episode15 深淵の森
「ここが、深淵の森……」
冒険者ギルドで受けた薬草採集のクエストの為に来たのが深淵の森と呼ばれる森。
この森の場所は王国の門にいた兵士に聞いたのだが、少し離れてると言われたのだが結構歩かされた。時間もあまり掛けなくないので途中から走って来たが思った以上に早く走れたうえに疲れを感じない。これが身体強化の恩恵なのだろうか
「さて。さっさっと薬草採集して帰りますか」
しかし、どれが薬草なのかわからないので鑑定と念じながら辺りを見渡すが
『毒草』『痺れ草』『毒草』『毒草』『眠り花』『毒草』『毒草』『薬草』
毒草の割合おかしくないですかね?
ほぼ有害な草しか生えていない事に不安しかない。
とりあえず、薬草と表示された草を取りリュック入れる。
「もう少し奥に行ってみようか」
この深淵の森には、魔物と呼ばれる生物も棲息しているがそこまで強くはないとの事だったが用心に越した事はない。
森の奥へと歩いて行くと
『薬草』『薬草』『毒草』『薬草』『薬草』『薬草』『毒草』
入った所と比べると毒草と薬草の割合が逆になってる。
奥に行けば行く程薬草は取られていないのかもしれない。この調子で行けばすぐに30個ぐらい集まるだろう。
どんどん森の奥に行く度に、周囲の景色が変わっていく。
最初は綺麗な緑だった景色が、今では緑色が濃くなっているのがわかる。
「あまり長居はしたくないな」
そんな事を呟きながらも薬草はしっかりと取っておく。
「これで30っと!後は戻れば終わりか」
最後の一つを取り、来た道を戻ろうとした所で異変に気付いた。
さっきまでは全く聞こえなかった草木が揺れる音。それが自分を囲むように周囲から聞こえる。
その音がどんどん近付いて来て、ついにその音の正体が姿を現した。
「エサ……ミツケタ」
目の前に現れた奴を鑑定する。クマのような大きさの体を巨全身鎧で包み、大人の身長はありそうな程の大剣を持ったゴブリンナイトという魔物。
ゴブリンナイトの左右には、短剣を持つゴブリンが二体ずつ。
そしてこちらを囲んでいるのが、魔法を使うゴブリンメイジが五体。大きな木盾と槍を持ったゴブリンガードナーが十体。
木の上には弓矢を使うゴブリンアーチャーが十体の計三十体のゴブリンに囲まれていた。
「エサ……ヒツヨウ。コロセ!」
「初対面でいきなり殺せですか!」
「「「ゲギャギャ」」」
目の前の四体のゴブリンが一斉に襲いかかってくる。
狩魂の大鎌を展開し、短剣を振り下ろすように跳んでくる二体のゴブリンに向かって一閃。
走ってくる二体のゴブリンを返す刃で攻撃しようとした瞬間に、周囲のゴブリンメイジ達から火球が放たれた。
「ぐっ!」
四方から迫る火球を避けるため跳躍した時、ゴブリンアーチャー達から一斉に弓矢が放たれた。
迫り来る弓矢を狩魂の大鎌で払ったが、全てを払い切れず一本が右足に突き刺さる。
「んっ!この程度なら、まだ問題ありませんね」
「エサヨワッテル!」
着地すると同時に突き刺さっている弓矢を抜く。足はまだ動く。
その間にも魔法と弓矢が襲ってくるが、避けれるモノは避け、避けれないモノは狩魂の大鎌で払う。
「少し黙ってて貰っていいですか!」
距離を置いて魔法の準備をしているゴブリンメイジまで一気に迫り大鎌で切り裂く。後四体。
次のゴブリンメイジまで距離を詰め大鎌を振り下ろすが、それをゴブリンガードナーが盾で防ぎ槍を突き出してくる。
突き出された槍を避け、全力で大鎌を振るう。
それを防ごうとした盾は壊れ、ガードナーとメイジを殺す。
「盾といっても所詮は木……さぁここから始めましょうか!」
槍の間合いになるように、徐々に距離を詰めて来ているガードナー達だが、メイジを後ろに隠している一体のガードナーに向かって飛び掛かり大鎌を振り下ろし盾ごと破壊し、そのまま後ろにいるメイジを切り裂く。
ガードナー達の背後を取り、こちらを向く前に走りながらガードナーとメイジ達の首を刈る。
「ググッ!エサ、ヨワッテナイ。コノエサツヨイ!オマエタチモイケ!」
「「ゲッ!ゲギャ!ゲギャギャ!」」
しかし、ゴブリンナイトに指示された二匹のゴブリンは恐怖からかその場から逃げ出した。
ゴブリンナイトは怒ったのだろうか?体を震わせた後、こちらへ走ってくる。
標的をメイジからゴブリンナイトへと変更し、対峙する。
ゴブリンナイトが間合いを詰め大剣を振るい、それを大鎌で受け止めるが重い。
「くっ!やっぱり見た目だけではありませんか」
「オレノケン……トメルエサ、ハジメテ」
「私も初めての経験ですよ!」
「デモ、エサコロス」
「ぐぁぁ!」
逃げたとばかり、思っていた二匹のゴブリンが背後から現れ、こちらの両足を掴み短剣を突き刺したのだ。
痛みに耐え、ナイトの大剣を弾き両足を掴んでいるゴブリンに大鎌を振り下ろし絶命させる。
しかし、目の前には大剣を振りかぶるナイト。足は筋をやられたのか動かせない。
大鎌で切りつけても、金属の鎧を切り裂く事なんて無理だ。金属さえ切り裂く事が出来れば……いや、まだ一つ可能性がある。
「コレデコロス!」
「切り裂け!」
大剣が振り下ろされる前に、赤く発光する大鎌をナイトの体目掛けて振るう。
「ナッ!オレガ……」
振り下ろされるはずだった大剣は地面に落ちる。ナイトの上半身と一緒に。
何とか賭けに勝つことが出来た。もし賭けに負けていたなら、今頃地面に落ちていたのは私のほうだろう。
私が賭けた一つの可能性。それは道化の切り札の望んだ性能に変えられる特性。
全てを切り裂けと望んだ事で、金属の鎧すら切り裂ける性能に変化してくれた。その大鎌は、今は狩魂の大鎌の時と違い鎌全てが真っ白に変わっており、性能も凄い事になっている。
・断裁の大鎌
主の望みを叶え変化した大鎌。
性能 狩魂の大鎌よりも攻撃面に特化した大鎌。あらゆるモノを断裁する。
スキル
└断裁
└?????
そして、ゴブリンナイトを倒した事でまだ残っていたゴブリンアーチャー達はすぐに逃げていったようで追撃の心配は無くなった。
「ふぅ……何とか生きてるけ……ゴフッ」
体の痛みと共に口から血が吹き出す。酷い怪我を負った訳ではないはずなのに、何故……
足に刺さっている短剣を見ると、刺さっている部分を見ると紫色の液体がびっしり付着している。見た目からして毒だと思う。
立っていられないほどの目眩を感じ座り込む。
視界がどんどんボヤけていく。
「体を治す性能何かも……あったりしませんか……ね」
断裁の大鎌が赤く発光するのがボンヤリと見える。それを最後に意識が遠くなっていくのを感じた。




