第15話 呪の巻
大神猫様の助言によって八ポン士の激闘から勝利した八ニャン士。
そして大神猫様から白鳳剣を受け取った伏夜は、春花の額に書いてある呪いの文字に突き刺した。
白鳳剣によって春花の呪いは解けたのだが、額に書いてある呪いの文字から出てきたのは、悪魔の大蛇『ジャジャーン』だった!
呪いの文字から出て来た大蛇ジャジャーンは叫びながら五重塔の外に出ると、それからムクムクとさらに大きくなっていった。
そして巨大化したジャジャーンの叫び声が、山奥にある東野郡全域に響き渡る。
「ギャオーン! よ〜く〜も〜、俺様の額に〜、野蛮な傷をつ〜け〜た〜な〜!」
伏夜は慌てて塔の窓から顔を出し、大声で叫ぶ大蛇に向かって指をさした。
「なにぃ? あの大きな蛇はぁ?」
「俺様は〜、ジャジャーン! 悪魔の大蛇だ〜!」
「悪魔の大蛇のジャジャーン? これは一体どういうことなの?」
塔の窓から一緒に見ていたニャン蜜は、ジャジャーンの姿を見ながら伏夜に説明した。
「伏夜様、おそらくあの大蛇ジャジャーンが春花さんの体に呪いをかけて操っていたんだにゃ。 そしてジャジャーンはこの平和で豊かな東野郡を支配しようとして、4つの村を巻き込むような大戦争を起こしたですにゃあ!」
「じゃあニャン蜜ちゃん、春ちゃんが本気で東野郡を制覇するんじゃなかったのね。 ジャジャーンに呪われていた春ちゃんは、何も悪くなかったのね」
伏夜はニャン蜜の胸元で泣き出すと、それを隣で聞いていたユズポンとガンポンは口を開けながら驚いていた。
「ちょ、ちょと待たれい、伏夜殿。 それじゃあ拙者たちは、あの化け物に騙されていたのでござるか?」
「八ニャン士軍師のニャン蜜さん、我々の大将である春花様は東野郡制覇を狙っていたんじゃないんですか?」
それを聞いた伏夜は、ユズポンとガンポンをジロリと睨みつける。
「何言ってんのよぉ、あんたたちぃ! 私の大事な春ちゃんがぁ、東野郡を制覇するわけないでしょう!」
まるで雷のような怒鳴り声が部屋中に響き渡ると、八ニャン士と八ポン士は震えながら床に倒れた。
「す、すまんでござる。 それにしても伏夜殿の怒鳴り声は凄いでござるな」
「わ、私もこのような怒鳴り声は初めて聞きました。 おそらく大和田村には、このような怒鳴り声を出す人はおりません」
「ふ、伏夜様の武器は怒鳴り声だってことを、僕はすっかり忘れていました。 なんか逆に久しぶりですね」
「ふ、伏夜様とにかくにゃ、ここは危にゃいので皆んにゃで五重塔から出るにゃ。 ニャン太郎は気を失っている春花さんを背負うにゃ。 ユズポンとガンポンは私たちを援護するにゃあ!」
「分かった、ニャン蜜ちゃん!」
「分かったでござる、ニャン蜜殿」
そして各階にいた八ニャン士と八ポン士は戦いを止め、全員五重塔から外に出て来た。
「ちょいと、太郎ちゃん。 いきなりでっかい蛇が出て来て、こりゃまたどういう事なんだい?」
「おいユズポン、なして春花様が倒れとるんじゃ?
それを八ニャン士リーダーが担いどるたぁ、どういうことじゃあ!」
そして里見村で待機していた八チョウ士や遠くへ飛ばされた八ケロ士も、慌てて五重塔の所へ駆けつけた。
「おいおいニャン丸! 何やねん、あの大蛇は? お前たちの戦いはどなんしたんや?」
「イーグ、俺も知らねぇよ! 五重塔で八ポン士と戦っていたら、いきなり最上階から大蛇が出て来やがった!」
「ケロケーロ、ケロケーロ!」
全員訳の分からないままバタバタしていると、ジャジャーンは睨みつけながら大声で叫んだ。
「どいつも〜、こいつも俺の邪魔をし〜や〜がって〜! お前たちを〜、丸ごと殺してや〜る〜!」
ニャン太郎は抱き抱えている春花を伏夜に渡し、この場所に集まった全員に叫んだ。
「八ニャン士、八ポン士、八チョウ士、八ケロ士の皆んな、聞いて欲しい! 東野郡を巻き込むこの戦いの原因は、全部あの悪魔の大蛇ジャジャーンの仕業なんだ!」
「何やと、ニャン太郎! ほんなら、大和田村の春花が言いよった東野郡の制覇っちゅうがは、あいつのせいやったがか!」
「ホク、そうだよ。 春花さんの体を利用して、僕たち東野郡全域にわざと戦争させたんだ!」
「ケーロー?」
「だから僕たちは今、こんな無駄な戦いをしている場合じゃない! 戦いはすぐ止めて、皆んなで大蛇をやっつけよう!」
「おお!」
こうして32人の剣士たちが集まった東野連合軍は、大蛇のジャジャーンと戦うことになった。
ちなみに金色に輝いて変形した八ニャン剣は、8分2秒になると元に戻る。
4つの村が1つになった東野連合軍は、悪魔の大蛇ジャジャーンに一斉攻撃を始めた。
「ガッハッハ! おいガチャポン、お前はサボって寝てるんじゃないっすよ! ああ腹減った!」
「ガッハッハ! おいニャン平、お前こそコソコソ飯を食ってんじゃないってよ! はぁ眠い眠い!」
「ケッケーロ! ケッケーロ!」
「クロ、早く私の機関銃で撃つザマス。 あの気持ち悪い蛇に撃つザマス!」
「カッカッカ! ペリーの自信作の機関銃をくらえってカー!」
「キャハハハ! おいクロ、その機関銃を俺に貸しやがれ。 キャハハハ!」
32人の剣士が集まった東野連合軍から一斉攻撃され、ジャジャーンは少し嫌がっていた。
「ギャオーン! どいつもこいつも〜、チョコチョコう〜る〜さ〜い!」
地面が響くような大声で叫ぶと、ジャジャーンの口から鋭い牙の生えたヘビ兵たちが大量に飛び出して来た。
「ひぇぇ、変なヘビ兵がやって来たよぉ! スッポンポン、早くトランプをいっぱい投げちゃって!」
「ヘイユー、スッポンポンって言うな! 早くピカピカのフェイスをライトしな、ブサイクなユー!」
「ケッケッケーロ! ケッケッケーロ!」
「中国4千年 ナメんなあるよ。 わたしの蛇拳 強いあるよ。 アチョー!」
「おやおやお前さん、蛇に蛇拳だなんて粋なことしてくれるじゃないか〜。 今後あたいも通信教育でカンフーを習おうかしら?」
「スワロちゃん、僕の走る速さについて来てね! 僕はスワロちゃんと一緒に早く家に帰りたい」
「スワちゃんはぁ、戦うのは苦手なのでぇ、ヘビ兵はぁ、ニャン吉さんにお任せしまぁす!」
東野連合軍とヘビ兵の大群が戦っていると、ニャン蜜がホーホーに近寄る。
「ホーホー、八チョウ士最終兵器のピヨピヨちゃんは、スーパーマッチョのコケッコーに変身出来にゃいかにゃ?」
「ニャン蜜さん、それは無理です。 前にもお話ししましたが、ピヨピヨがコケッコーに変身出来るのは1日1回なので、今は疲れ果ててペリーの口の中で寝ています」
「ああ、これじゃあキリがにゃい! 八ニャン士、皆んにゃ集まってあの技をやるにゃあ!」
「ニャン蜜ちゃん、あの技をやるんだね。 よぅし、皆んな八ニャン剣を重ねるよ!」
八ニャン士は円陣を組んで光る八ニャン剣の剣先を重ねると、その八ニャン剣は金色に輝いた。
それから八ニャン士はジャジャーンに向かって走り出し、全員空高く飛んで八ニャン剣を振り下ろした。
「くらえ! 八ニャン剣『風雷抜刀』!」
説明しよう。
八ニャン剣『風雷抜刀』とは、かつて洞窟の戦いで大トカゲのペロンチョを倒した八ニャン士の必殺技である。八ニャン剣に刺された所から、金色の大きな猫が出現する。
しかし緑色していたジャジャーンの体が急に黒くなり、体は硬いウロコで覆われた。
そして風雷抜刀の技をした八ニャン剣は、硬いウロコに弾き飛ばされてしまった。
「うぁぁぁ!」
「ギャオーン! お前たちの変な武器で〜、この俺様が〜、倒せるわけあ〜る〜ま〜い〜!」
風雷抜刀が効かない八ニャン士は、遠くに弾け飛ばされて地面に落ちた。
「チッ、これじゃ何も出来ねぇ! これから大蛇とどうやって戦うんだよ!」
「マル、ビビんじゃねえっす。 まずはこのやかましいヘビ兵を倒すっす。 ああ腹減った!」
「おやおや、何だか面倒なことになっちまったね〜。 あたいの雷電キックもそろそろ限界だよ〜」
「ヒェェ、これからどうすんのさぁ! 蛇ちゃんって、お金で解決しないよね?」
「僕は鳥アイドルのスワロちゃんと早く帰って、2枚のDVDを見たいです」
「皆んな、ヒーローの僕がついているから大丈夫だよ。 ニャン蜜ちゃん、どうしよう?」
「ニャン太郎はいつもズルいにゃあ! 今にゃんか考えるから待ってにゃ!」
ジャジャーンの長い舌とシッポを振り回し、東野連合軍を次々と弾き飛ばしていった。
「ギャー!」
「ケーロー!」
軍師のホーホーとガンポンがニャン蜜に近づき、ジャジャーンを倒す作戦を立て直しを始めた。
「ニャン蜜さん、このままじゃ東野連合軍は全滅してしまいます。 何か違う作戦を考えましょう」
「可愛いニャン蜜さん、これ以上東野連合軍ね一斉攻撃は難しいようですね。 早くあいつの弱点を見つけるのが先決かと」
腕を組みしばらく考えるニャン蜜。
「うーん・・・そうだ、額にゃん! あの五重塔の戦いで、伏夜様は白鳳剣で春花さんの額を刺したにゃ。 だからジャジャーンの硬いウロコでも、あの額には白鳳剣の刺し傷があるはずにゃん!」
ニャン蜜が指をさすと、硬いウロコのジャジャーンの額には確かに小さな刺し傷があった。
「あの刺し傷にもう一度剣を刺せば、アイツは倒れるはずにゃん!」
「分かりました、では早速やりましょう! イーグ、ホク、クロはこちらへ来なさい!」
「ユズポンとケロイチはこちらへ!」
「ニャン太郎! ニャン太郎はこっちへ来るにゃあ!」
それからイーグにはニャン太郎、ホクにはユズポン、クロにはケロイチ、ホーホーにはニャン蜜が飛び乗った。
「よっしゃあ、ニャン太郎! 俺の速さにビビんじゃないでぇ!」
「ユズポン、おまんはワシから落ちんようきぃつけや!」
「カッカッカ! ケロケロちゃんはちょっとヌルヌルするカー!」
「ニャン蜜さんは私に乗って、皆んなの指示をして下さい。 では皆さん行きますよ!」
こうして8人の東野連合軍は、ジャジャーンの額にある刺し傷に向かって飛び立った。
顔の額に向かってくる東野連合軍を睨みつけるジャジャーン。
「ギャオーン! お前らは〜、俺の額の傷口を狙っているな〜? だがまだあ〜ま〜い〜!」
ジャジャーンは長い舌とシッポで東野連合軍を攻撃すると、すかさずニャン蜜が指示をした。
「イーグ、右上! ホク、下! クロ、後ろ45°! ホーホー、上!」
ニャン蜜の的確な指示で、八チョウ士はジャジャーンの攻撃を交わした。
「なんや、八ニャン士の軍師のネェちゃんは、ごっつええ感じの技があるやんけ」
「イーグ、ニャン蜜ちゃんは聴覚が鋭い最高の軍師なんだよ!」
「ハッハッハ! ほんなら今度は、ワシらのケンカにも使うてもらうがか!」
「ホク、お黙りなさい。 余計なことはいいから、戦いに集中するのです」
「カッカッカ! ホクはまたホーホーに怒られてるカー!」
「ニャン蜜殿、誰がジャジャーンの刺し傷まで行くでござるか?」
「ニャン太郎とイーグにゃあ。 ユズポンとケロイチで援護するから、早くあいつの額に行って刺してきてにゃあ!」
「ケロケーロ!」
「よっしゃあ! ニャン太郎、俺にしっかり捕まりや。 振り落とされたらあかんでぇ!」
「分かったぁ! イーグ、行けぇ!」
援護をもらいながらニャン太郎とイーグは猛スピードでジャジャーンの額に近づいた。
そしてニャン太郎は八ニャン剣の柄を右に回すと、金色に輝く2本の長い八ニャン剣に変えた。
「よし、ニャン太郎飛べ!」
ニャン太郎はイーグから飛び降りて、金色に輝く2本の八ニャン剣を振り下ろした。
「くらえ! 八ニャン剣二刀流『イナヅマ突き』!」
ニャン太郎がジャジャーンの刺し傷に八ニャン剣を刺そうとしたその瞬間、ジャジャーンの長い舌が2枚になってニャン太郎とイーグを弾き飛ばした。
「うわーっ!」
そしてジャジャーンの2枚の長い舌が4枚になり、そして8枚になって東野連合軍を攻撃してきた。
「皆の衆、ジャジャーンの舌が8枚になったら手強いでござるよ!」
「カッカッカ! 逃げろ、逃げろカー!」
「ケーロケロケロ!」
「ところでニャン蜜ちゃんよぉ。 何んじゃあ、あのイナヅマ突きってやつは? あれが八ニャン士のリーダーかえ?」
「ホク、そんにゃこと今私に聞くにゃあ! ニャン太郎はダサい名前の技が好きにゃの!」
「コラコラ、冗談言ってないでとりあえず今は危険です。 皆んな、早く逃げますよ!」
怒り狂ったジャジャーンは目を真っ赤に光らせ、シッポを8本に変えた。
「ギャオーン! 俺は舌だけじゃなく〜、シッポまで8本にな〜る〜ん〜だ〜ぞ〜!」
ジャジャーンの舌とシッポが8本になり自由に動くと、次と東野連合軍を弾き飛ばしていった。
そしてジャジャーンの口から大量のヘビ兵を噴出すると、東野連合軍をさらに襲いかかった。
「ギャー! こんな大量のヘビ兵じゃキリがねぇ!」
「逃げるざます、逃げるざます!」
「ケッケッケーロ! ケッケッケーロ!」
ジャジャーンはまた目を光らせ、まだ気を失っている春花を睨みつけた。
「ギャオーン! さて〜、うるさいヤツらはヘビ兵にまかせて〜、俺はまた春花の体を〜、操るとす〜る〜か〜な〜!」
ジャジャーンは春花を連れて逃げている伏夜の所に、ゆっくりと近づいて行った。
大蛇ジャジャーンの破壊力に、東野連合軍はまったく歯が立ちません。
さて東野連合軍は、どうやってジャジャーンを倒すことが出来るのでしょうか?
ところでニャン太郎くんの『イナヅマ突き』っていうのは、本当にダサい技ですね。
次回「助の巻」をお送りします。
東野連合軍絶対絶滅の時に、あいつが帰って来た!
お楽しみニャン!




