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ま、いっか。で世界が壊れる件 〜全知全能を田舎スローライフ用スキルだと思ってたら〜  作者: しゅんすけ


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第23話:伝説の雑草、枕の詰め物になる


はざま村の朝。ソラは裏庭の堆肥場コンポストの前で、腕を組んで悩んでいた。


「うーん。アレンさん、見てください。昨日の温泉の湯気を浴びてから、庭の雑草の成長が早すぎて……。抜いても抜いても、堆肥場に入り切らないんです。しかも、なんだか夜になるとぼんやり光ってて、ちょっと眩しいんですよね」


ソラが指差した先には、山積みになった雑草があった。


それは、世界中の賢者が一生をかけて一本探すと言われる神話級の霊草、『天上の癒やし(ヘヴンズ・ヒール)』。温泉の神気を吸いすぎて、もはや草というより光の束に見える代物だ。


「(……いや、ソラさん。それ、もう堆肥じゃなくて聖遺物の集積所になってるから! 眩しいのは、草から溢れ出す聖なる魔力が飽和してるせいだよ!!)」


「捨てるのも忍びないですし……。あ、そうだ! これ、天日干しにしたらすごく良い香りがしたんです。乾燥させて、みんなの枕の詰め物にしませんか? きっと安眠できますよ!」


「(……安眠!? 魂が肉体から離脱して、天界まで飛んでいきそうな枕になりそうなんだけど……!!)」


ソラはさっそく、庭で雑草を干し始めた。


乾燥させるために、ソラが「ちょっと温度を上げましょうか」と、伝説の金槌で地面を軽く叩く。


ドォォォォォンッ!!


地下のぬか床が、無理やり地熱を引き出され、堆肥場周辺だけが極上の乾燥室と化した。


「……チチチッ。(ソラ殿、この草、乾燥させる過程でさらに成分が凝縮されているぞ。……これを頭に敷いて寝れば、凡人でも一晩で賢者の知識をインストールできそうだな)」


「……ポポポッ。(我も一つ欲しい。龍の夢を見るのが捗りそうだ)」


チッチさんとアカさんが、ソラの手元を興味津々で覗き込む。


ソラは、余っていた頑丈な布(実は魔耐性100%の聖布)を袋状に縫うと、そこに乾燥した伝説の雑草をパンパンに詰め込んでいった。


「はい、出来上がりました! ポチには特大サイズ、アレンさんやエルナさん、ユウナさん、プリシラさんにも一つずつありますよ」


ソラが完成させた枕は、置くだけで周囲の空間の汚れ(穢れ)が浄化され、小鳥たちが「尊い……」という顔で集まってくる、とんでもない聖具に仕上がっていた。


その日の夜。


アレンは、ソラから手渡された枕を恐る恐るベッドに置いた。


「……ま、まぁ、ソラさんの手作りだしな。香りは確かに……宇宙の真理を嗅いでいるような、信じられないほど良い匂いだけど……」


アレンが頭を乗せた瞬間。


彼の意識は、深い眠りへと落ちるのと同時に、真っ白な精神空間へと飛ばされた。


『……ようこそ、勇者よ。今宵は古代の剣聖百人による、徹夜の組手セミナーを開催する……』


「(……寝させてくれぇぇぇ!! 睡眠中に修行させられる枕なんて、聞いたことねぇよ!!)」


一方、隣の部屋のプリシラも、枕に頭を沈めた瞬間に王としての資質を問う神々の審判にかけられ、夢の中で国家三千年の歴史を再構築させられていた。


聖女エルナに至っては、あまりの聖なる波動に、寝ている間中、背中から後光が射し続け、部屋の壁を突き抜けて村全体を照らす「サーチライト」のようになっていた。


唯一、ユウナだけは「あら、いい香り。お肌が若返るわ」と、神の肉体をさらに純度100%に近づけるという、贅沢すぎるエステ効果を満喫していた。


翌朝。食堂に集まった面々の顔は、一様に悟りを開いたような、異様な輝きを放っていた。


「……おはようございます。アレンさん、なんだか一段と……強そうというか、目力がすごいですね」

ソラが不思議そうにアレンを見る。


アレンのレベルは一晩でカンストし、腰に下げた剣が「マスター、私はもう伝説の剣になりました」と喋りかけてくるほどの領域に達していた。


「……ええ、ソラさん。おかげさまで、一晩で剣術の真理を全て理解しましたよ……。……でも、めちゃくちゃ眠いです……」


「あら、私は最高よ! 見て、肌のツヤが昨日までの女神級から超越神級になったわ!」


「ソラ様、昨夜は夢の中で主神様と対談いたしました……。この村を神聖国家とする許可をいただきましたわ!」


プリシラも、寝癖こそついているが、その立ち振る舞いはもはや聖帝のような威厳に満ちあふれている。


「わぁ、皆さん喜んでくれて良かったです! やっぱり、庭の雑草も使い道次第ですね」


ソラはニコニコと笑いながら、朝食の「リヴァイアサンの余りで作ったお粥」を配った。


その足元では、特大枕で爆睡していたポチが、三つの首で同時に「寝言ブレス(全属性無効)」を吐き出し、ピピさんが「ピピピッ(……私も枕が欲しいです!)」と羨ましそうに跳ねている。


「ま、なんとかなるもんですね。今夜はもっとたくさん草を詰めて、パンパンにしてあげますからね!」


「……いや、これ以上詰められたら、今度は夢の中で世界を創世させられそうだから勘弁してくれ!!」


アレンの悲鳴のようなツッコミが、朝日の中で虚しく響く。


こうしてはざま村の雑草は、ソラの「もったいない」という精神によって、一晩で英雄や聖帝を量産する英才教育装置へと姿を変えたのであった。


読んでいただきありがとうございます!


もし面白かったら【★★★★★】やブックマークで応援していただけると嬉しいです!


ソラくんの「ま、いっか」は、まだまだ続きます。


【おまけ】ポチのふわふわ画像を公開中!

活動報告にて、本編で洗われた後のふわふわポチのイラストを公開しています。

アレンも思わず警戒を解いてしまった、その愛くるしい姿をぜひ覗いてみてくださいね!


https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/3030454/blogkey/3606687/

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