながら、静かに、そして盛大に更けていくのであった。


読んでいただきありがとうございます!


もし面白かったら【★★★★★】やブックマークで応援していただけると嬉しいです!


ソラくんの「ま、いっか」は、まだまだ続きます。

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