音
おじさんが旅行から帰ってきたらしいので行くことにした。
何となく気まずい。私がおじさんの家で1日だけ過ごして飽きて鍵を投げたことはわからないだろうけどなんとなく気まずい。
いや、分かってる。多分おじさん目線だと、シンプルに3日間使って律儀にドアポストに入れただろうと考えることはわかっている。ただ、気まずい。なんとなく気まずい。
「お邪魔しまぁす」
いつも通りの声量で言ったはずだ。
いつも通り、おじさんの書斎に入ってソファにバッグを投げて体を預ける。
何をするわけでもなく私はスマホを眺める。
いつも通りマウスのクリック音多めの音が耳に入る。
私に何を言うでもない、私も何を言うでもない、つもりだった。
「おじさんおかえり……」
「ただいま……」
勝手に出てしまった。
けどいい、これでいい。
いつも私に対して邪魔扱いだの何もしない。だからと言って歓迎もしてくれない。
これがちょうどいい。
「ほい、これ……」
何かを目の前にぶら下げてきた。
「なにこれ……」
どうやら……。
「お土産」
「え?」
「お父さんとお母さんにもよろしくな」
「う、うん。分かった……」
何となく。
「(うれしい)」
小声で勝手に出ていた。
「なにか言った?」
「なぁーんもない」
これがいいのかもしれない。




