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【書籍発売中】あの日の恋(×3)が終わってくれない!~思い出の美少女たちと再会したら、恋の続きが始まりました~  作者: 柚本悠斗@小説家
三章 七々咲莉乃

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22話 猫まみれ襲撃事件

 そんなわけで、面接の結果は無事に合格。

 週に三日、平日の学校終わりにアルバイトをすることになった。


 ちなみに仕事は、猫まみれ近くにあるホームセンターで品出しの担当。

 正直そこまで時給は高くないし、もっといいアルバイトがなかったわけじゃない。それでもホームセンターを選んだのはDIYの参考になると思ったから。

 材料から工具まで、ここで働いていれば知識が身に付く。

 しかも社割で安く購入できるから一石二鳥どころか三鳥以上。

 アルバイトを始めて数日、少しずつ仕事に慣れ始めたある日のこと。


「りっくん!」


 品出しをしていると夏鈴が慌てた様子で現れた。

 息を切らしている姿を見る限り走ってきたのが伺える。


「そんなに慌ててどうしたんだ?」

「猫まみれが大変なの!」


 夏鈴は呼吸を整えると顔を上げて続ける。


「今日は平日だけど時間があったから、莉乃さんと一緒にあげぱんたちにご飯をあげようと思って猫まみれに行ったの。そしたら……縁側の窓ガラスが割れてて」

「え——」


 窓ガラスが割れていた?


「りっくん、今日のバイト何時まで?」

「十八時までだから、あと三十分くらい」

「猫まみれで待ってるから終わったら来れる?」

「わかった。終わり次第すぐに行くよ」

「うん。待ってる!」


 そう告げると夏鈴は走ってホームセンターを後にする。

 まだ現場を見ていないし情報が少ないからなんとも言えない。事件なのか事故なのかも判断できないけど、だからこそ得も言われぬ不安が胸を襲う。

 言葉の通り仕事が手に付かない三十分間。


 アルバイトが終わった後、俺は急いで猫まみれに向かった。

 すっかり日が落ちて街が暗闇に包まれる中、ずっと晴れない不安を抱えたまま猫まみれに到着すると、庭に立ち尽くしている夏鈴と莉乃さんの姿あった。


「夏鈴、莉乃さん——!」

「りっちゃん……」


 悲痛な表情を浮かべて振り返る夏鈴と莉乃さん。

 聞いていた通り縁側の窓ガラスが四枚全て割れていた。


「酷いな……」


 そう漏らしてしまうほどに無残な状況の窓ガラス。

 亀裂が入ったとか欠けたとかのレベルじゃなく、言葉の通り砕け散っている。とてもじゃないけど修理や補修でどうにかなるレベルじゃなくて頭を抱えた。

 いや、そんなことはどうでもいい。


「二人共、怪我はないか?」

「うん。危ないと思って触ってないから」

「わたしも大丈夫です」

「あげぱんやのりべんは?」

「幸い怪我をした様子はありません。ですが……」

「なにかあったんですか?」

「とても怯えた様子で……危険なので今は休憩室に入れています」

「そうですか……」


 夜の暗がりの中、室内から漏れる明かりを頼りに庭を確認する。

 外にもガラスの破片は落ちているが、その大半は部屋の内側に散乱している。

 この状況を見る限り外から割られたのは間違いないし、ガラスの亀裂や割れ方から一撃ではなく何度も衝撃を与えられたのが見て取れる。


「事故……じゃないよね?」


 夏鈴も状況を見て察したんだろう。

 怯えた様子で俺の袖をそっと掴んできた。


「そうだと思う。誰の仕業かはわからないけど不慮の事故とは思えない。状況的に悪意があってやったのは明かだろうな。これからリフォームって時に……」

「「…………」」


 しばらく呆然と立ち尽くす二人。

 得体の知れない恐怖に晒されて黙り込む。

 さっきも言った通り犯人に明確な悪意があったのは間違いない。

 目的がなんにせよ、嫌がらせにしては度がすぎている。


「……警察に連絡した方がいいかな?」

「そうだな……莉乃さん、どうしましょうか」


 猫まみれは莉乃さんの家が管理する所有物件。

 通報するべきだとは思いつつ莉乃さんに判断を窺うと。


「……ひとまず様子を見ましょう。悪戯の可能性もゼロではありませんし、騒ぎにしてご近所に心配を掛けるのも忍びないです。わたしに預からせてください」


 あまりにもショックが大きかったんだろう。

 そう語る莉乃さんの顔は暗がりでもわかるほど青ざめていた。


「わかりました。この件は莉乃さんに預けます」

「ありがとうございます」

「そうと決まれば、今日のところは応急処置で済ませよう。暗い中で作業をするのは危ないから片付けは明るい時にするとして、取り急ぎ窓は段ボールで塞いでおけばいい。倉庫に片付けの時に使った段ボールの余りがあったよな?」

「あたしが取ってくる!」


 みんなで応急処置をしながら思うこと。

 ただの悪戯で、どうかこれっきりであってほしい。


 だけど、嫌な予感ほど当たるとはよく言ったもの……切実な願いとは裏腹に、その後も猫まみれへの嫌がらせのような事件は続いてしまった。

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