第9話 逃の巻
厳しい訓練によってさらに技を磨いてる八ポン士は、里見村軍との戦いの為に準備をしていた。
一方八ニャン士と八チョウ士から選ばれた8人は、明日処刑されるクーポンを救出する為に大和田村へと向かった。
はたして『クーポン救出作戦』は成功できるだろうか?
このクーポン救出作戦には、八ニャン士からはニャン助・ニャン丸・ニャン吉・ニャン蜜、そして八チョウ士からはイーグ・ホク・クロ・ホーホーが任務を遂行していた。
夜も深くなり、辺りは真っ暗で静まりかえる大和田村。八ニャン士と八チョウ士から選ばれた8人は大和田村の上空を飛び回り、クーポンが捕まっている牢屋を探していた。
イーグの背中に乗っているニャン丸は、灯りが消えた暗い村をキョロキョロと見渡している。
「チッ、家の電気が消えて全く見えねぇじゃねえかよ。 おいニャン蜜、暗くて見えないのに、どうやってクーポンがいる牢屋を探すんだよ!」
「ニャン丸、心配にゃいにゃ。 忍び猫の情報によると、八ポン士の陣は大和田村1番地にある少々寺と聞いているにゃ。 だからその寺の近くに行けば、必ず牢屋があるにゃ」
「なんや、さすが八ニャン士の可愛い軍師の情報は早いなぁ。 感心感心や」
「へへへ、にゃんのにゃんの」
イーグに褒められてニャン蜜が照れていると、視力がいいホーホーが早くも少々寺を見つける。
「となるとニャン蜜さん、大和田村の少々寺はあそこですね」
「さすが夜でも見えるフクロウのホーホーだにゃ。 ではまずは作戦通り、ニャン吉はここから飛び降りて素早く牢屋を探してきてにゃ。 そしてクーポンの牢屋が見つかったら、ペンライトで知らせるにゃ」
ニャン蜜から指示されたニャン吉はブルブルと首を降り、空から飛び降りるのを嫌がっていた。
「ニャ、ニャン蜜ちゃん。 こんな高い所から飛び降りるなんて、僕無理だよ。 早く家に帰りたいよ」
それを聞いたホクとクロは驚く。
「げげっ! ここまで来ておまんが降りれんなんて、そりゃあいかんぜよ!」
「カッカッカ! このビビりおチビちゃんは本当に大丈夫カー? もう作戦は失敗カー?」
「フッフッフ、ニャン吉は絶対そう言うと思ってたにゃん。 それも私の想定内にゃん!」
「カッカッカ! 想定内ってどういう意味カー?」
ニャン蜜はニヤリと笑いながら、ポケットから猫アイドルのDVDを取り出す。
「そ、それは! 今話題の韓国系猫アイドル『ブニャックピンク』のDVDじゃないか!」
「これはにゃかにゃか手に入らにゃいDVDだにゃ。 ホレホレ、これが欲しいかにゃ?」
「ニャン蜜、テメェ俺を怒らせるきかぁ!」
ニャン吉の顔がいきなり豹変すると、八チョウ士たちの目が点になる。
「どういうことや? 可愛い顔のあんちゃんが豹変しとるやないか?」
ニャン蜜はフフフと笑いながら、その猫アイドルのDVDをいとも簡単にポイ!っと下に落とす。
「テメェ、大事な猫アイドルDVDを簡単に捨てやがって、何やってんだよ! うおおおっ!」
豹変したニャン吉は、落ちていくDVDを追いかけて高い空から下に飛び降りた。
「カッカッカ! あのおチビちゃん、DVD欲しさに飛び降りやがったカー!」
「いくらなんでも、この高さから飛び降りるのは無茶ぜよ。 あいつ、ちくと気が狂うたんかえ?」
「ニャン蜜さん! 八ニャン士の皆様は、ニャン吉さんに一体どういう教育をしてるんですか?」
ニャン蜜とニャン丸とニャン助 目が点になる。
「う、うん。 これは見なかったことにしてね」
無事地上に飛び降りたニャン吉は、DVDを口にくわえたまま素早く走りながら牢屋を探し回る。ニャン吉が走るその素速さは、少々寺を警備している狸が気づくことが出来ないほど物凄いスピードだった。
「ない、ない、ない。 あっ、クーポンの牢屋だ!」
牢屋でクーポンを確認したニャン吉は、早速上空に向かってカチカチとペンライトで照らす。
ニャン吉が照らした僅かな光に気づいたホーホーは、早速ニャン蜜に伝えた。
「ニャン蜜さん、ライトが光ったあそこが牢屋みたいですよ。 しかしニャン吉さんは、本当に足が早いんですね」
「フフフ、ニャン吉はまだまだ足が早くにゃるにゃ。 よし、今度はニャン丸とニャン助がライトに向かって降りるにゃん!」
「おう! イーグとホク、早く俺たちをあの光りまで下ろしてくれ!」
「何や、お前はここから飛び降りへんのか?」
「俺と狂ったあいつを一緒にするんじゃねえ! 早く降ろせ、イーグ!」
イーグとホクは素早く急降下し、ニャン吉がいる牢屋の所にニャン丸とニャン助を降ろした。
そして牢屋で静かに座っているクーポンの姿を見ると、ニャン助は小声で呼びかける。
「クーポンちゃん、クーポンちゃん!」
「ニャン助さん、どうしてここポンにいるの?」
「忍び猫からクーポンちゃんが明日処刑されると聞いたからん、里見村軍の皆んなで助けに来たんだよん。 だから早くここから出よん」
「ありがとポンです、ニャン助さん。 でもこの牢屋ポンには、忍び狸の私でも開けらない頑丈な鍵ポンがあるのよ」
「あ、あのぉ、クーポンさん? 牢屋の鍵なんて、もうとっくに開けましたよ」
説明しよう。
『知恵の輪全国大会』の優勝者であるニャン吉は、ある程度の鍵なら簡単に開けてしまう技術を持っている。
ニャン吉が空いた鍵を見せると、ニャン助とニャン丸の目が点になる。
「さすがです。 恐るべしニャン吉先生」
しかし春花の支配力に恐れているクーポンは、なかなか牢屋から出たがらない。
「でも、また春花様に捕まってポンしたら・・・」
クーポンの手が震えていたその時、ニャン助が真剣な顔をしながら手を差し伸べた。
「クーポンちゃん、僕を信じてんっ!」
「ニャン助さん!」
何かの映画で聞いたことがあるようなセリフを言いながら、ニャン助はクーポンに手を伸ばして叫んだ。
そしてニャン助とクーポンは手を繋ぎながらしばらく見つめ合うと、またどこからかBGMが流れてくる。
「あのぉ、それって映画『アラニャンと魔法の猫招き』のセリフだよね?」
「おい、ニャン助! こんな所で『ディズニャー映画』みたいなことをするんじゃねぇ!」
「ハ・ハ・ハ。 1回これをやってみたかったんだよねん!」
ニャン吉とニャン丸 コケる。
そしてニャン助はクーポンの手を引きながら牢屋から逃げようとすると、いつの間にか牢屋の周りには、武装した3人の八ケロ士がとり囲んでいた。
「ケロッ! ケロッ! ケロッ!」
「チッ、ケロケロっていつの間にか変な蛙に囲まれたぜ」
「ぼ、僕はチビっちゃいます。 早く家に帰りたい」
するとニャン助の後ろで隠れていたクーポンが、指をさしながら叫んだ。
「ニャン助さん、このクローン蛙ポンたちは、中谷村ポンの八ケロ士です!」
「え? こいつらがクローン蛙だって言われる中谷八ケロ士だってん?」
「ヘッ、そうかい。 こいつらが武装集団のケロケロ八ケロ士かい。 ならば、今度は暴れ猫の俺の出番だぜぇ!」
八ケロ士は武器を構えて攻撃してくると、八ニャン士も八ニャン剣をシュンと構えた。
「ヘッ、アイツらも3人だけなら八ニャン士だけで楽勝だぜ。 ケロケロちゃん、行くぜ!」
それからしばらく八ニャン士と八ケロ士の戦いが続いた。
「おりゃああ! まだまだぁ!」
「ケロケーロロロ! ケロケーロロロ!」
すると始めは3人だった八ケロ士がいつの間にか8人に増え、3人の八ニャン士を取り囲んだ。
その状況を空から見ていたニャン蜜とホーホーは少し焦る。
「にゃにゃ、やばいにゃん。 八ケロ士8人と八ニャン士3人じゃあ勝ち目がにゃい!」
「おやおや、これはまずいことになりましたねぇ。 ならばイーグとホク、お前たちが行って八ニャン士さんを助けてきなさい」
「よっしゃあ! ホーホー、その言葉を待ってだでぇ!」
その時上空を飛んでいたイーグとホクが、大声で叫びながら八ケロ士と八ニャン士の中に入って行った。
「ほんまダサいねん、ニャン丸! 八ケロ士はワシらが片付けたるさかい、お前らははよ逃げんかい!」
「ニャン丸! まっことおまんは、いつもケンカが弱いぜよ!」
「チッ、うるせえイーグとホク! 今いいところだったのに、お前ら俺のケンカに勝手に入って来るんじゃねえ! この◯◯の✖️✖️がぁ!」
「なんやとぉ! テメェだって⬜︎⬜︎が✖️✖️やないかぁ!」
「ニャン丸、おんしゃあ⬜︎⬜︎を✖️✖️してやるぜよ。 覚悟しぃやあ!」
※良い子がこの物語を読んでいる為、ここでは発言を控えさせていただきます。
ニャン丸とイーグのケンカを上空から聞いていたニャン蜜とホーホーは、白目になりながら顔が引きつっていた。
「ハ・ハ・ハ、ホーホーさん。 にゃんかうちのチンピラ猫が、そちらの剣士に失礼にゃことを言ってすみませんにゃ」
「いやいや、ニャン蜜さん。 うちのチンピラ鳥も下品な言葉を使い、大変失礼しました」
「カッカッカ! 俺はケガをするのは嫌だからカー、あんな危険な所に行かないカー!」
「クロ、お前は本当にズル賢い鳥ですねぇ」
「ホーホー、ゆるしてカー! ゆるしてカー!」
クロはホーホーに弱い。
そして突然八ケロ士の体が光り出して激しく飛び跳ねると、物凄いスピードとパワーを出して八ニャン士と八チョウ士を攻撃してきた。
「ケロケロケーロ! ケロケロケーロ!」
「チッ、ちっくしょう。 さっきから狂ったようにピョンピョン跳ねやがって! どうする、イーグ?」
「こいつら剣やなくてザルとかお玉しか持ってへんのに、意外にやるやないか。 これじゃあ、いくらやってもキリがないやん!」
すると自分の体に縄をくくっていたニャン蜜が、叫びながら上空から飛び降りて来た。
「ニャン助ぇ、クーポンちゃんを早く私に渡してにゃん!」
「分かったん! ニャン蜜ちゃん、クーポンちゃんを頼んだよん!」
「よし、クーポンちゃんを掴んだにゃん。 ホーホー、早く上がってにゃん!」
「はいはい、ニャン蜜さん。 でもそんなこと言われましても、女の子でもさすがにお2人は重いでございますよ」
ホーホーはニャン蜜とクーポンをぶら下げながら、苦しそうに空へ上がって行った。
「八ニャン士の皆んにゃも、早く八チョウ士の上に乗って空を飛んで逃げるんにゃあ!」
ニャン丸はイーグに、ニャン助はホクに、ニャン吉はクロに素早く乗った。
「ニャン助ぇ、お前お得意の『煙トンの術』で、ここから逃げるんにゃあ!」
「ようしん、俺の新作である煙玉『ブルーファイヤー』をくらえ〜ん!」
ニャン助は八ケロ士に向かってブルーファイヤーを投げると、激しい煙りが立ち上がった。
そのブルーファイヤーを受けた八ケロ士は、激しい煙りでバタバタと走り回っていた。
「ケロケーロ? ケロケーロ?」
うまくクーポンを脱出できた八ニャン士と八チョウ士は、笑いながら空を飛んでいた。
「へっへっへ、私の策をみくびるにゃあ!」
「ヘッ、やったぜぇ! ニャン助の忍術が初めて役に立ったぜ!」
「うるさいよん、ニャン丸! 逃げるは恥だが役に立つんだよん!」
「ニャン助くん、あのブルーファイヤーって何なの? 僕はずっと目が痛いんだけど」
「カッカッカ! 俺はちょっと怖かったカー! こんなヤツらと戦うのはもういやカー!」
「ちっくしょう、ワシぁまだ暴れ足りんちや! おまんもそう思うやろ、イーグ!」
「ほんまやで、ホク。 この暴れ鳥のイーグ様が逃げ出すやなんて、腹わた煮えくり返るわ!」
「まあまあ、とりあえずクーポンさんを救出できたんだからいいじゃありませんか。 イーグとホク、今回はこれくらいにしておきなさい」
「へ〜い」
クロと同じく、暴れ鳥のイーグとホクもホーホーに弱い。
こうして八ニャン士と八チョウ士は夜空に消え、里見村へと帰って行った。
クーポンが牢屋から脱走したと八ケロ士から報告を聞いた春花は、怒りながら壁を蹴っていた。
「八ケロ士、これは一体どういうことだっ!」
「ケロ!」
「敵のアイツらから夜襲をかけられているのに、なぜすぐに私や八ポン士を呼ばないのだっ!」
「ケロケロ!」
「ダメだ、ケロじゃ分からん。 ガンポン、コイツらは何んと言っているのだ?」
「ケロケロケロ!」
「はっ! 八ケロ士たちが申しているのは、私たちはとてもお腹が空いてるのでハエが欲しいとのことです」
春花 コケる。
「も、もういい! 大和田八ポン士よ、夜が明けたら里見村に総攻撃するぞ!」
「すると、春花様!」
そして春花は剣を高く掲げながら大声で叫んだ。
「東野郡大戦争だぁ!」
夜が明ける頃、東野川の河原にいる八ニャン士と伏夜は、ニャン助とクーポンの2人を船で逃がそうとしていた。
ニャン蜜は大和田村から逃げたクーポンの手を握る。
「たぶん今日中に、逃げたクーポンちゃんを捕まえに八ポン士と八ケロ士が里見村にやって来ると思うにゃ。 だからこの戦いが終わるまで、2人はできるだけ遠くへ逃げてにゃ」
「ニャン蜜さん、助けてくれてありがとポンです」
八ニャン士はニャン助とクーポンを囲みながら、うまく逃げれるように激励をおくった。
「ニャン助とクーポン、気をつけて逃げてね!」
「ニャン助くんとクーポンちゃん、また会いましょう。 僕は早く家に帰りたいです」
「ヘッ、おいニャン助、しっかりクーポンのことを守るんだぞ! もしもの時は、お前のお得意の忍術で逃げるんだぞ!」
「クーポンちゃんは可愛いからさぁ、無事に里見村に戻ってきたら僕のファンクラブに入ってねぇ」
「ガッハッハ! ニャン助はスケベっすからな、これから他の女には手を出すなっすよ! ああ腹減った!」
バギーン!
気の短いニャン子の激しい飛び蹴りで、ニャン平は遠くに飛んで行った。
「ったく、このべらぼうめっ! 今1番いいところなんだから、少しは空気を読みなっ!」
最後に伏夜がニャン助とクーポンの手を握りながら別れを言った。
「ニャン助くんとクーポンちゃん。 この戦いが終わったら、またここで会おうね。 皆んな待ってるからね」
「伏夜様、八ニャン士の皆んなん。 本当にありがとうん!」
「伏夜様、八ニャン士ポンの皆様。 いろいろありがとポンでございます。 ご恩ポンは一生忘れないポンです」
こうしてニャン助とクーポンは船に乗り、東野川を下りながら里見村を離れて行った。
「ありがとうん! さようならん!」
無事クーポンを救出できた八ニャン士と八チョウ士。
でも怒り狂った春花は八ポン士と八ケロ士を引き連れて、里見村と戦争をしにやって来ます!
逃げるは恥と言いますが、たまにはニャン助の忍術も役に立つみたいですね。
次回「戦の巻」をお送りします。
いよいよ『東野郡大戦争』が勃発!
伏夜と八ニャン士、そして里見村の運命やいかに!
お楽しみニャン!




