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里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
東野郡大戦争編
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第12話 塔の巻

東野橋の戦いで八ケロ士の激しい攻撃に見事勝利した八チョウ士。

勝ったそのままの勢いで伏夜と八ニャン士は東野橋を渡り、今度は敵陣である大和田村へ入って行った。


しかしいつも活気がある大和田村とは違い、何やら不穏な空気が漂っていた。

大和田村に入った伏夜と八ニャン士はしばらく歩き続るが、そこには村民も狸もいなく、ただ砂嵐だけが虚しく吹いていた。

周りを見て不思議に思った伏夜は、一緒に歩いている八ニャン士に問いかける。


「ねぇ、ニャン太郎。 大和田村ってこんなに寂しい村だったかしら?」

「何だが様子がおかしいですね、伏夜様。 大和田村は里見村よりもっと栄えている村のはずですが」

「何かさぁ、大和田村の方たちは僕たちを歓迎していないみたいだねぇ。 ご褒美が貰えないなんて残念だなぁ」

「ヘッ、ニャン斗はアホなのか? 大和田村が里見村の俺たちを歓迎するわけないだろ!」

「でもよマル、この異様な雰囲気は何だか気持ち悪いっすな。 ああ腹減った!」


こうして伏夜と八ニャン士がしばらく村を歩いていると、目の前に突然不気味で大きな五重塔が見えて来た。


「おやおや、大和田村にこんな五重塔があるなんて知ってたか〜い? あたいはそんなこと聞いてないよ〜」

「ニャン子ちゃん、大和田村にはこんにゃ塔はにゃかったはずだにゃ。 にゃんだかさっきから嫌にゃ予感がするにゃ」

「ニャ、ニャン蜜ちゃん、僕は早く里見村に帰りたいです。 チビっちゃいそうです」


そして伏夜と八ニャン士が五重塔の下に着いたその時、最上階から見下ろしている春花が仁王立ちをしながら笑っていた。


「ハッハッハ、伏夜と八ニャン士よ! お前たち、わざわざやられにこの村に入って来たか!」

「春ちゃん、戦いは東野橋だけでいいじやない。 もうこんな戦いは止めようよ! またいつものように仲良くしようよ」

「うるさい! 東野橋で我が同盟軍の八ケロ士が散々やられて、今更この戦いを止めるわけないだろ! どうしても戦いを止めたいと言うのなら、お前だけこの五重塔の最上階まで登って来い!」

「春ちゃん、どうして? 昔はあんなに優しかったのに・・・」


春花の変わりように涙を流す伏夜に、ニャン蜜がそっと囁く。


「いや伏夜様、春花さんの額に書いてあるのは間違いにゃく呪いの文字ですにゃ。 あれは春花さんの意志ではにゃく、にゃにかに取りつかれているに間違いにゃいです」

「おいミッチー、俺たちもこのまま不気味な塔に入るっすか? 俺は腹が減って死にそうっすよ」

「やだやだやだぁ。 こんな不気味な塔に入るなんて、ニャン吉くん怖いよぉ」

「ニャン斗くん、僕と一緒に帰りましょう」


ニャン斗とニャン吉が震えていると、伏夜は涙を拭きながら立ち上がる。


「皆んな安心して。 春花ちゃんは私に登って来いと行ってたから、この塔は私1人で行くよ。 そしてなんとか春ちゃんを説得してみる!」

「ダメです! 伏夜様1人だけで、この怪しい塔には行かせません!」

「ニャン太郎、お前」

「伏夜様が行くなら僕たちもお供します。 僕たちは、伏夜様をお守りする里見八ニャン士なんです!」


ニャン太郎は白いハチマキとタスキ掛けをして、戦闘の準備をした。


「おやおや、太郎ちゃん。 ちょいと粋な格好じゃあないか〜。 ねぇ、ニャン丸」

「ヘッ、さすが八ニャン士のリーダーだぜ! だけど俺はそのキラキラした目が嫌いだけどな」


他の八ニャン士も白いハチマキとタスキ掛けをして目を光らせると、その姿を見て伏夜は笑った。


「皆んな、ありがとう! じゃあ一緒に行こう!」

「おおぉ!」


こうして伏夜と八ニャン士は、五重塔の1階にある重い扉をゆっくりと開けた。



塔の1階に入ると、そこには大きな鉄の棒を持ったガチャポンとトランプを操っているスッポンが立っていた。


「ガハハハ、このバカ猫どもがノコノコと入って来やがったってか! 俺は大和田村の怪力狸のガチャポン様だってばよ。 はぁ眠い眠い!」


ガチャポンはそう言いながら、鉄の棒をブンブンと大きく振り回した。


「ハーイ! ミーはイケメンマジシャンのスッポンさんだよぉ! ミーをエンジョイさせてくれるのは、どのキャットさんなのかなぁ? フフフ」


スッポンはマジックに使うトランプカードを、まるで扇子のように広げながら不気味に笑った。


伏夜と八ニャン士 目が点になる。


「大きな狸とイケメン狸さん? どの村にも似たような人がいるんですな」


すると、ニャン平とニャン斗が一歩前に出て仁王立ちをした。


「ガッハッハ、おいガチャポン。 お前の相手は、里見村1番の怪力猫ニャン平様が相手にしてやるっすよ! ああ腹減った!」

「はいはぁい、スッポンさぁん。 当然君の相手はさぁ、この里見村1番イケメンのニャン斗くんになるだろうねぇ」


八ニャン士と伏夜 またまた目が点になる。


「やっぱり、物語としては当然こういう組み合わせになるでしょうね」


塔の1階で4人は睨み合うと、ニャン平とニャン斗はニャン太郎に叫ぶ。


「おいニャン太郎、ここは俺とニャン斗が始末しておくっすから、伏夜様をお連れして早く最上階に上がって行くっす!」

「皆んなぁ、僕の大事な伏夜様を頼みましたよぉ!」

「わ、分かった。 2人とも気をつけてね」


こうして伏夜と八ニャン士は、階段で2階に上がって行った。


ガチャポンは鉄の棒をブンブンと振り回すと、ニャン平は八ニャン剣をシュンと抜いて黄色に光らせた。


「ガハハハ! どっからでもかかって来いってか、このバカ大食いネコ野郎! はぁ眠い眠い!」

「ガッハッハ! このアホ眠いタヌキ男が、似たようなセリフを言うんじゃねっす! ああ腹減った!」


体の大きいニャン平とガチャポンが、塔の1階で激しくぶつかった。


一方スッポンはトランプカードを自由に操りながら不気味に目を光らせると、ニャン斗は八ニャン剣をシュンと抜いて緑色に光らせた。


「君の相手はこの僕で不運だよねぇ。 なんせ僕は里見村で1番のイケメンだからさぁ!」

「ハハハ、ユーは里見村でナンバーワンなのかい? ミーは東野郡でナンバーワンイケメンだから、ユーはミーよりもブサイクなんだねぇ」

「だぁれぇがぁブサイクじゃい! このスッカラカンのスッポンポンがぁ!」


スッポンは1番言われたくない『スッポンポン』と言われ、ニャン斗と同じく顔が豹変した。


「だぁれぇがぁスッポンポンじゃい! それはミーがナンバーワン嫌いなワードなんだよ!」


イケメン同士のニャン斗とスッポンが、塔の1階で激しくぶつかった。



その頃伏夜と八ニャン士が階段を走りながら2階に上がると、部屋の隅の方からいきなり機関銃で乱射された。


ババババ・・・・


「ウヘヘヘ! この俺の相手はどの猫だぁ! ウヘヘヘ!」


塔の2階にいたのは、2丁の大きな機関銃を持っていた怪しいウエポンだった。ウエポンは目をギラギラさせて、舌を出しながら機関銃を乱射していた。

八ニャン士と伏夜は機関銃の弾を避ける為に、急いで3本の太い柱に隠れる。


「き、機関銃? ど、ど、ど、どういうこと?」

「チッ、あいつはヤバいぜ、ニャン太郎。 機関銃で撃ちながら舌を出して笑ってるなんて、あいつ完全に狂ってるぜ!」

「おやおや、あのクソ狸は何か食ったり打ったり吸っりしたのかね〜。 大和田村には、ずいぶんべらぼうな狸がいるもんだよ〜」

「ウヘヘヘ! 八ニャン士、柱に隠れてないで出てこぉい! ウヘヘヘ!」


ババババ・・・


ウエポンの機関銃で一歩も動けず、柱の影で震える伏夜。


「どうしよう、ニャン太郎。 あの狂った狸の機関銃じゃあ身動き取れないよ!」

「大丈夫です、伏夜様。 ここは僕が何とかします。 ニャン蜜ちゃん、どうしよう?」

「ニャン太郎、ズルいにゃあ! 困った時だけ私にふるにゃあ!」


すると、いつも怖がりのニャン吉がトコトコと前に出た。


「ニャ、ニャン蜜ちゃん、ここは僕が行くよ」

「ええ、ニャン吉が? 大丈夫にゃの?」

「うん。 あの機関銃の弾より速く逃げ切れるのは、たぶん僕と鳥アイドルのスワロちゃんだけだから」


あの東野橋の戦いから、なぜかニャン吉は八チョウ士のスワロを気に入っている。心配になった伏夜は、ニャン吉の肩を触りながら優しく問いかけた。


「ニャン吉くん、本当に大丈夫なの? 無理してない?」

「はい、大丈夫です。 そのかわり伏夜様、この戦いが終わったらご褒美に猫アイドルのDVDを買って下さいね」


伏夜 コケる。


「おやおや、伏夜様におねだりだなんて、小声のニャン吉ちゃんは意外と大胆だね〜。 あたいはあんたを見直したよ〜」

「チッ、普段はビビりなくせに。 俺はニャン吉のことがよう分からん」

「ニャン丸くん、僕はケンカ好きな君とはお友達にはなれません」

「ケッ、ニャン吉、まぁだそれを言うかっ! お前こそ狂ったように暴れ回るくせにっ!」


説明しよう。

ケンカ嫌いなニャン吉は、ケンカ好きのニャン丸を物凄く嫌っていた。しかしニャン丸はニャン吉の仇をとる為に、大和田村の狸と戦ったことがあった。しかし、ニャン吉はやっぱりニャン丸のことを嫌っている。


すると伏夜が珍しく目を光らせ、、ドヤ顔をしながらニャン吉に行った。


「フッフッフ、分かったわ、ニャン吉くん。 この戦いが終わったら、あなたに猫アイドルのDVDを買ってあげる。 しかも2本もねっ!」


伏夜のその言葉を聞いたニャン吉は顔が豹変して、足が太くなっていった。そしてニャン吉は雄叫びを上げながら、ウエポンに向かって走って行った。


「よっしゃあ、DVD2本もらったぜぇ! ふぅせぇよぉ、その言葉を忘れるんじゃねえぞ! うおおお!」

「ウヘヘヘ! 何だぁ、あの足の速いチビは? テメェなんか、こうしてくれるわっ! ウヘヘヘ!」


物凄いスピードで走ってくるニャン吉に向かって、ウエポンは機関銃を乱射した。しかしニャン吉の足の速さは、ウエポンの機関銃の弾よりも上回っていた。

それを見ていた伏夜と八ニャン士は、口を開けながら呆然と立っていた。


「は・は・は。 ちょっと噂だけは聞いていたけど、ニャン吉くんが豹変すると物凄いパワーが出るんだね。 普段あんなに小声で大人しいのに」

「ヘッ、だから言ったでしょ、伏夜様。 本当は俺よりあいつの方がケンカ好きなんですよ」

「とりあえず伏夜様、ニャン吉の豹変は見にゃかったことにして下さいにゃ」

「よし皆んな、ここはニャン吉に任せて上に登ろう」

「そうしましょう、そうしましょう」


こうして伏夜と八ニャン士は、階段を登って3階へ向かった。

さてさて東野橋の戦いの次は、五重塔の戦いが始まりました!

塔の1階にいるニャン平とニャン斗、そして2階にいるニャン吉はどうなるのでしょか?

しかしあの機関銃を持ってるウエポンは、かなり危険な狸ですね。


次回「乱の巻」をお送りします。

五重塔にいる八ポン士はクセが強い!


お楽しみニャン!

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