第8話 仲の巻
里見村は由美村と同盟を組み、鳥剣士の由美八チョウ士は仲間になった。
一方大和田村では春花がクーポンの行動に激怒し、牢屋へ入れてしまった。
そして春花を怒らせてしまったクーポンは、明日には処刑することになってしまった。
自分がとった行動を反省し八ニャン士を脱退したニャン助は、東野川の河原で愛するクーポンのことを想っていた。
落ち込んでいるニャン助がポチャンポチャンと川に石を投げていると、大和田村から東野橋を慌てて渡る3匹の忍び猫を見かける。
「おい忍び猫! そんなに慌ててどうしたんだいん?」
「ニャン助さん、今から軍師のニャン蜜さんに報告に行くのですニャンニャン」
「そんなに慌ててん、何の報告なのん?」
「ニャン助さんは八ニャン士なので言っても大丈夫ですが、大和田村の女忍者クーポンが裏切りを理由に牢屋に入れられましたニャンニャン。 そして明日には処刑されるそうですニャンニャン」
「え、クーポンが裏切りだとん? そして明日に処刑だとん?」
「はい、だから今からそのことをニャン蜜さんに報告する為に急いでいるのですニャンニャン」
それを聞いたニャン助はしばらく考え、その忍び猫の肩をたたいた。
「おい忍び猫、ニャン蜜ちゃんや猫上様には報告はしなくていいよん。 そのクーポンの件は、俺が全て引き受けたん!」
「ええ、ダメですよニャンニャン。 ニャン助さんに話したとがバレたら、僕たちが叱られますニャンニャン」
「大丈夫だよん、俺だって君たちと同じ忍び猫の端くれなんだからなん。 それとん、クーポンが処刑になることは八ニャン士の皆んなには絶対内緒だよん!」
ニャン助はそう言いながら、河原にある忍術の小屋まで慌てて走った。
ちなみにニャン助は『忍び猫認証試験』に合格してないので、正しくは忍び猫ではない。『忍び猫のニャン助』というのは、あくまで自称である。
その頃大和田村の少々寺では、戦いに向けて八ポン士がそれぞれ技の訓練をしていた。
剣の達人のユズポンと長槍の達人のデコポンは、お互い剣と槍を激突していた。
「えい! とう! デコポンの長槍は、ますます威力が増したでござるな」
「ヘッ、ワレの剣も早うなったのう。 あんな八ニャン士のインチキ剣なんぞ、ワシらには屁でもないわっ!」
カンフーの達人のチャンポンは、素早い足蹴りと手刀で木の枝をバキッバキッと折っていた。
「わたしのカンフー 無敵あるね。 あの花魁のネコババァ やるの楽しみね」
マジックの達人のスッポンは、鋭い刃のようなトランプを何枚も投げて壁に刺していた。
「ミーのトランプはベリーグッドね。 あのブサイクキャットは、いっぱいクライしちゃうね」
怪力狸のガチャポンは、大きな鉄の棒を振り回して岩をバン!と割っていた。
「ガッハッハ、俺様の怪力が有り余っているぜってか。 はぁ眠い眠い!」
2丁の機関銃を持つウエポンは、狂ったように乱射して多くの花瓶を割っていた。
「ウヘヘヘ! 機関銃じゃあ物足りねぇから、手榴弾でも持って行くか! ウヘヘヘ!」
ケロ語を話せるガンポンは、武装した八ケロ士に武器の指導をしていた。
「勇敢な戦士の八ケロ士よ、思う存分暴れるがいい!」
「ケッケッケロ?」
「なに、ご褒美が欲しいだと? よし、お前たちには特別に最高級の『キイロショウジョウバエ』をプレゼントしてやろうではないかっ!」
「ケッケーロ! ケッケーロ!(喜び)」
八ポン士の激しい訓練を見ていた春花は、腕を組みながらご機嫌だった。
「ハッハッハ、戦いに向けて皆んな気合いが入ってきたではないか! これならあの猫どもに勝てるぞ!」
すると八ポン士と八ケロ士が一列に並び春花の前に膝をつくと、軍師のガンポンが立って一礼する。
「忍び狸の報告によると、里見村軍はどうやら由美村と同盟を組んだとのことです」
「由美村といえば、あの目障りな鳥たちか? 我々は大丈夫か、ガンポン」
「フッフッフ、ご安心下さい春花様。 それくらいは私の頭の中では想定内のことでございます。 あの目障りな鳥どもは、勇敢なこの八ケロ士にお任せ下さい」
「ハッハッハ、ガンポンよく言った! そして頼りにしてるぞ、八ケロ士よ!」
シーン
「ったく、まだ私の声がケロちゃんには届かんのか?」
すると、今度はユズポンとガチャポンが立って一礼する。
「春花様、お願いしたき儀がございます!」
「我々は今7人しかおりませんので、仲間であるクーポンのことをお許しいただけないでしょうかってか?」
それを聞いた春花は急に鬼の形相になり、ユズポンとガチャポンをおもいっきり蹴った。
「まだそんなことを言っているのかバカ者! クーポンはこの私に嘘をついたのだ。 よいか、私に刃向かう者は誰でも処刑する。 分かったか!」
春花のその迫力に八ポン士は怯えながら下を向いた。
「ははっ!」
忍びの小屋から出てきたニャン助は『水トンの術』をする為に、ハチマキにタスキがけをしながら赤いふんどし姿になっていた。そしてニャン助の頭の上には、あらゆる忍術の道具をのせている。
ニャン助は東野川の向こう側に見える大和田村を睨みつけ、顔を叩いて気合いを入れた。
「クーポンちゃん、今から助けに行くからなん!」
そしてニャン助が竹筒を口にくわえ川に飛び込もうとすると、誰かに首をつかまれ高く持ち上げられた。
「だ、誰だん? 俺の首を掴むのはん?」
ニャン助の首を捕まえたのは体の大きいニャン平で、その後ろには八ニャン士と伏夜が並んでいた。
「おい、ニャン助! 恥ずかしい赤いふんどし姿でこの冷たい川に飛び込もうとして、貴様は何をやってんすか? ああ腹減った!」
「ニャン平! 皆んなん!」
ニャン助のその赤フン姿を見た八ニャン士は、呆れた顔をしながら微笑んだ。
「まったく〜、お前さんは。 そんな汚い赤フン姿になって、どうしようもないニャンスケベだね〜」
「ニャン助くん、そんな1人で大和田村に行かないでさぁ、ケンカはお金で解決しようよ!」
「ぼ、僕は家に早く帰りたいけど、ニャン助くんを連れて帰るよ」
「さぁニャン助、一緒に里見山神社に帰るにゃん。 これから『クーポン救出作戦』を実行するにゃん!」
「ケッ、俺はオメェのことを全然許してねえからなっ! さっさと川を泳いで大和田村へ行きやがれ!」
「フフフ。 そんな風にイキがってるけど、1番最初に『ニャン助を八ニャン士に連れ戻す』って叫んでいたのはニャン丸だけどね」
「ケッ、うるせえニャン太郎! オメェはいちいち余計なこと言うんじゃねえ!」
そして伏夜が前に出て、ニャン助の手を握りながら微笑んだ。
「ニャン助が1人でクーポンちゃんを救出に行くって、あの忍び猫が慌てて私たちに伝えたのよ。 だから皆んなと一緒にクーポンちゃんを救出に行こっ!」
伏夜と八ニャン士に囲まれたニャン助は、泣きながら頭を下げた。
「伏夜様、八ニャン士の皆んなん! ありがとん、ありがとん!」
「ニャン助、さぁ里見神社に帰ろ!」
いつまでも泣いているニャン助を、伏夜は優しく抱きしめた。
それから伏夜と八ニャン士が笑いながら神社に帰って来ると、里見神社でずっと待機していた八チョウ士はイライラしていた。
「八チョウ士、わりぃわりぃ! イーグ、待たせたな!」
「遅いねん、ニャン丸! 俺が気短なんは知っとるやろ!」
「イーグ、静かにしなさい。 ではニャン蜜さん、早速作戦をお話し下さい」
八チョウ士の軍師ホーホーに叱られてふてくされるイーグ。
ニャン蜜は東野郡の地図をテーブルに広げて、これからの作戦について語り始めた。
「よし、今から『クーポン救出作戦』を実行するにゃん!」
「ちくと待ちや、八ニャン士軍師のネェちゃん。 そのクーポンっちゅうがは誰のことぜよ?」
「ホク、八ポン士のクーポンのことは後で話しするにゃ。 このクーポンを大和田村から救出する作戦には、どうしても八チョウ士の協力が必要にゃん」
「おやおや、私たち八チョウ士の協力ザマスか?」
「うん、ペリーそうだにゃん。 ホーホー、私たちを乗せて自由に飛べる鳥は4人くらいいるかにゃ?」
「そうですねぇ。 イーグとホクは大丈夫で、それにギリギリでクロと私くらいでしょうか」
「よし! 申し訳にゃいんだけど、私たちを乗せて大和田村まで飛んでくれにゃいかにゃ?」
すると、なぜかやる気マンマンのニャン平が大笑いする。
「ガッハッハ、それじゃあ怪力猫の俺様が大和田村に行って狸どもをやっつけるっすよ! ああ腹減った!」
「カッカッカ! 体の大きいお前なんカー、重くて持てないカー!」
「残念にゃがら、体が重くて声が大きいニャン平じゃにゃいにゃん。 八チョウ士が乗せる4人は、ニャン助・ニャン丸・ニャン吉、それと私にゃん!」
ニャン平 少しいじける。
「ミッチー、声が大きいのは俺のチャームポイントなんすよ。 トホホ」
ニャン蜜は再び地図に指をさしながら、クーポンを救出する為の作戦を説明する。
「作戦はこうにゃん。 まず足の速いニャン吉が空から降りて、素早くクーポンがいる牢屋を探すにゃん」
「ふむふむ!」
八ニャン士と八チョウ士 珍しく真剣。
「ニャン吉が牢屋が見つけたら、ニャン助とニャン丸が空から降りるにゃん。 その時に敵が来たにゃらニャン丸は八ニャン剣で倒し、ニャン助お得意の忍術で逃げるにゃん」
「ほうほう!」
「あとはその状況に合わせて、私とホーホーが空の上からいろいろ支持するにゃん!」
その作戦を聞いた八ニャン士と八チョウ士はスタンディングオベーションした。
「おお、さすがミッチー! やっとこの物語が盛り上がってきた!」
「だから八チョウ士までミッチーっていうにゃあ! あとにゃんの物語だにゃあ!」
その作戦を聞いた短気のイーグとホクが、ニャン蜜を問い詰める。
「ちょい待てや、べっぴん軍師ちゃん! 暴れ鳥の俺らが、お前らを運ぶだけで終わりなんか?」
「ハッハッハ! ワシらが空の上から戦いを見よったら、すぐゆ暴れとうなるかもしれんぜよ!
「いや、ダメにゃん! これから大和田村と戦いが始まるからにゃ、にゃるべく八チョウ士にはケガをさせたくにゃいんだにゃ」
「イーグとホク、今回はニャン蜜さんの言う通りにしなさい。 お前たちは余計な争いをしてはいけませんよ」
「へ〜い!」
八チョウ士軍師のホーホーには、なぜか頭が上がらない暴れ鳥のイーグとホクであった。
すると、今度は作戦を聞いていたニャン太郎もニャン蜜に問い詰めた。
「ちょっと待ってよ、ニャン蜜ちゃん! 僕もクーポンちゃんを助けに行くよ。 ニャン丸と2人で八ニャン剣でやっつけたら・・・」
それを聞いたニャン蜜は、珍しくニャン太郎の顔をジロリと睨む。
「ダメにゃん! ニャン太郎だけは絶対ダーメーにゃ〜ん!」
「へ? にゃんで?」
「私たちにもしものことがあったにゃら、誰が伏夜様をお守りするにゃあ! その時は八ニャン士リーダーであるニャン太郎しかにゃいにゃあ!」
ニャン蜜の叫び声に静まる八ニャン士。
「軍師はにゃ、戦いで1番最悪のことも考えないといけにゃいにゃ! それが軍師の勤めにゃのにゃあ!」
「はい、分かりました。 ニャン蜜ちゃんに怒られちゃった」
ニャン蜜の言葉を聞いたニャン丸とニャン吉は、抱き合いながら震える。
「あのぉ、軍師のニャン蜜ちゃん? 『1番最悪のこと』ってにゃんですか? 僕たち嫌にゃんですけど」
そしてニャン蜜はイスから立ち上がり、大和田村の方へ向かって指をさした。
「里見由美村連合軍! 明日ににゃったらクーポンは処刑されてしまうから、今夜中に『クーポン救出作戦』を実行するにゃあ!」
「おおっ! って、だからクーポンって誰やねん?」
それからイーグにはニャン丸、ホクにはニャン助、ホーホーにはニャン蜜、クロにはニャン吉が背中に乗った。
ホーホーの上に乗ったニャン蜜は八ニャン剣を高く掲げ、前に向かって振り下ろした。
「それじゃあ里見由美村連合軍、大和田村に向かって突撃にゃあ!」
こうして八ポン士のクーポンを救出する為に、里見由美連合軍は大和田村へ飛んで行った。
いつもはバラバラな八ニャン士だけど、なんだかんだ仲良しでよかったね、ニャン助くん!
そしていよいよニャン蜜ちゃんの策による『クーポン救出作戦』が始まりましたよ。
でもあの大和田村の八ポン士と八ケロ士が強くなっているのも、ちょっと気になりますけどね。
次回「逃の巻」をお送りします。
はたしてニャン助たちはクーポンを救出することができるのか?
お楽しみニャン!




