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episode14 宿屋から初クエストへ

 

「ご主人様!着きました!」


 ミリナが案内してくれたのは『宿屋ルーキー』という看板が立てられている宿屋で、文字通り新人冒険者がよく使う宿屋で、代金も安く食事も三食出してくれるという、新人の冒険者にはとても優しい宿屋らしい。


「ありがとうございました。それでは行きましょうか」

「はい!」


 先頭を歩き、入り口の扉を開ける。

 宿屋に入ると、目の前には食事用だろうか?椅子と机が何セットか置かれており既に何人かの人が食事をしたり、酒を飲んだりしながら談笑していた。

 酒を飲んでいた数人の視線はこちらへと一瞬向けられるが、その視線はすぐにこちらから逸れてまた談笑が始まる。

 その食事用スペースの奥に受付と書かれた場所があり、そこに女性が座っていた。

 その女性は、大柄で体格もよく、目はキツく元冒険者と言われても誰もが納得するようなそんな女性。


「すいません。宿を取りたいのですが、空いていますか?」

「ん?あんた冒険者かい?」

「えぇ先程冒険者になったばかりですが」

「ふーん。奴隷を三人も連れてる新米冒険者なんて初めて見るけどね」

「ハハっ色々とありまして」


 女性は、後ろにいるミリナ達を見てから、私に対する目線が強くなるのを感じた。

 やはり奴隷の主というのは良い印象を持たれないのは当然か。


「一人部屋なら一泊50Gだよ」

「いえ、四人部屋がいいのですが」

「ハハッそうかいそうかい!四人部屋なら丁度空いているよ!一泊150Gでいいさね」

「では、そこをお願いします」

「食事はどうするんだい?今から欲しいってんなら部屋まで持ってってやるさ。ここじゃ気になってろくに食えんだろうしね」

「それでは、お言葉に甘えさせて頂きます」

「あたしゃオズマだ。何かあったら何時でも来な」


 そう言うとオズマは、部屋まで案内してくれて鍵を渡すと去っていった。

 先程まで強かったオズマの視線が、ふっと消え今では優しい視線へと変わっていったのがわかった。

 恐らく四人部屋を選んだ事で、奴隷を奴隷扱いしていないというのが、伝わっただろうか。


「見た目によらずイイ人だったね!」

「アルカ……それは失礼ですよ」

「イイ人だった!」


 アルカの失礼な物言いをミリナが叱り、エレナがオズマをイイ人だと断言している。

 そんなやり取りを横目に案内された部屋へと入る。

 部屋の中は広く、二段ベットが二つ置いてあり。その真ん中にテーブルが一つ置いてある。

 トイレとシャワーも完備されており、生活する分には完璧過ぎるほどの部屋だ。


「あの、ご主人様?」

「何ですか?」


 部屋に入り、ミリナが落ち着かないのかソワソワとしながら話し掛けてきた。


「本当に私達がこのようなお部屋を使ってもよろしいのですか?」


 ミリナの発言にエレナとアルカの息を飲む音が聞こえた。

 それは奴隷だった彼女達からすれば、当然の疑問。彼女達はこんな部屋を使って良い訳が無いいのだと思っているのだろう。

 今まで奴隷として、それ相応の対応をされてきた彼女達からすれば、信じられないと思っても不思議じゃない。

 だからこそ、聞いてきたのだ。

 本当に奴隷である自分達が使って良いのかを


「勿論ですよ。私は貴女達を奴隷扱いしないと誓いましたから」


 その言葉に三人の安堵と驚きの入り交じった表情をするが、すぐに笑顔になった。

 

「ありがとうございます。ご主人様は、やはりお優しいのですね」

「お兄ちゃんありがとう!」

「ありがとなの!」

 

 三人から一斉に浴びせられる感謝の言葉が凄くむず痒い。

 今まで人に感謝などされなかったからこそ、どう反応していいのかが凄い困る。

 すると、丁度いいタイミングでドアがノックされる。

 部屋を訪れたのはオズマで、食事を届けに来てくれたのだ。勿論四人分。

 食事を部屋に運び、にこやかな笑顔を向けオズマは去っていった。


「では、食事にしましょうか」

「あの、ご主人様。この食事は……」

「勿論食べていいんですよ」

「ありがとうございます!」

「こんなご飯凄い久々だよ!」

「お腹すいたの!」

「フフフっ私の分もどうぞ」


 オズマが運んでくれた食事は、パンにスープ、それに焼かれた何かの肉。

 三人からしたらきっと久々のマトモな食事なのだろう。三人の表情からそれが見てとれた。

 それを見たら、自分の分の食事も三人で分けるようにと渡した。最初は遠慮していたが、食欲には勝てずお礼を言ってから三人で分けている。


「「「ごちそうさまでした!」」」


 三人が食べ終わり、終わった食器をオズマの所まで一緒に持っていく。

 オズマは、満足そうな三人の顔を見ると笑顔で「腹が減ったら何時でも言って来なよ」と気前が良いことを言ってくれたので、お礼を言って、部屋に戻る。


「それでは、私はギルドに行ってきますので休んでいてください」

「でしたら、私も」

「ミリナさんは、二人の事を見てあげてください」

「え?……かしこまりました」


 疑問符を上げるミリナが、私が指差した方を見ると納得したようだ。

 ベッドにはエレナがアルカに寄り添って一緒に寝ていたのだ。

 満腹になり、緊張の糸が解けしまい眠くなったのだろう。その寝顔はとても幸せそうだった。

 ミリナも先程から眠気が襲って来ていたのだろうが、私より先に休むわけにはいかないと思ったのか、何度も太股をつねっているのが目についた。


「では、行ってきます」

「はい。行ってらっしゃいませ」


 部屋の外まで見送りしてくれたミリナを尻目に、冒険者ギルドへと向かっていく。


「その前に薬草採取のクエストもやっていこうか。寝ている所を起こすのも申し訳ないし」


 冒険者ギルドに向かう前に受けたクエストをやっていこうと思い、行き先を変更し王国の門まで行くことにした。

 けど、この思い付きが、あんな事に遭遇するなるなんて……この時は思いもしなかった。。

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