カフェラテ
そのサラリーマンの男性はメニュー表を見てカフェマスターに言った。
「カフェラテお願いします」
そしてややウキウキした様子でネクタイを緩める。カフェマスターは微笑んで承った。
「承知いたしました」
カフェラテ、コーヒーとミルクの王道レシピの一つ。その甘やかで優しい味わいに、コーヒー党でなくても親しむ人は多い。
マスターはエスプレッソマシンのスイッチを押し、カフェラテを入れる間に男性にクッキーを渡した。
「よろしければこちらサービスです。どうぞ」
「ありがたいです」
サラリーマンの男性は嬉しそうに受け取って早速食べ始めた。マスターは小腹が空いているのかと察した。やや空腹の時はカロリーがあった方が嬉しいものだ。カフェラテを選んだもの少しお腹を満たしたい気持ちがあったためだろうと感じる。
カフェマスターはカフェラテの入ったコーヒーカップをサラリーマンの男性に差し出した。
サラリーマンの男性はクッキーを食べきっている。カフェラテを手にマスターに話しかけた。
「そういえばカフェラテとカフェオレってどう違うんでしょうか?」
「カフェオレはフランス発祥ですね。ドリップコーヒーにミルクを五対五で加えて作ります。カフェラテはイタリア発祥でエスプレッソにフォームドミルクかスチームミルクを二対八で加えるそうですよ」
「なるほど、カフェラテの方が濃厚なイメージなのは割合とエスプレッソが理由なんでしょうね」
そう相槌を打って、サラリーマンの男性はカフェラテを一口飲む。二口、三口。そしてカップを置いた。カップにやや残るカフェラテをマスターがチラリと確認する。
「ところで」
サラリーマンの男性が話を変えた。
「もし自分に兄弟姉妹が一人いるととしたら、兄弟姉妹のうちどの立場の人で、どんな関係性だと嬉しいですか?」
男性の言葉にカフェマスターはメガネの端を押して位置を整える。少し考える時間がほしいお題だ。先にサラリーマンの男性に答えを聞きたい。
「悩みますね。お客様ならどうですか?」
「そう、ですね。やはり妹がいると嬉しいです。こちらの至らないところを『全くお兄ちゃんったら』と言いながら世話してくれるような妹がいて欲しいですね」
世話焼きの妹という概念、それは妹萌えと家庭的な要素のマリアージュ。あらゆる属性の中でも最高峰の属性の一つと言えるであろう。
「ああ、それは……それはかなり良いですね」
濃厚なエスプレッソを優しく包むミルクのような、カフェラテに相応しい甘やかな話題だと、思わずカフェマスターは破顔した。




