表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/59

戸棚から

 僕達がやってきた場所は、僕達にも覚えのある場所だった。

 

「あれ、ここ僕達がニンジンを運んできた……」

「そうなのですか? ……そういえばここのお店で最近、新商品を作って売れたと自慢しているのを聞いたような気が……」


 僕の言葉にミミがそう答える。

 どうやらあの美味しいジャムは、新商品であったようだ。

 そう僕が思っているとフィスが歩いて行って店のドアを開く。と、


「いらっしゃ~い……フィス、どうしたの?」

「“宝玉”の関係でお話が」

「……今日はお店をしめるしかないね」


 そう言ってうさ耳のお姉さんは、僕達が入るとともに臨時休業の看板を掲げてしめる。

 そして僕達に、


「ここまでニンジンを運んでくれた人たちも仲間だったのかしら?」

「いえ、違うのですがこちらでたまたまあっただけです。ですが信頼は出来る方々です」

「そう、だったら案内してもいいわね」


 そう兎の耳のお姉さんは僕達に言ったのだった。








 離れの工房でニンジンのジャムを作っているらしい。

 甘くて美味しそうな匂いがする。

 後でここで購入しようと思いつつそこで兎の耳のお姉さんが、


「これ、渡しておくわね」


 そう言ってミミに透明な球を一つ渡した。

 握り拳くらいの大きさのもので、お菓子の入っている戸棚から出てきた。

 そして、その戸棚から今度はパイのようなものを兎の耳のお姉さんは取り出して、


「とりあえずお客さん用のお菓子を……どうしたの? ミミ」

「あの、今そこにあったのが宝玉……」

「ええ。でもこんな場所にあるとはだれも思わないでしょう?」


 そう、兎の耳のお姉さんは悪戯っぽく笑ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ