表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜転生〜転生したら第5王子だったので、ダラダラ過ごしたいと思います〜  作者: 桔梗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/19

2.今世は勝ち組確定です

気がついたら、俺は泣いていた。


「おぎゃあああああああ!!」


自分でも引くほどの大声だった。


おぎゃあ?何だこれ。声が高い。体が小さい。手が丸い。うまく動かない。っていうか、視界がぼやけるし、首も据わってない。なんだこの状況。


「まあ、お元気ですこと!」

「殿下は今日もご壮健でいらっしゃいますね」


知らない女たちが、顔を寄せ合って微笑んでいた。

全員、やたらと綺麗な服を着ている。

天蓋つきのベッド。刺繍の入ったカーテン。柔らかな絨毯。磨き抜かれた調度品。


どう見ても、病院ではなかった。

そして俺は、泣きながら理解した。


あ、これーー転生だ。


しかも、かなり良いところに生まれている。


その後、赤ん坊なりに周囲の会話を聞き集め、言葉を覚え、這いずり回り、つかまり立ちをし、気づけば確信に変わった。


俺はどうやら、王族らしいーー。


国の名は、レイヴェルト王国。

父は国王、クロード・ヴァン・レイヴェルト。母は側妃のアルステラ・レイヴェルト。


そして俺の名前は、第五王子、アルト・レイヴェルト。

そう、第五だ。


第一じゃない。第二でもない。

最初にそれを知った時、俺は心の中で万歳三唱した。


(勝った……!)


王子といっても、第一王子なら大変だ。

幼い頃から帝王学だの政略だの、胃が痛くなる未来しか見えない。

第二も危うい。第三も怪しい。第四あたりでもまだ油断はならない。


だが、第五だ。

上に四人もいる。最高じゃないか。


よほど上の兄たちがまとめてやらかさない限り、王位なんて回ってこない。

下手に期待されず、かといって衣食住には困らない。

これ以上ない、完璧なポジションだった。


(今世、勝ち組確定だ!!!)


ーー俺は誓った。


この身分を最大限活用し、起きたい時に起き、食べたい時に食べ、眠くなったら昼寝をし、季節のいい午後には庭でぼんやり空を眺める。


絶対に働かない。

無駄に責任を負わない。

人の顔色を窺ったりしない。


それが俺の、第二の人生の目標で、それで十分だった。

少なくとも、その時の俺は本気でそう思っていた。


だが、この世界には一つだけ、俺の完璧な人生設計を根底から揺るがすものがあった。


――魔法である。


最初にそれを見たのは、一歳になったばかりの冬の朝だった。


まだ眠い目をこすりながら寝台の上で毛布にくるまっていた俺は、侍女が冷えた部屋の中で、暖炉の前に立つのをぼんやり見ていた。


彼女は薪に触れもせず、細い指をかざした。


灯火ラクト


次の瞬間、ぱちり、と乾いた音がして、暖炉に火が灯った。


「…………」


俺は固まった。

いや、三歳児の顔面なので、外から見れば「きょとん」としただけだっただろう。


(え、今の何。魔法?いや、魔法だろ。そういうやつだろ!?)


心の中で、盛大に叫んだ。


そうかーー王族に転生しただけではなく、ここはそういう世界なのか。

盛りすぎではないか、神様!?どういうサービス精神だ?


そして俺は、その瞬間に理解した。

この人生設計には、一つだけ修正が必要だと。


もちろん、目標は変わらないが、そこに新たな一文が加わった。


ーー魔法は別だ。


これは仕方がない。男という生き物は、何歳になっても、厨二病のようなものに抗えないのである。


それからの俺は、赤子なりに観察を始めた。

魔法で、より怠惰に生きるために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ