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【書籍発売中】あの日の恋(×3)が終わってくれない!~思い出の美少女たちと再会したら、恋の続きが始まりました~  作者: 柚本悠斗@小説家
三章 七々咲莉乃

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11話 クリスマスパーティーの乱入者

「もういいから、凛久も早く着替えてきて」

「着替えって……俺もコスプレするのか?」

「もっちろん♪」


 なんで俺まで思ったけど、これ以上二人の気分を損ねるのは避けたい。

 ここは素直に言われた通りに着替えよう。


「休憩室に置いてあるから」

「わかった」


 俺は悠香にケーキを預けて休憩室へ向かう。

 室内を見渡すと衣装らしき物が椅子の上に置いてあったんだけど、手に取って広げた瞬間まさかの衣装に肩を落としてしまった。


「まったく……」


 文句の一つも言いたいところだけど仕方がない。

 着替えて戻ると俺の姿を見るなり声を上げて笑い出す三人。

 それもそのはず……俺が着ているのはトナカイの着ぐるみだった。


「なんで俺はトナカイの格好をさせられてるんだ?」

「サンタがいるのにトナカイがいないのは不自然でしょ?」

「そうそう。りっくんのトナカイ姿、よく似合ってるよ♪」

「そりを引くトナカイこそクリスマスの主役だと思います」


 みんな好き放題に感想を言ってくれる。

 なんだかオチに使われたようであれだけど、今日はクリスマスパーティーを兼ねた慰労会。春からずっと頑張り続けてくれたみんなへ感謝の気持ちを伝える日。

 これでひと笑い取れるなら喜んで被ろうじゃないか。


「よし。じゃあ始めるか」

「「「うん!」」」


 席に着き、ケーキを切り分けて準備完了。

 クラッカーを手に開始の合図をしようとした時だった。


「あ、その前に——」


 夏鈴が思い出したように待ったをかける。


「りっくん、さっきなにか言いかけてなかった?」

「ああ、そうだった」


 驚きと興奮のあまりすっかり忘れていた。


「さっきさ、クリスマスケーキを受け取るついでに、ご主人と奥さんに猫まみれがオープンしたらアンデスのケーキを卸してくれないか頼んでみたんだよ」

「「「アンデスのケーキを!?」」」

「週末だけなら協力してくれるって」

「「「本当に!?」」」

「まだ口約束でしかないけど、猫まみれのオープンが現実的になったら話を聞いてもらえることになった。手放しには喜べないけど前向きに考えてくれてるはず」

「やったね、凛久!」

「また一歩再建に近づいたじゃん♪」

「りっちゃんの熱意が伝わったんでしょう」


 まだ決定したわけでもないのに大喜びする三人。

 喜ぶにはまだ早いと言いかけたけど、ここに来る途中にガッツポーズしていた俺が言えた台詞じゃない。

 むしろ俺以上に喜んでくれている気持ちが嬉しかった。


「今日のパーティーはお祝いも兼ねないとね!」


 改めてクラッカーを手に取る俺たち。

 パーティーを始めようと紐に手を掛けた時だった。


「ちょっと待て——!」


 またまた誰かの待ったを掛ける声が店内に響く。

 振り返ると、缶ビールを手にする菫さんの姿があった。


「なんで菫さんがここに……?」


 思わず疑問を漏らしたのには理由がある。

 なぜならクリスマスイブの今日、菫さんは男性とデートの予定だったから。

 菫さんが元彼を忘れるべく新しい出会いを求めているのは知っての通りなんだけど、最近はマッチングアプリを使って授業中も彼氏探しに奮闘している。


 正確に言うと、最近は彼氏探しを超えて結婚相手を探している。


 しかも駆使しているアプリの数は五個という婚活ガチ勢。

 さすがに多すぎるってツッコミはさておき、今日はマッチングした相手とデートとのことで、こっちのパーティーに誘ったけど不参加の予定だったはず。


「ううっ……くそう!」


 半泣きしながら缶ビールを一気飲み。

 その姿を見て、その場にいる全員が事情を察した。


「えっと……お相手とは上手くいかなかったんですか?」

「途中まではいい感じだったんだ……身なりを整え、デート前に美容院に行き、片品菫史上、最も美しいと自負して臨んだ。高級フレンチの店でディナーを済ませ、ここからがお楽しみの時間というところで、お手洗いに行くと言ったきり戻ってこなかった!」


 悲しみから一転、溢れる怒りを抑えきれず缶をぺしゃんこに握りつぶす。

 恐怖のあまり怯えたミニスカサンタがトナカイの陰に隠れる始末。


「どうせ変なことを言ったんじゃないですか?」

「そんなことはない!」


 菫さんは力いっぱい否定したんだけど。


「ただ、少しだけ恋愛観について質問したんだ。付き合ったらどの程度の頻度でデートしたいとか、何年付き合ったら結婚してもいいとか、専業主婦はオーケーかとか、子供は何人欲しいとか。将来を見据えた付き合いをするなら必要な確認だろう!」

「「「「……」」」」


 さすがにドン引きしすぎて仲良く絶句。

 確かに大切なことかもしれないけど、それは結婚相談所で紹介された相手に聞く内容であって、マッチングアプリで知り合った相手との初対面で聞く話じゃない。


 つまり、がっつきすぎて逃げられ傷心のあまり猫まみれに合流。

 もはやワンナイト狙いのヤリチンにすら敬遠される重さ。

 むしろ相手の方が不憫まである……。


「そんなわけで、私もクリスマスパーティーに混ぜてくれ!」

「まぁそういうことなら」


 そんなこんなで菫さんもクリスマスパーティーに急遽参加。

 華やかに飾り付けられた店内と、部屋の中央にある電飾の煌めくクリスマスツリー。テーブルには豪勢な料理とケーキが並ぶ中、今度こそクラッカー手にする。


「みんなと再会してから、もう八ヶ月か……思い返せば本当に色々あったけど、今日まで一緒に再建活動を続けてくれてありがとう。再建を言い出した当人として本当に感謝してる。まだまだ先は長いけど、来年も変わらず協力してくれると嬉しい」

「もちろんだよ」

「来年もよろしく♪」

「一緒に頑張りましょう」

「いいから早く飲ませてくれ!」


 笑顔で答える三人と酔っ払い一人。

 堅苦しい挨拶はこの辺にしておこう。


「「「「メリークリスマス!」」」」


 掛け声とともに鳴り響くクラッカー。

 こうしてクリスマスパーティーが始まった。

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