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第5章:「スポットライトの魔力」── パート2

ハリス議員の選挙事務所のガラス扉が開き、クリストファー・ベネットが姿を現した。

小雨の上がるポートランドの夕暮れ、彼はいくつかの書類を小脇に抱え、仕立ての良いネイビーのブレザーを着こなしていた。濡れたアスファルトに反射するネオンの光が、彼の端正な横顔を劇的に浮き上がらせる。

(見つけた……!)

近くのシボレーベガの車内に潜んでいたケイトは、心臓が跳ね上がるのを感じた。彼女はすかさず、ポータブルのテープレコーダーの録音スイッチを押し、スチールカメラのストラップを肩にかけてクリスの前に躍り出た。

「ベネットさん! KPL-TVのケイト・コリンズです。今、お時間をよろしいですか?」

クリスは足を止め、一瞬だけ驚いたように眉を上げた。

通常、警察から重要参考人としてマークされている男に突撃取材を行えば、相手は顔を伏せるか、カメラを遮るか、あるいは激昂して逃げ出すものだ。ケイトは彼の「ボロ」を引き出すために、容赦のない質問を浴びせかけた。

「州警察のジェリー・マッケンジー刑事が、あなたを女子大生連続失踪事件の重要参考人として執拗にマークしているという噂があります。これについて、何か釈明はありますか?」

ケイトは彼の表情の微細な崩れを見逃すまいと、カメラのファインダー越しにクリスを凝視した。

だが、返ってきたのは、彼女の予測を遥かに超えるものだった。

クリスは逃げるどころか、一歩前に踏み出し、きらきらと輝く澄んだ瞳でケイトをまっすぐ見つめたのだ。そして、非の打ち所のない、非難の色を微塵も感じさせない温かい微笑みを浮かべた。

「KPL-TVのコリンズさんですね。夕方のニュースで、あなたのスマートなレポートを拝見したことがあります」

彼の声は驚くほど穏やかで、深く、聞き手の警戒心を一瞬にして解きほぐすような響きを持っていた。

「釈明、ですか? そんな大層なものはありませんよ。僕が知っているのは、自分が毎日必死に法律を学び、夜はホットラインで助けを求める人々の声を聞き、昼はハリス議員の活動を手伝っているということだけです。マッケンジー刑事という方が僕に偏執的な関心を持っていることは知っていますが……正直に言って、困惑しています」

クリスは困ったように少しだけ肩をすくめ、だがその仕草すらも、映画のワンシーンのようにエレガントだった。

ケイトは、自らの直感が「この男は一筋縄ではいかない」と告げているのを感じながらも、彼のあまりの完璧な佇まいに、息を呑むのを抑えられなかった。

クリスは、ファインダーの向こうから自分を睨みつけている若い女性リポーター、ケイト・コリンズを冷徹に値踏みしていた。

彼女は必死にプロのジャーナリストとしての鋭さを装っていたが、クリスの目は騙せない。彼女の肩の微かな強張り、完璧にカールされた髪の隙間から覗く剥き出しの「飢え」、そして自分という獲物を前にしてぎらつく野心の光。

(この女は、僕と同じだ)

クリスは、心臓の奥が甘く疼くのを感じていた。

彼女は事実や、消えた女子大生たちの命などこれっぽっちも気にしていない。ただ、自分の美貌と知性を道具にして、男たちのニュースルームを這い上がり、スポットライトを浴びたいだけだ。そのための踏み台として、全米を揺るがす「疑惑の美青年」である自分を選んだのだ。

クリスにとって、それはこの上ない贈り物だった。

メディアという、自分を世界で最も美しく、最も劇的に輝かせるための「最高の照明」が、自ら歩いて近づいてきたのだ。ハリス議員の地味な選挙活動や、大学の退屈な講義よりも、この女が差し向けるカメラのレンズこそが、自分の本領を発揮するにふさわしい舞台だった。

「コリンズさん。僕は逃げも隠れもしませんよ」

クリスは、自らの声をさらに柔らかく、哀愁を帯びたトーンへと調整した。

「僕が潔白であることは、ハリス議員も、僕の大学の教授たちも、そして僕の恋人も知っています。ですが、もしあなたが警察の不当な嫌がらせについて、僕の口から真実を聞きたいと願うなら、喜んで協力しましょう」

クリスは彼女のスチールカメラのレンズを、まるで愛しい恋人の瞳であるかのように、慈愛に満ちた目で見つめ返した。

「せっかくの機会だ。そこのカフェで、温かいコーヒーでも飲みながら話しませんか? 雨上がりで、少し冷え込んできましたから」

その完璧なマナーと紳士的な誘いに、ケイトは、自分が優位に立っていたはずの自信が微かに揺らぐのを感じた。自分が追い詰めるはずだった獲物が、逆に自分を優雅にエスコートしようとしている。

「ええ……。ええ、喜んで」

ケイトはレコーダーを握る手の強張りをどうにか隠し、クリスの差し出すエスコートに応じるしかなかった。

二人が歩き出す中、クリスの胸の内には、これから始まる壮大な「劇場型サスペンス」への冷たい歓喜が、静かに、しかし激しく燃え広がっていた。


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