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第4章:「恋人のブラインド」── パート2

シンシアの細い肩を抱きしめ、その柔らかな髪に顔を埋めている間も、クリスの脳内は絶対的な零度を保っていた。

彼の心臓は一定の穏やかなリズムを刻み、呼吸は彼女の呼吸に優しく同調している。すべては計算されたパフォーマンスだった。肌の温もり、抱擁の強さ、彼女の髪から漂う甘いシャンプーの香りを愛おしむような仕草──その一つひとつが、彼の精巧な肉体という機械が弾き出す、最適な出力に過ぎない。

彼にとって、シンシアという女性は「愛する人間」ではなかった。

彼女は、極めて精緻に維持された「ブラインド(狩猟用の隠れみの)」だった。

野鳥を狩るハンターは、泥や枯れ葉でカモフラージュされた頑丈な小屋に身を潜め、獲物が油断して近づいてくるのを待つ。クリスにとってのシンシアは、まさにその泥の小屋だった。大学の図書館員として働き、誰からもその真面目さと清楚さを信頼されている若い女性。そんな彼女が「私の恋人は、これほど誠実で努力家な紳士だ」と涙ながらに保証する。その事実こそが、いかなる警察の疑惑をも撥ね退ける、強固な防壁になることをクリスは熟知していた。

彼女の絶対的な信頼を獲得するプロセスは、クリスにとって極めて容易なゲームだった。

多くの短絡的な男たちは、魅力的な女性を前にすると、すぐに肉体的な欲求を優先させて関係を台無しにする。だが、クリスは違った。彼は徹底して紳士であり続けた。最初の三ヶ月間、彼は彼女の指先にすら触れなかった。ただ、彼女が語る図書館の退屈な日常や、同僚への些細な不満を、まるで世界で最も重要な真理であるかのように、静かな瞳で見つめながら聞き続けた。

人間は、自分の話を真剣に、かつ辛抱強く聞いてくれる存在に対して、驚くほど簡単に心の鍵を差し出す。シンシアが「クリスは他の男たちとは違う。私の魂を理解してくれる」と信じ込むのに、半年もかからなかった。

そして、彼女の信頼を「アリバイの自動生成装置」へと昇華させるための、いくつかの技術を彼は丹念に施した。

彼が深夜に「狩り」に出かける際、決して突発的な嘘は使わない。突発的な嘘は綻びを生むからだ。彼は常に、何日も前からシンシアの記憶に「種」を蒔いておくのだ。

「今週の木曜日は、夜間にホットラインのボランティアが入っているんだ。そのあと、金曜の朝に憲法の短いレポートの提出があってね。おそらく木曜の深夜から金曜の朝にかけては、大学の静かな自習室か、二十四時間営業のダイナーにこもることになると思う」

彼は疲れを帯びた、しかし義務感に満ちた笑みを浮かべて、事前に彼女にそう告げる。

こうして種を蒔いておけば、シンシアの脳内には「木曜の深夜、クリスは猛勉強している」という強固なイメージが前もって構築される。

だからこそ、昨夜のように、彼女が深夜二時に彼の部屋に電話をかけ、呼び出し音が虚しく響き続けたとしても、彼女の心に疑惑が芽生えることはない。むしろ、「ああ、クリスは今頃、冷たいダイナーの片隅で、眠気と戦いながら必死に法律の勉強をしているのね」という、深い同情と愛おしさに変換されるのだ。電話に出ないという「不在の事実」が、彼の「勤勉さ」を証明するこれ以上ない物証へと、彼女の脳内で自動的にすり替えられる。

昨夜、彼が州道九号線の暗闇で、サラ・ジェンキンスの細い首を締め上げていたその時間、シンシアは暖かいアパートのベッドの中で、クリスの健康を祈り、彼を誇りに思いながら眠りについていたのだ。

「手が少し荒れているね。僕のために、こんなに温かい料理を作ってくれたからかな」

クリスはシンシアの腕からそっと離れ、彼女の両手を優しく包み込んだ。その指先に刻まれた細い傷跡を、親指の腹でいたわるように撫でる。

「ううん、全然。クリスが喜んでくれるなら、私は何でも作りたいのよ」

シンシアは、頬を微かに赤らめて微笑んだ。その瞳には、彼への狂おしいほどの崇拝と信頼が満ちていた。

クリスは彼女のその表情を、美術品を評価する鑑定士のような冷徹な目で観察した。

(素晴らしい。実に見事なブラインドだ)

マッケンジーのような泥臭い猟犬がどれだけ吠えようとも、この無垢な盾がある限り、彼の鋭い牙が白日の下に晒されることはない。クリスは心の中で、自らの知性がもたらした完璧な偽装劇に深い悦びを感じながら、シンシアが差し出した温かいスープをゆっくりと口に運ぶのだった。


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