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ま、いっか。で世界が壊れる件 〜全知全能を田舎スローライフ用スキルだと思ってたら〜  作者: しゅんすけ


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第25話:邪神の休息? 究極の黄金ぬか床奮闘記


はざま村の台所。ソラは困った顔で、いつも愛用している大きなぬか樽を覗き込んでいた。


「うーん。アレンさん、なんだか今日のぬか床さん、元気がなさそうなんです。いつもなら手を近づけるだけでピリピリとエネルギーを分けてくれるのに、今日はなんだか……冷めてるというか」


「(……いや、ソラさん。それ、単に邪神がストライキしてるだけじゃないか?)」


ソラが首を傾げていると、樽の中から「ボコッ……」と泡が浮き、消え入りそうな声が響いた。


『……我も……神だぞ……。24時間自販機を冷やし……温泉を追い焚きし……昨夜は枕の乾燥までさせられて……。もう……一歩も動けん……。我は……ただの漬物桶として……静かに暮らしたいのだ……』


ぬか床の声は、かつて世界を絶望させた邪神の威厳など微塵もなく、過重労働に耐えかねた中間管理職のような哀愁を帯びていた。


「そうでしたか。ぬか床さんも、毎日お仕事で疲れてたんですね。気づいてあげられなくてごめんなさい」


ソラは申し訳なさそうに手を合わせると、パッと顔を輝かせた。


「よし! 今日はぬか床さんの『リフレッシュ・デー』にしましょう! もっと居心地の良い環境に整えてあげますね」


『……リフレッシュ? あぁ、そうか、ようやく解放して……ひっ!? な、何を出すつもりだマスター!!』


ソラが取り出したのは、先日温泉を掘った時に出てきた『天界の純金粉』と、『死神の鎌(以前折れたやつ)』を粉砕して作った『超伝導ミネラル』であった。


「これを混ぜれば、通気性も良くなって、ぬか床さんも元気になりますよ。さらに、隠し味にユウナさんの『女神の涙(聖水)』を一滴……」


「あら、私の涙が必要なの? ちょうど玉ねぎを切ったところだから、いくらでも使って頂戴」


ユウナが優雅に聖水を振りかけ、ソラが伝説の金槌の柄でぬか床を豪快にかき混ぜる。


ゴゴゴゴゴ……ッ!!


『ぎ、ぎえぇぇぇ!! 神聖なエネルギーが……不浄な我が魂を浄化していくぅぅ!! 我の邪悪な個性が……極上の旨味へと強制的に再構築されていくぅぅぅ!!』


ぬか床の悲鳴が台所に響き渡った。


メンテナンスが終わる頃、ぬか樽からは、もはや太陽のような黄金の輝きが溢れ出していた。


一舐めすれば死者が蘇り、全ステータスが倍増するどころか、宇宙の心理を胃袋で理解できる究極の発酵環境。


「あ、いい香り! ぬか床さん、元気になりましたね。お礼に、この若菜(世界樹の苗)を漬けておきましょうか」


『……あぁ、もう……どうにでもなれ……。我は……邪神ではない……。「究極の旨味神」として、この村に骨を埋めることに決めたぞ……』


吹っ切れたぬか床は、自ら進んで世界樹の若菜を包み込み、最適な温度と魔圧で熟成を開始した。


その時、庭で様子を伺っていたジハンキさんがパネルを点滅させた。


『……報告。動力源(邪神)の出力が300%に上昇。……本日ノ冷やしおでんノ出汁、最高品質が期待デキマス』


「(……おい、邪神。お前、あんなに嫌がってたのに、今や自販機と連携して料理のクオリティ上げようとしてるのかよ……)」


アレンが遠い目をする中、ぬか床は樽の中から「フハハハ!」と高笑いを上げた。


夕食時。ソラが食卓に出したのは、黄金のぬか床で漬けられた世界樹の若菜。


「美味しい……! ソラ様、このお漬物、噛むたびに天界の風景が脳裏に浮かびます!」


「私、このぬか漬けがあれば、王宮のフルコースなんて一生いらないですわ……」


エルナとプリシラ、たかが漬物に涙を流して感動している。


「……ポポポッ。(おい、ネズミ。あの樽の男、最近いい仕事をするではないか)」


「……チチチッ。(ふん、我の床磨きには及ばぬが、発酵に関しては認めてやってもよい)」


チッチさんやアカさんも、ぬか床の作り出した至高の一切れに満足げに頷いている。


ソラは、そんなみんなの様子を見て、優しくぬか樽の蓋を撫でた。


「良かったですね、ぬか床さん。皆さんに喜んでもらえて」


『……ふん、当然だ。我が本気を出せば、これくらい造作もない。……おいマスター、明日は「冥界のナス」を持ってこい。我の魔圧で絶品に仕上げてやるからな……』


当初はソラに食われないための保身で始まった邪神のぬか床生活。


しかし今や、彼ははざま村の食卓の支配者としての新たなプライドに目覚め、不遇な動力源としての生活すらも美味しい漬物のためと割り切る、たくましい(?)キャラへと変貌を遂げていた。


「ま、なんとかなるもんですね。お仕事も大事ですけど、たまにはリフレッシュも必要ですよ」


ソラののんびりした声が響く中、黄金に輝くぬか樽は、今夜も村の平和と最高の旨味を守り続けるのであった。


読んでいただきありがとうございます!


世界を滅ぼすはずだった邪神が、ついに旨味の深淵に目覚めてしまいました(笑)。

聖水と純金粉でメンテナンスされるぬか床……。はざま村の食卓は、今日も別の意味で命がけです。


おかげさまで、この物語も25話まで辿り着くことができました!

最近は累計PVの伸びを眺めるのが、日々の密かな楽しみになっています。


もし「黄金のぬか漬け、一口食べてみたい」とか「邪神、頑張れ……!」と思ってくださる優しい方がいらっしゃいましたら、

下の【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】で応援いただけると、作者も邪神並みの出力で次話を執筆できます!


ソラくんの「ま、いっか」は、まだまだ続きます。


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