表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ま、いっか。で世界が壊れる件 〜全知全能を田舎スローライフ用スキルだと思ってたら〜  作者: しゅんすけ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/76

第20話:神話級タコパ! 禁忌の海獣と黄金のソース


はざま村の広場(※ソラの家の庭)では、朝から賑やかな準備が進んでいた。


今日は新入りであるプリシラ姫の歓迎会。ソラは、村の入り口にある10円自販機の横に特設の長机を並べ、腕まくりをしていた。


「プリシラさん、村の生活には慣れましたか? 今日は歓迎会ですから、ちょっと豪華にたこ焼きパーティーをしましょう! ほら、丸くて可愛らしいですから、女の子にも人気なんですよ」


「た、たこ焼き……? 王宮の晩餐会では聞いたことがありませんわ。でも、ソラ様が仰るなら、きっと伝説の宮廷料理に違いありません!」


プリシラが目を輝かせる横で、アレンは冷や汗を流していた。


「(……いや、プリシラ。たこ焼きは庶民の味だよ。……ただ、ソラさんが言うたこ焼きが、ただのタコで済むはずがないんだ……。嫌な予感しかしない……)」


そう言いながら、ソラはふと縁側の隅に置いてあった白い布に目をやった。


「……あ、この布。そういえば、何に使おうと思ってたんだっけ」


それは、先日「丈夫そうだな」と拾ってきた、やけに光沢のある白い布だった。


ハサミでも傷一つ付かず、引っ張っても伸びない不思議な素材だが、ソラは特に気にしていない。


「まぁ、そのうち寝巻きでも作ろうかな。ちょうど今のパジャマ、少しくたびれてきてますし」


「(……は? 寝巻き? その布で!? いや待て、今の一瞬、空間が歪まなかったか……?)」


アレンが嫌な予感に眉をひそめるが、ソラはすでにたこ焼きの準備に意識を戻していた。


「アレンさん、ちょっと近所の海までタコを買い……いえ、釣ってきますね! ポチ、お留守番をお願いします!」


「ガウッ!(合点だ! 門番は任せろ、ご主人!)」

ポチが、尻尾をプロペラのように振って見送る中、ソラは軽装で禁忌の海域へと向かった。


その後。


世界の果て、荒れ狂う波が岩を砕く死の海の断崖に、ソラは立っていた。


「うーん、この辺りに大きなタコがいるって、ピピさんが言ってたんですけど……。あ、いました! ちょっと足が多そうだけど、これならみんなでお腹いっぱい食べられますね」


ソラが海面に投げ入れたのは、特製の『黄金のタコ壺(実は神話級の封印具)』。


次の瞬間、海が真っ黒に染まり、一隻の軍艦を赤子の手をひねるように粉砕する巨大な触手が、空を覆い尽くした。


伝説の魔獣『クラーケン』。


その一振りが島を沈めると言われる災厄の化現が、ソラのタコ壺に吸い寄せられていく。


「はい、釣れました! 意外と素直なタコさんですね。……よいしょっと!」


ソラが竿を引くと、空間がピキピキと音を立てて歪んだ。

スキル【万象創造】——対象の『食材化』。


「ギ、ギエェェェ……!? 我は……海の王……。それが、なぜ……この小さな壺に……!? 全身の筋肉が、強制的にプリプリした食感に書き換えられていくぅぅ!!」


クラーケンの悲鳴は、波音にかき消された。


ソラは、壺の中に綺麗に収まった(強制的に縮小・洗浄された)クラーケンを抱え、鼻歌まじりに村へと戻った。


村に戻ると、ソラは巨大な鉄板を用意した。


「チッチさん、火加減をお願いします! アカさんは、その横でソースを煮詰めてください!」


「チチチッ!(……心得た。この魔王の魔圧で、外はカリッと、中はトロッと焼き上げてくれるわ!)」


チッチさんが、神速の千枚通し(ピック)捌きを見せる。


「ポポポ、ポポッ!(……任せろ。古龍のほむらで、ソースのコクを極限まで引き出してやる)」


アカさんが吐き出す微弱なブレスが、ソースの入った鍋を黄金色に輝かせる。


さらにソラは、隠し味としてぬか床の樽を叩いた。

「ぬか床さん、旨味が足りないので、ちょっとだけエキスを分けてくださいね!」


『……我は……神……。たこ焼きの……隠し味にするなぁ……。あぁ、我の神格が……鰹節かつおぶしのような香ばしさに変えられていく……』


こうして、伝説の海獣クラーケンを具材にし、魔王が焼き、古龍が熱し、邪神が味を整えた、『宇宙開闢以来、最も危険で美味いたこ焼き』が完成した。


「さあ、出来上がりました! 熱いうちにどうぞ!」


ソラが皿に盛り付けたのは、一粒食べるだけで寿命が千年延び、全ステータスがカンストしそうなほど光り輝く球体だった。


「……っ!? な、何ですの、この芳醇な香りは……! いただきますわ!」


プリシラが一口頬張る。その瞬間、彼女の背後に青い海と銀河の幻影が広がった。


「お、おいしい……! 全身の細胞が歓喜の歌を歌っていますわ! これ、王宮で出したら、間違いなく隣国と戦争になりますわよ!?」


「アレンさんもどうぞ。ほら、口を開けて」


「……あ、あーん。……モグッ。…………っ!!(美味すぎて魂が口から出そうになった!!)」


アレンは、クラーケンの吸盤が口の中で心地よく弾ける感触に、勇者としての全ての苦悩を忘れた。


池ではピピさんが「ピピピッ!(……かつての同僚クラーケンが、こんなに美味しくなるなんて!)」と喜び、ポチは三つの頭で一度に三粒のたこ焼きを飲み込んでいた。


「ま、なんとかなるもんですね。みんなでこうして美味しいものを食べるのが、一番の平和ですから」


ソラがニコニコと笑い、自らもたこ焼きを口にする。

その背後では、満足した巡礼者たちが自販機の周りで踊り、はざま村はかつてない祝祭の空気に包まれていた。


——その日、はざま村の空に浮かぶ星座が、

『タコの形』に並び替えられていたことに、誰も気づかなかった。


読んでいただきありがとうございます!


星座がタコの形になるなんて、はざま村の空もだいぶ賑やかになってきましたね(笑)。


実は最近、累計PVに喜びを噛み締めています!

もし「今日の回、ちょっと笑ったな」と思っていただけたら、

下の【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】をいただけると、

画面の向こうで私が「ま、いっか(いや、最高!)!」と叫びながら喜びます。


次回もまたお会いしましょう!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ