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【書籍発売中】あの日の恋(×3)が終わってくれない!~思い出の美少女たちと再会したら、恋の続きが始まりました~  作者: 柚本悠斗@小説家
二章 一色夏鈴

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第27話 早朝のメッセージ

 二日目の朝、みんなが目を覚ます前の朝五時半。


 一人起きた俺は朝焼けに染まる海を眺めに浜辺まで足を運んでいた。

 昇り始めた太陽が水平線をオレンジ色に染める中、空は徐々に青みを増していく。自然の織りなす神秘的なグラデーションを前に息を呑んでいた時だった。


「めっちゃ綺麗だね……」


 不意に聞き慣れた声が聞こえて振り返る。

 そこには髪を押えながら立っている夏鈴の姿があった。


「もしかして起こしちゃったか?」

「ううん。あたし、早起きが習慣になってるんだ」

「早起きが習慣なのはいいことだけど、それにしても早すぎないか?」

「前にさ、花女が偏差値的に厳しかったって話したでしょ? 受験の時、少しでも勉強時間を捻出したくて早起きしてやってたの。それ以来、早起きが癖になってさ。まぁ今もついて行くのが大変で、早起きして勉強してるからなのもあるんだけどね」

「そっか。大変だったんだな……」


 その苦労は同じ学生として想像に難くない。

 だけど夏鈴は笑顔で首を横に振る。


「そうでもないよ。おかげで今、りっくんと朝焼けを眺められてるし」


 そう口にする夏鈴の頬が赤く染まって見えるのは朝焼けのせいだろうか。

 はにかんだ笑みを浮かべながら言われると俺の方が照れてしまう。


「みんなが起きるまで時間もあるし、少し散歩でもしない?」

「そうだな。せっかくだし、そうするか」

「そうこなくっちゃ♪」


 俺たちは波の音をBGMに並んで砂浜を歩き始める。

 まだ日が高くなる前だからか、それとも海上の空気が冷えているからか。夏の朝にしては過ごしやすい気温で、頬を撫でる穏やかな風は思いのほか涼しくて心地いい。

 早朝だから人の姿は全くなく、浜辺は二人だけの貸し切り状態。

 そんな中、サンダルを手に素足で波打ち際を歩く夏鈴。

 その姿に見惚れながら三十分が経った頃だった。


「——?」


 不意にメッセージの通知音が響いた。

 俺はスマホを持ってきてないから夏鈴のだろう。

 こんな早朝に送ってくるなんて急ぎの用事だろうか?

 夏鈴はお尻のポケットからスマホを取り出して画面を覗く。


 その瞬間、夏鈴の表情が歪んだ。


「……どうかしたのか?」

「あ、ううん……なんでもない!」


 どう見たってなんでもないはずがない。

 浮かべる笑顔は明らかに作り笑いだった。


「そろそろ戻ろっか」

「……そうだな」


 本当はなにがあったのか聞きたかった。

 だけど、その笑顔を前にすると言葉が出なかった。

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