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【書籍発売中】あの日の恋(×3)が終わってくれない!~思い出の美少女たちと再会したら、恋の続きが始まりました~  作者: 柚本悠斗@小説家
三章 七々咲莉乃

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38話 全ての答え合わせを終えた後

 春休みが終わり、高校二年生になった四月の週末。


「それで、全員と叶わなかった恋の答え合わせをした感想は?」

 いつものように再建活動をしていると、不意に菫さんに声を掛けられた。

 ちなみに今日は萩原さんが水道管の交換作業をしてくれているだけじゃなく、萩原さんに紹介してもらった工務店の人が割れた窓ガラスの交換をしてくれている。

 菫さんは縁側に腰を掛けると、みんなが作業している様子を眺めながら隣で寝転がっていたわたあめを持ち上げて猫を吸う。


「もしかして、タバコやめたんですか?」

「ああ。タバコ臭い女は男に好かれにくいからな」


 確かに吸ってない方が彼氏のできる可能性高いと思う。

 とはいえ、よくやめられたなって驚きはさておき。


「結局のところ、全て俺の勘違いだったんですね」


 ずいぶん前に菫さんが『凛久と彼女たちで当時の想いに対する向き合い方が違っただけの話』と言っていた通り、失恋したと思っていた俺と、恋をし続けていた三人の違い。

 それぞれ事情があったとはいえ。


「我ながらバカだなって思いますよ……」

「そう気に病むこともあるまい」


 菫さんは『若い頃の恋愛なんてそんなものだ』と言って続ける。


「得てして人は『たられば』を口にする——あの時に告白していたら、勇気を出していれば、違った未来があったかもしれないとな。おまえは幸いにもたらればの答えを知ることができたんだ。気に病むのではなく次の恋に活かすべきだろう」

「次の恋……ですか」

「凛久、おまえは三人の中の誰を選ぶんだ?」


 萩原さんのお手伝いをしている三人に目を向ける。


「それならもう、決めてあります」

「ほう……意外だな。では聞かせてもらおうか」

「今の俺には三人の中から誰か一人を選ぶことはできません」


 三人が今も俺を好きでいてくれることは本当に嬉しく思っている。

 だけど、みんなと叶わなかった恋の答え合わせをした通り、今の俺にとって三人との恋は過去であり、当時のような恋心は綺麗さっぱり消えてしまっている。


「もちろん、それでも誰かを選べと言われたら選べないことはありません。みんな俺にはもったいないくらい魅力的な女の子ですから、悩むと思うけど選ぶことはできる。ただ、気持ちがないのに一人を選ぶために付き合うのは違うと思うんです」


 もちろん好きで付き合うだけが恋愛じゃない。

 最初は好きじゃなくても、付き合っていく中で好きになることはあるし、嫌いじゃないなら付き合ってみるのもありじゃないかって意見があるのもわかる。

 でも俺たちの関係でそれをするのは不誠実だろう。


「それで三人が素直に納得するとも思えないな」

「はい。だから俺なりに責任を取るつもりです」

「責任とは?」

「俺はもう一度、みんなと恋をやり直そうと思います」


 恋の続きをするんじゃなく、改めて最初から出会い直す。


「過去のことは思い出として、もう一度みんなと恋をしてみたい。もちろん誰かを好きになるかもしれないし、好きにならない可能性もある。もしかしたらみんなに愛想を尽かされて俺が振られるかもしれない。それでも、ここから始めたいんです」


 これが三人と叶わなかった恋の答え合わせをして思うこと。

 同じ女の子に恋を二度しちゃいけない理由はないはず。


「いや、ちょっと待て」


 すると骨が砕ける勢いで俺の肩に手を振り下ろす菫さん。

 なぜか意義ありそうな感じで待ったをかけた。


「凛久、話が違うじゃないか」

「……話が違う?」

「この場合、私を貰ってくれる約束だったじゃないか!」


 菫さんは悲痛な面持ちで俺に迫りくる。


 そうだ……忘れていたわけじゃないけどそうだった。

 いつまで経っても彼氏ができない菫さんから、俺が三人の誰とも結ばれなかったら付き合ってくれと草食獲物を狙う肉食動物よろしく迫られていたのを思い出す。

 最初は半分冗談と言っていたんだけど気づけば三割。

 この前聞いたら冗談一割だったんだけど。


「ちなみに今は冗談何割ですか?」

「もちろんゼロ割。百パーセント本気だ!」


 理由を聞くと全てのマッチングアプリで全滅したらしい。

 ……そこまで彼氏ができないのはもはや才能だと思います。


「さぁ、今こそ約束を果たす時。末永くよろしく頼む!」


 そう言いながら記入済みの婚姻届けを縁側に叩きつける菫さん。

 付き合う約束が結婚にすり替わっているのは突っ込んだら負けだろう。


「凛久、キッチンの水道から水が出たよ!」

「他はまだだけどキッチンだけは復旧したって♪」

「これで今日からお水を気にせずお料理ができますね」


 よほど嬉しいのか、揃って呼びに来てくれた昔好きだった女の子たち。

 今の俺にとってはまさに渡りに船、みんなナイスタイミング!


「すぐに行くよ!」


 俺はすがりつく菫さんを引き剥がして店内へ。

 気づけば庭の桜が散り始めた春の終わり。

 俺たちの再建活動二年目が始まった。

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