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第45話 情報戦、悪評を逆手に

「リリアーナ様、大変です!」


 朝の仕込みが終わる前に、ミアが市場から駆け戻ってきた。


 手には、しわになった紙が三枚。


 一枚は昨夜、店の戸口に差し込まれていたものと同じ文面だった。


 『追放された元王女が、王家の名を使って違法な夜商売をしている』


 残りには、『税を払っていない』『腐りかけた材料を魔法でごまかしている』と書かれている。


「市場でも、二号店の近くでも、似た話が出ています。王室御用達は、元王女だからもらえたんだって」


「誰が言っていたの?」


「八百屋のお客さんは、荷運びの人から聞いたって。その人は酒場で聞いたらしくて……」


 たどるほど、声の主が遠くなる噂だった。


「全部、嘘です」


 ミアが紙を握り締めた。


 紙がクシャッと鳴った。


「違法じゃありません。税金だって、アンナさんが毎回、銅貨一枚まで確認してます。厨房だって、わたし、指の皮がふやけるくらい洗って……なのに、どうして知らない人が勝手に、全部なかったことにするんですか!」


 最後の声が裏返った。


 悔しさと怖さと、「頑張れば伝わる」という信頼が揺れる声だった。


「王室御用達って聞いた時、うれしかったんです。わたしの名前も契約書に書けて、家へ帰ってお父さんに何度も話して……それが元王女だからなら、わたしたちは何だったんですか?」


 胸がズキリと痛んだ。


 「違う」と抱き締めても、私の身分が新聞の目を引いた可能性までは消せない。


「私たち、あれだけ働いたのに。王都でも試験して、契約も皆で読んで。それを、リリアーナ様が元王女だからって……」


 彼女が怒っているのは、私の名誉のためだけではない。


 自分たちの仕事を、身分の一言で消されたように感じているのだ。


「王宮が私へ目を向けた理由に、元王女という珍しさがまったくなかったとは言い切れないわ」


 ミアが傷ついた顔をする。


「じゃあ、やっぱり……」


「でもね。名前が扉をノックしたとしても、百二十食を事故なく売ったのは皆よ。三百金貨の独占契約を、八十食の試行へ直せたのも、皆の勤務と輸送を数字にしたから。扉の先を歩いたのは、身分じゃない」


「それを、噂の人にも言ってください」


「言うわ。でも、怒鳴って信じさせるのではなく、確かめられる形で」


 ミアは目元を乱暴に拭い、しわになった紙をそっと伸ばした。


「じゃあ、これも証拠にしてください。腹が立つから破りたいですけど、破ったら負けた気がします」


「破らず残せた時点で、もう十分強いわ」


「でも、契約の根拠になった実証記録と、皆が作った八十食は別の事実よ。そこは、紙で示せる」


「すぐ反論を出しますか?」


「まず、何がどこまで広がっているか確かめましょう。怒ったまま全部へ答えたら、私たち自身が噂を増やすかもしれない」


 紙を捨てず、受け取った場所と時刻を書き添えた。


 嫌な言葉ほど、記録にするには勇気が要る。


◇◇◇


 その日の夕方、ロウとゼルドが市場から戻った。


「同じ言い回しが多すぎます」


 ロウが聞き取り票を机へ並べる。


「『王家の名を使った違法な夜商売』って、七か所でほとんど同じでした。ただ、最初に誰が言ったかは分からないっす」


「直接聞いた人と、人づてに聞いた人を分けました」


 ゼルドは別の紙を示した。


 直接聞いたと答えたのは五人。話した人物の外見は似ている証言もあれば、違うものもある。市場の混雑した時間で、記憶も曖昧だ。


「ヴェルナー商会ですか?」


 ミアが聞く。


「可能性は考えます。でも、同じ文句だからといって、商会の指示とは証明できません」


 ヴェルナー商会から続く圧力を思えば、疑う理由はある。


 だからこそ、疑いを結論の形で広めれば、私たちも同じことをすることになる。


「客足への影響は?」


 直近四週の同じ曜日、同じ天候と比べると、スノーベル店は約一八パーセント、二号店は約二一パーセント、会計数が落ちていた。


「合わせれば、およそ二割です」


 アンナが言う。


 二割。


 店内を見れば、確かにいつもの席が二つ空いている。硬貨の音も、扉のベルも少ない。


 数字で分かっていたはずなのに、空席という形になると胃へズシンと落ちた。


「私の元王女という肩書がなければ、皆の売上まで落ちなかったのかしら」


 思わず漏らすと、ロウが眉を寄せた。


「それ、噂を流した奴じゃなくて、自分を責めるんすか?」


「だって、狙われている中心は私でしょう」


「でも俺、ここで働くって自分で決めました。ミアも、ゼルドさんも。勝手に俺らを巻き込まれた人へしないでください」


 きつい口調だった。


 頼もしくて、痛くて、少しうれしい。


「……ごめんなさい。皆の選択まで、私の罪悪感で塗るところだったわ」


「ただし、王都契約の準備で品数を一つ減らした夜もあります。減少すべてが噂によるとは言えません」


 問い合わせは増えている。


 営業許可は本当にあるのか。税は納めているのか。食中毒を隠していないか。王室が安全を保証したのか。


「真実で対抗しましょう」


 私は立ち上がった。


「厨房、倉庫、帳簿、契約書、勤務記録。全部公開する。隠すものがないと見せれば――」


 言葉が止まらない。


「仕入れ価格も、給与も、苦情も、王宮との契約原本も! 棚という棚を開けて、『ほら見なさい、どこにも不正なんてないでしょう!』って――」


 頭の中では、疑っていた人々が一斉にひれ伏す。


 完全公開で悪評を大逆転! 透明経営、キター!


 ものすごく気持ちいい案だ。


「お待ちください」


 アンナの声が、私を止めた。


「その帳簿には、仕入れ先の価格と口座がございます。勤務記録には、誰がいつ休み、いつ不在になるかが分かる情報も。苦情記録には、お客様の体調や購入時刻が含まれます」


「でも、疑いを晴らすには」


「リリアーナ様ご自身の名誉を晴らすために、他の方の情報まで差し出されますか」


 言葉が胸へ刺さった。


 パァン、と頬を叩かれたようだった。


「……私、自分が潔白だと叫ぶために、ミアたちの給料も、農家さんとの値段も、病気を相談したお客様のことまで並べようとしたの?」


「焦っておられました」


「止めてくれて、ありがとう」


 恥ずかしくて、机の下へ潜りたい。


 でも、どこで踏み外しかけたか覚える方がいい。


「全面公開は撤回。……ああもう、透明性って、全部見せればいい単純な話じゃないのね!」


「服を着たままでも、誠実な人間でいられるのと同じです」


 ロウの例えに、空気が一瞬止まった。


「間違ってはいないけれど、今それを言う?」


「分かりやすいかと」


 ミアが吹き出し、私も耐えきれず笑った。


 机の下へ潜る代わりに、公開する項目と守る項目を二つの欄へ分けた。


 私には隠したい不正がない。けれど、だからといって、預かった秘密まで私の物になるわけではない。


 それに、調理中の厨房へ大勢を入れれば、清潔さを証明する催しそのものが衛生を壊す。


「……全部ではなく、確かめるのに必要な範囲を見せましょう」


「先に、独立した方々の確認を受けるのがよろしいかと存じます」


 悪評を逆手に取るなら、派手な全面公開ではない。


 疑問が出るたび、誰が何を確認できるかという道を残すことだ。


◇◇◇


 翌日から、三つの確認を依頼した。


 営業許可と夜間条件は、村の許可担当と王都商業ギルド。税は、店の申告を扱っていない別の会計士。衛生は、二店舗の記録と設備を見たことのない地域検査員。


 王室契約が店全体を保証しているわけではないため、宮内省の名を安全証明には使わない。


 検査員は、店が閉まった昼に厨房へ入った。


「清掃済み、という札だけでは確認になりません」


 棚の裏、排水溝、冷却箱の角まで見られた。温度記録と実際の冷却箱を照らし合わせ、廃棄票の抜けを数える。


 一号店では、二週間前の根菜汁一杯について、廃棄理由の記入が『時刻超過』だけで、作成時刻の欄が空いていた。


 見つけた検査員の指が空欄で止まった瞬間、背中に冷や汗がドッと出た。


 よりによって今!


 悪評を晴らすための検査で、不備発見!


 頭の中の私が「終わったーっ!」と床へ倒れ込む。


「この一枚だけですか。それとも、ほかにも?」


 声が上ずらないよう、ゆっくり聞いた。


「今の範囲では一枚です。しかし一枚なら無視してよい、とはなりません」


「はい。作成した人を責める前に、空欄で締められた手順を直します」


 格好よく透明性を証明するはずが、いきなり修正宿題をもらった。ぐぬぬ。でも、これこそ検査を頼んだ意味だ。


「事故にはなっていません。しかし、後から判断できない記録です」


「是正します」


 不備を見つけられた瞬間、胃が縮んだ。


 けれど、隠さないとは、褒められることだけを並べる意味ではない。


 会計士は納税済みの受領印と売上集計を確認した。個別の仕入れ価格、従業員名、取引先口座は、外部公開しない箇所として封をする。


 許可担当は、午後八時から午前六時までの許可枠と、実際の一般営業が原則午前零時から四時であることを確認した。祭りや王都実証は、それぞれ別の限定許可による。


 三人の確認結果を、良い点だけでなく是正事項も含め、一枚の報告書にまとめてもらった。


 そのうえで、予約制の説明・内覧会を開くことにした。


 一回八人、六回まで。厨房は調理終了後に窓越しで見学し、内部へは検査員だけが入る。倉庫の保管区画は見せるが、警報魔法陣の位置と解除方法は伏せる。帳簿は集計値と納付確認、労務は匿名化した勤務時間と賃金支払率だけを出す。


「隠したと言われませんか?」


 ロウが尋ねる。


「出さない理由も書くわ。透明であることは、壁を全部なくすことではないもの」


◇◇◇


 内覧会当日、最初の回には村人、隣村の商人、王都新聞の記者、噂を聞いて確かめに来た二人が参加した。


「本日は、店を信じてくださる方を集めた催しではありません」


 私は入口で挨拶した。


「疑問をお持ちのまま来てくださった方も、歓迎します。確認できる事実と、公開できない理由をご説明します」


 最初に許可証を示した。


 通常の営業許可、許可された時間、二店舗それぞれの責任者。王都実証と王宮納品の書類は別に掲示する。


「夜営業は違法ではないのですか」


 年配の男性が尋ねた。


「無条件でどこでも営業できるわけではありません。私たちはこの場所、この時間、表示、安全、夜警連絡などの条件付きで許可を受けています。条件を外れれば違反になります」


 次に、会計士が納税の確認方法を説明した。


「いくら儲けているか、全部見せないのか」


「納めるべき税を納めたことは、受領印と第三者確認で示します。ただ、仕入れ先との価格や従業員個人の給与を、本人の同意なく公開はしません」


「都合の悪い数字を隠しているかもしれない」


「その可能性を、私自身の言葉だけで消すことはできません。だから、守秘義務を負う会計士に原本を見てもらいました。必要なら、正式な税務調査にも応じます」


 納得した顔ばかりではなかった。


 それでいい。説明会は、全員を拍手させる場所ではない。


 厨房の窓では、検査員が温度札、手洗い、器具の分離、廃棄記録を説明した。


「食中毒は一度もないんですよね?」


 記者が尋ねる。


「店が把握し、確認された集団事故はありません。ただし、体調不良のすべてを店が知れるわけではありません。苦情窓口と記録を置き、疑いがあれば販売停止と調査をします」


 私は、記入が抜けていた根菜汁の廃棄票も示した。


「検査で、この不備が見つかりました。作成時刻を必須欄にし、空欄なら責任者が日次締めを終えられない形へ変えます」


「不備があったのに、公開するんですか」


「事故ではありませんが、良い記録でもありません。直したことまで含めて確認していただきます」


 参加者の空気が、少し変わった。


 清潔そうだから信じるのではない。不備が見つかった時、どう扱う店なのかを見る目になった。


◇◇◇


 三回目の説明会で、若い女性が王室契約書の掲示前に立ち止まった。


「結局、元王女だから王宮に選ばれたんでしょう?」


 部屋が静かになる。


 来た。


 一番痛いところへ、真正面から来た。


 喉の奥に「違います!」が待機する。今すぐ飛び出して、昨日からの悔しさを全部ぶつけたがっている。


 私は会計台の端を指でつまみ、木の硬さを確かめた。


 この女性は噂の発信者とは限らない。疑問を持ち、わざわざ予約して、ここまで確かめに来た人だ。


 ミアが私を見る。悔しそうな顔をしていたが、口を挟まず待っている。


「私の名前が注目を集めた可能性はあります」


 私は答えた。


「そこを、なかったことにはしません。ただ、最初の面会で提示された契約へ、そのまま署名したわけでもありません」


 三十日試行。週三夜、一夜八十食。検品済みの納品分だけ支払い、月額三百金貨は上限。一般向け営業を止めない。王室の紋章は納品箱以外に使わない。


 掲示した要約を、一つずつ読む。


「王家は、私たちの店全体を保証していません。試行に失敗すれば、契約は終わります。だから、選ばれたという言葉だけで信用してほしいとは言いません。納品記録を見て判断してください」


「では、身分は関係ないと?」


「関係がなかったと証明する方法はありません。けれど、身分だけでは八十食を安全に届けられない。それを毎回記録します」


「ずるい答えですね。否定も肯定もしない」


「ええ。私も、もっとスカッと否定したいです。でも分からないことまで断言したら、今日ここで出した記録まで軽くなります」


「あなたは、悔しくないんですか」


「めちゃくちゃ悔しいですよ!」


 思わず声が大きくなった。


「皆が眠い目をこすって覚えた手順を、元王女の一言で片づけられるたび、紙を丸めて投げたくなります。でも、あなたへ投げても仕方がないでしょう?」


 女性の目が丸くなり、それから口元がほんの少し緩んだ。


「そこまで正直に言われるとは思いませんでした」


「私も言う予定ではありませんでした」


 後ろでアンナが小さく息を吐いた。たぶん、また顔に出ています、と言いたいのだ。


 女性はすぐには笑わなかった。


「次の納品結果も、見られますか」


「数量、検品、遅延、廃棄の集計は公開します。職員個人の名前や事情は出しません」


「なら、見ます」


 疑いが消えたのではない。


 疑いを確かめ続ける約束ができた。それは、簡単な称賛より重かった。


◇◇◇


 最後の回に、見慣れない男性がいた。


 彼は質問をせず、掲示の文言だけを細かく書き写していた。終了前に席を立ち、足早に店を出ていく。


「あの人、怪しくないですか」


 ロウが声を潜めた。


「怪しく見えることと、噂を流したことは別よ」


 ゼルドが受付名簿を確認する。名前と連絡先は書かれているが、それだけで所属は分からない。


 追いかけず、参加時刻と行動だけを記録した。


 翌日の王都新聞は、『夜営業店、疑問へ第三者確認で回答』と報じた。


 記事には褒め言葉だけでなく、廃棄票の記入不備と是正、非公開にした情報、その理由も載った。


 商業ギルドと村の掲示板にも、三者の確認結果が出された。


 客数は、内覧会前の落ち込みから少しずつ戻った。一週間後、前年ではなく直近四週の同曜日比で、一号店は九割六分、二号店は九割三分まで回復した。以前より増えたわけではない。


 問い合わせも残っている。


 それでも「噂だから離れる」だけでなく、「記録を見てから決める」と言う客が増えた。


「悪評を宣伝に変えた、ってことですか?」


 ミアが尋ねた。


「正直、そう言えたら気持ちいいんですけどね。『悪口のおかげで前より大繁盛! ざまぁ!』って」


「言いたいです。すごく」


「私も。でも、戻ってこないお客様がいる以上、それを成功談だけにしたくないわ」


「悪評で来なくなった人もいるわ。傷ついた人も、準備に使ったお金も戻らない」


 私は、新しく常設した説明資料の棚を見た。


「逆手に取れたものがあるとすれば、問題が起きた時だけ説明するのをやめられたことね」


 許可、衛生、税、労務、苦情と是正。月ごとに集計を更新し、いつでも質問を受ける。


 透明性とは、一度の見世物ではなく、続ける手間だった。


◇◇◇


 数日後、聞き取りに応じた露店商から、新しい証言が届いた。


 同じ文句を書いた紙を配っていた男が、ヴェルナー商会と契約する宣伝請負人の詰所へ出入りしていたという。内覧会を途中で出た男性も、その請負人の名簿に同名があるらしい。


 ただし、商会本部が指示した証拠はない。本人が紙を配った場面を見たという証言も、一人分だけだった。


「公表しますか?」


 ロウが聞く。


「しない。証言と紙を商業ギルドへ提出しましょう。本人と会社が説明する前に、私たちが犯人にしてはいけない」


 後日、新聞の片隅に、宣伝請負会社が一名を業務から外し、商業ギルドの調査へ協力しているという短い記事が載った。


 ヴェルナー商会は、関与を否定した。


 真相はまだ調査中だ。


 正しい側が必ず勝つとも、嘘が自然に消えるとも思わない。記録を残し、確かめる人を増やし、嘘が居座りにくい場所を少しずつ作るしかない。


 その日の午後、ゼルドが五通の封書を抱えて店へ入ってきた。


「仕入れ先からです」


 三通は次回納品の停止。二通は、供給枠と価格を見直すという通知だった。


 理由はそれぞれ違う。上位集荷所との契約、輸送枠の不足、信用審査のやり直し。


 けれど、届いた日は同じだった。


「今度は、噂ではなく品物を止めるつもりでしょうか」


 ミアの声が強張る。


 私は封書を差出人順ではなく、品目順へ並べた。


「まだ、誰の意図とも決めない。まず、何がいつ切れるかを数えましょう」


 真実を示す棚だけでは、空になった冷却箱を満たせない。


 次に守るべきものは、店へ届く道そのものだった。


「悪評の次は物流。相手も次々出してくるわね」


「感心している場合ではありません」


 アンナが在庫表をパチンと開く。


「してないわ。ちょっとだけ、商売の難易度設定に文句を言いたいだけ」


「私も言っていいですか?」


 ミアが小麦の札を握ったまま尋ねた。


「どうぞ」


「一個片づいたら、せめて一晩くらい休ませてくださーいっ!」


 店内へ響いた叫びに、全員が力なく頷いた。


「私も同意よ。悪役側にも営業時間を設定してほしいわ」


「要望書の宛先がありません」


 ゼルドの冷静な返事で、笑いがこぼれた。


 封書は消えない。それでも皆で愚痴れば、次の数字へ目を向けられた。


「文句は数え終わってからにしてください」


 ミアが小麦、ロウが肉、ゼルドが調味料の残日数を読み上げる。


 愚痴は後回し。


 冷却箱が空になる日を、まず数字で捕まえることにした。

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