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社畜転生〜転生したら第5王子だったので、ダラダラ過ごしたいと思います〜  作者: 桔梗


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15/19

15.宝箱orパンドラの箱

ーー翌朝。

いや、正確には、昼に近かった。


俺は、寝台の中で、ぬくぬくと毛布にくるまっていた。

昨夜、寝る前に快眠結界を張ったおかげで、寝台周りだけはかなり快適になっている。


外は寒いし、この部屋を一歩でれば、屋敷全体が寒いに違いない。

だが、この毛布の中だけは楽園だった。


ここをフェルミア領の首都にしたい。

いや、もういっそ俺だけの独立国家にしたい。


国名はーー安眠王国。

建国理念はーー健やかなる安眠。

実に、素晴らしい国である。


俺は、リリアに肩を揺すられて目を覚ました。


「アルト様」


「……あと二時間」


「すでに十分寝ておられます」


「俺とリリアの、十分の定義が違うんだよ」


「朝食が昼食になりかけていますよ」


俺は毛布の中で身じろぎした。


外に出たくない。

非常に出たくない。


「リリア」


「はい」


「今日はこの部屋を領地にしよう」


「却下です」


「即答かよ」


「リカルド隊長が、すでに三度ほど報告のためにいらしています」


「帰して」


「一度目は帰しました」


「二度目は?」


「しばらく、屋敷内で待つと言われました」


「三度目は?」


「今、扉の外にいます」


俺は毛布を頭までかぶった。


「いないことにしてくれ」


「無理です」


その時、扉の外から控えめな声がした。


「殿下。お目覚めでしょうか」


リカルドだ。


「……はい、起きてます。少しお待ちいただけますか?」


「はい。では屋敷の外でお待ちしておりますので、ご準備が整いましたらお越しください」


俺が毛布の中から答えると、リリアがため息をついた。


「アルト様、お支度をしましょう」


***


準備が終わり、リカルドの元へ向かうと、屋敷の外で数人の兵士と共に待ち構えていた。


「アルト様、昨日の件についてご報告を。タロウを地下倉庫に収容していたのですが……あの……非常に大人しくしております」


「……大人しく?」


「……はい。見張りの兵の指示に従い、地下倉庫の隙間風を塞ぐ作業まで始めました」


「え?」


「また、訓練で壊れた木刀を修理し、古い毛皮を干し、床下に溜まっていた雪解け水を、穴を掘って排出したとのことです」


俺はゆっくりと起き上がった。


「……めちゃくちゃ働いてるじゃん」


「ええ。非常によく働いております」


リカルドの声には、わずかな困惑が混じっていた。


「兵たちも、タロウをどう扱えばいいのか戸惑っております」


リリアが静かに言う。


「アルト様」


「何だ」


「労働力確保、成功ですね」


ーー俺は少しだけ考えた。


タロウはよく働く。

つまり、名付けさえすれば、他の魔物も適材適所で働かせることができるかもしれない。


北の森には、まだタロウの仲間がいる。

つまり、人手不足解決の糸口がそこにある。


(まるで宝箱じゃないか!!いやーーパンドラの箱にもなりかねないか?)


……いや。

パンドラの箱かどうかは、どうでもいい。


俺が楽になるなら、それでいい。


「それからーー」


何か言いかけて、リカルドは羊皮紙を一枚広げた。

簡易的な地図だった。


フェルミアのさらに北、そこからさらに奥へ、細い線が引かれている。

そこは、魔物の生息地でもある、「黒樹の森」だ。


「タロウによれば、小鬼たちの集落は黒樹の森の西側、古い採石場跡にあるそうです」


「採石場跡?」


「もともとは人間が使っていた採石場だったようですが、放棄されて久しく、今は小鬼たちが住み着いていると」


俺は茶を飲みながら地図を見る。


「……その採石場跡って、ここからどれくらいですか?」


「徒歩なら半日ほどです。馬ならもっと早い。ただし、森に入れば馬は使いづらくなります」


「ですよね」


俺は心の底から嫌そうな声を出した。


「で、その小鬼たちは今どうなっているんですか?」


「タロウによれば、黒餓石を埋め込まれた角持ちに支配され、集落から出られない状態だったそうです。昨日襲ってきた群れは、その一部だと」


「そこには今、小鬼が何匹くらいいるんですか?」


「正確な数は不明です。ただ、タロウの証言では、少なくとも三十から五十。生まれたばかりの幼い個体も含めれば、さらにいるそうです」


「三十から五十……」


俺は茶器を持ったまま、そっと目を閉じた。


ーー多い。多いな。


一匹ならタロウ。

二匹なら、まあ、タロウ二号。


だが三十から五十となると、もう完全に集落だ。

労働力として見れば魅力的だが、管理対象として見れば地獄の入口である。

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― 新着の感想 ―
 小鬼タロウ なんと驚きの働きモノで有用な”鬼材”ですねー❗️  小鬼5〜6体ぐらいならーと、主人公思っていそうですね。十体超えると、おっしゃるとおり管理が〜!となりますよね。
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