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里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
東野郡大戦争編
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第14話 声の巻

大和田村に怪しく聳え立つ五重塔の中で、八ポン士と激闘する八ニャン士。

しかし八ポン士の思わぬパワーに、八ニャン士はなす術がなかった。


はたして伏夜と八ニャン士は、春花と八ポン士に勝つことができるだろうか?


春花の細長い剣に攻撃され、最上階の部屋の中で逃げ回る伏夜。そしてとうとう疲れ果てて床に倒れてしまうと、それを横で見ていたニャン太郎が叫んだ。


「あっ、伏夜様が危ない!」


春花は不気味に笑いながら剣を高く掲げ、床に倒れている伏夜をジリジリと詰め寄った。


「フッフッフ。 これでお終いだよ、伏夜」

「春ちゃん! やめて!」

「邪魔者のお前と八ニャン士は、この五重塔で全員負けるのだ! そして私が東野郡統一の女帝、春花始皇帝となるのだぁ!」

「きゃあああ!」


春花が剣を振り下ろしたその時、ニャン太郎の目と心に火がついた。


「僕たちの大事な伏夜様に何をする! 伏夜様を悲しませるヤツは、僕は絶対に許さない!」


ニャン太郎はユズポンの戦いから離れ、伏夜に振り下ろした春花の剣を受け止める。


「ニャン太郎! 貴様、邪魔をするな!」

「悪者のお前らなんかに絶対に負けない!」

「なぁに、小僧! もういっぺん言ってみろ!」

「僕たち八ニャン士は、伏夜様をお守りする里見村のヒーローなんだ!」

「里見村のヒーローだと? ハハハ、貴様頭でもおかしくなったのか?」


その時ニャン太郎は、首についている白い玉をギュッと握りながら叫んだ。


「皆んな! 八ニャン士の皆んな、僕の声が聞こえるか!」


すると塔の各階で戦っている八ニャン士の首についている白い玉が光り出し、ニャン太郎の叫ぶ声が八ニャン士に届いた。


「ニャン太郎!」


説明しよう。

八ニャン士の首についている『仁義八行の玉』は、お互い通信できる玉だった。ちなみに『皆んな』と叫ぶと、全員と交信できる。


ニャン太郎は春花の剣を振り払い、震えながら立ち上がる。そして春花とユズポンに向かって、八ニャン剣を前に強く突き出した。


「皆んな、こんな悪いヤツらに絶対に負けるなぁ! 僕たちは里見村と伏夜様を守る八ニャン士なんだぁ!」


白い玉から聞こえるニャン太郎の力強い声に、八ポン士との戦いに苦戦している八ニャン士の目が光る。

そしてニャン太郎は八ニャン剣を高く掲げた。


「仁義礼智忠信考悌 正義は・・・」


「僕たちだぁ!」


ニャン太郎の掛け声で一斉に叫ぶ八ニャン士。



すると伏夜と八ニャン士の耳に、あの優しくて美しい声が遠くから聞こえてきた。


『八ニャン士、里見八ニャン士よ!』


その声を聞いた伏夜が呟く。


「その声は・・・大神猫様!」


大神猫様の優しい声は以前洞窟の戦いで伏夜とニャン太郎だけが聞いている。その他の八ニャン士が大神猫様の声を聞くのはこれが初めてだった。


『私の大事な八ニャン士よ! 早く八ニャン剣のを右に回すのです!』


八ニャン士は大神猫様からの助言に従って、八ニャン剣の手元にある柄を右に回した。



1階でガチャポンの鉄の棒で潰れそうになっているニャン平が八ニャン剣の柄を右に回すと、八ニャン剣がピカーンと光り出した。そしてニャン平の八ニャン剣は、金色に輝く太くて大きな『金砕棒かなさいぼう』に変わった。


「な、なに? お前の剣が金砕棒に変わったてか?」

「なんだか分かんねえっすが、力がどんどん湧いてきたっすよ! 雷電・雷電・・・うおおお!」


そしてニャン平は雷電によって腕から火花を放ち、苦しめられていたガチャポンの鉄杭の金棒を振り飛ばした。


「うおおお、雷電パワーをナメんじゃないっす!」


雷電と金砕棒でパワーアップしたニャン平は遠くに投げ飛ばすと、ガチャポンは壁を突き破って五重塔の外へと放り出された。


「くっ、くそ。 何だかあいつ、急に強くなりやがったってか? はぁ眠い眠い!」

「ガッハッハ、これから大逆転っすよ。 ガチャポン、覚悟するっす! ああ腹減った!」


パワーアップしたニャン平を見て、外で倒れているガチャポンはガクッと地面に倒れた。



同じく1階でスッポンのトランプで体を傷つけてられているニャン斗は、また新しい白い蜘蛛の巣によって絡まれてしまった。


「ユーはさっきから何をセイ()ってるんだい? ユーたちがウィン(勝つ)するなんてありえないのさ!」


白い蜘蛛の巣に苦しめられているニャン斗は、八ニャン剣の柄を右に回した。すると八ニャン剣がピカーンと光り出し、金色に輝く2枚の鋭いブーメランに変わった。


「ええ? ユーのセーバー()が、ゴールドのブーメランにチェンジ?」

「これはこれは美しいブーメランで、僕にピッタリだねぇ」


そしてニャン斗は腕を胸に組みながら目を閉じて、雷電を始めた。


「雷電・雷電・・・ピカー!」


雷電によってニャン斗の頭から火花が放つと、頭から出た激しい光でスッポンの目を潰した。


「ホワッツ? ミーのアイ()が、ミーのアイが見えない!」


ニャン斗は金のブーメランで蜘蛛の巣を切って投げると、スッポンの顔や体を切り裂いた。


「ギャアアア! ヘイユー、よくもミーのフェイスに傷をつけたなぁ!」

「東野郡のイケメンはねぇ、2人もいらないのさっ! やっぱりナンバーワンのイケメンはさぁ、里見村のミーだったみたいだね!」


ニャン斗は戻って来たブーメランを受け取ってドヤ顔をすると、それを見たスッポンはガクッと床に倒れた。



2階でウエポンの機関銃に撃たれ足をやられたニャン吉は、太い柱に隠れながら八ニャン剣の柄を右に回した。すると八ニャン剣がピカーンと光り出し、金色に輝く2本の打突武器(トンファー)になった。


「キャハ?  何だ、あの武器は? キャハ?」

「へへへ、カッコいいトンファーになったぜ! よし、今こそパワーアンクルを外そう」


そしてニャン吉は足につけている重いパワーアンクルを外し、部屋の中を素早く走り出した。ニャン吉が走るそのスピードは、これまでにない物凄い速さだった。


「キャハ? あのチビの足が早くなってやがる? 一体何があったんだ? キャハ?」

「パワーアンクルを外した俺の足は、まだまだ早く走れるぜぇ。 そして八ニャン剣から変わったこのトンファーで、お前の機関銃の弾を防ぎながら攻撃できるんだよ!」

「キャハハハ! これでもくらえ! キャハハハ!」


ウエポンはニャン吉に向かって激しく機関銃を撃つが、ニャン吉は2本のトンファーで機関銃の弾を防いだ。

そしてニャン吉はトンファーを素早く振り回し、機関銃の銃身を曲げてウエポンを投げ飛ばした。


「キャハ。 俺は武器マニアだから、そのトンファーをくれよ。 キャハ」

「やったぜぇ、これで2枚の猫アイドルDVDは俺のものだぁ!」


ニャン吉が金色のトンファーを高く掲げると、それを見たウエポンはガクッと床に倒れた。



3階でチャンポンに蹴られて倒れているニャン子が、立ち上がりながら八ニャン剣の柄を右に回した。すると八ニャン剣がピカーンと光り出し、金色に輝く華やかな2枚の扇になった。


「ヒック! その 金色の扇 なにあるか?」

「おやおや、こりゃたまげたね〜。 体も急に軽くなって、まるで蝶のように舞えそうだよ〜。 これならあたいも、いよいよあれをやるしかないね〜」


ニャン子が腕を組んで雷電を始めると、足から火花が放った。そしてニャン子は2枚大きな扇を使い、まるで天女のように舞った。


「雷電・雷電・・・アチョー!」

「ヒック! それは 秘拳の『花架拳かかけん』 あるね!」


雷電によってパワーアップしたニャン子から、雷が落ちるような激しい足蹴りが飛び出した。その破壊力のある足蹴りを酔拳では防ぎきれず、チャンポンは吹き飛ばされた。


「なぜあなた 花架拳を使える あるか? ヒック!」

「ホーホッホッホ! あたいの足蹴りを ナメんじゃない あるよ!」


スポットライトをあびながら花架拳の構えをするニャン子を見て、チャンポンはガクッと床に倒れた。



4階でデコポンの長槍に苦戦して体がボロボロになっているニャン丸は、八ニャン剣の柄を右に回した。

すると八ニャン剣がピカーンと光り出し、長い鎖に繋がれて金色に輝く鎖鎌(くさりがま)に変わった。


「何じゃあ、それは? おどれ、どこに隠しとったんか、あぁん?」

「ヘッ、なんだか悪そうな鎖鎌になったぜぇ。 極悪非道のニャン丸様にピッタリだぜ」

「おんどれはそんな妙な鎖鎌で、このワシの長槍に勝てると思うとんか?」

「ヘッ、なんなら試してみるか、お好み焼き野郎。 俺はここでパワーリストを外してやる!」


ニャン丸は両腕につけているパワーリストを外した。そして鎖についている鉄球をグルグル回して投げると、デコポンの長槍に絡まった。鎖に絡まれて取れない長槍で、デコポンは高速で回転が出来なくなった。


「くっそぉ! この鎖が邪魔くそうて、長槍が思うように動かんわい!」

「ヘッ、この勝負はもらったぜ! この鎌でテメェの体を切り刻んでやる!」


ニャン丸は飛び上がって鎌を振り回すと、体を傷つけられたデコポンはガクッと床に倒れた。



最上階でガンポンのムチの攻撃で倒れているニャン蜜は立ち上がり、八ニャン剣の柄を右に回した。

すると八ニャン剣がピカーンと光り出し、金色に輝く軍配ぐんはいになった。それは先を読み自由に風を起こすことができる幻の軍配だった。


「その金色に輝く軍配は、中国の天才軍師言われたあの有名な『諸葛猫明(しょかつにゃんめい)』の軍配か!」

「フフフ、この軍配を持ったら、にゃんだか先のことまで見えるにゃ。 ガンポン、そのムチでまた私を追いかけてみるにゃ」


ニャン蜜は軍配を持ちながら走り出し、ガンポンの周りをグルグルと回り始めた。それを見ていたガンポンは慌ててムチを投げると、ニャン蜜は軍配を大きく振った。


「引っかかったにゃ、ガンポン!」


軍配から出た風によってムチの動きが逆になると、ムチはガンポンの体をグルグルと巻きつけて首を締めつけた。


「し、しまった。 お前は最初から、私のムチで締め付けるつもりだったのだな!」

「フフフ、戦いは頭を使うにゃ。 私の策をみくびるにゃよ」


ムチで首を締め付けられ苦しくなったガンポンは、ガクッと床に倒れた。



同じく最上階でユズポンの二刀流に苦戦しているニャン太郎は、八ニャン剣の柄を右に回した。

するとニャン太郎が持つ八ニャン剣がピカーンと光り出し、金色に輝く2本の長い八ニャン剣となった。


「貴様も同じ二刀流になって、この私に勝てると思うておるのか? 二刀流は素人がこなす技ではない!」

「フフフ、お前と同じ二刀流じゃないよ。 僕はこの時をずっと待っていたんだ!」


ニャン太郎は両腕に着けているパワーリストを外すと、2本の長い八ニャン剣をグルグルと回し始めた。


「パワーリストを外しただと? おぬし、ひょっとして初めからこれを?」

「デコポン、1つ教えてやる。 正義のヒーローっていうのはね、危機から逆転するのがお決まりなんだ!」

「な、なにぃ? あいつの剣が見えないでござる!」


そして飛び上がって体を回転すると、ニャン太郎は叫びながら八ニャン剣を振り下ろした。


「くらえ! 八ニャン剣二刀流『木の葉落とし』!」


ニャン太郎は2本の剣を払い落として体を切り裂くと、ユズポンはガクッと床に倒れた。



八ニャン士が新しい武器を持ってパワーを出したのを見て、春花は目を開きながら驚いていた。


「なぜ八ニャン士が急に強くなった? 八ニャン士に一体何が起こったのだ?」

「春ちゃん、これでもう八ニャン士の勝ちよ。 だから今すぐ降参してちょうだい!」

「うるさい、お前は八ニャン剣とか持っていないから、私に何もできないではないか!」


すると伏夜の耳に、またどこからか優しい声が聞こえて来た。


『伏夜! この白鳳剣はくほうけんを春花の額に刺すのです!』


すると伏夜の目の前がピカーンと光り出し手に持ったのは、金色に輝く白鳳剣だった。


「大神猫様、この白鳳剣を春ちゃんの額に?」

「な、なに? いつの間に伏夜の手に金色の剣があるのだ?」

「春ちゃん、ごめぇん!」


伏夜は素早く走り出し、白鳳剣で春花の額に描いてある呪いの文字に突き刺した。


「ギャー!」


伏夜が刺した白鳳剣によって、春花の額にある呪いの文字からメラメラと赤い炎が出て来た。

そして春花の額の中から、黒い煙が勢いよく出てきた。


「春ちゃん、大丈夫?」

「ギャー! ギャー!」


春花の額から出てきた黒い煙は渦を巻き、やがて大きな蛇となっていった。


「へ、蛇? どういうこと?」


その大蛇を見た伏夜と八ニャン士と八ポン士は、あまりにも大きい蛇を見て一歩も動けなかった。


「伏夜様、その大蛇から離れて下さい!」

「どういうことでござるか? 春花様の体から大蛇が出るなんて考えられないでござる」


そして大蛇はドンドンとさらに大きくなり、五重塔を突き破りながら外に飛び出して行った。


「ギャーオーン! お前ら〜! 許さ〜ん!」


春花の額から出たその化け物とは、悪魔の大蛇『ジャジャーン』だった。

なんと春ちゃんの体を操っていたのは、悪魔の大蛇ジャジャーンだった!

今度はこの大きな化け物を相手に、伏夜さんと八ニャン士はどう戦うのでしょうか?

ところで猫上様が作った模造刀の八ニャン剣は、金色になったり新しい武器になったり、意外と役に立つんですね。


次回「呪の巻」をお送りします。

激闘! 大蛇ジャジャーンvs 東野連合軍


お楽しみニャン!

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