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年越しは難しいと思っていたけれど…よく頑張りました

 入所した時、ご家族から聞いたのは

「とても話好きの母でした。それが、姉の死を機に、ほぼ話をしなくなりました。母の姉は、この夏の暑さで熱中症をおこしていたのだと思います。それなのに、たいしたことないと旦那さんが受診させずに、朝亡くなっていたそうです。母は、同じ頃やはり熱中症の症状が出て、私が受診させて入院。幸い回復しました。自分だけが生き残ったことに対して、なんか辛くなったのでしょうか、話をしなくなりました。認知症ではないと思います」

 高齢者の鬱?でもね、認知症も進行していたと思います。


 入所時、サマリーに「全身の発疹は、○○をお塗布してほぼ完治」って書いてあったのですが、入所して家族に聞き取りをしている間、トイレ誘導した介護員さんから悲鳴が

「ちょっと来て~すごいんだけど~体中湿疹。ボリボリかきむしっているよ!」

 あ、これって、疥癬じゃない?

 あの老健、疥癬の患者さん多いんだよね、前来た人もそうだったし…

 で、そのまま、家族付き添いで皮膚科受診してもらい、疥癬の診断を受け、老健に連絡

「うちでは今、隔離する部屋がありません」

そのまま、老健に引き取ってもらいました。

 そして、薬物治療を終えて、再入所。その時、ご家族は皮膚科の再診に付き添ってくれると言ったのに、言ったのに~~~

「あ、仕事が忙しいので行けません、そちらでお願いします」

コロナの時期で在宅勤務、家は施設のすぐそば…それなのに

「日にちは変えられますけれど」

「平日は無理です」

結局、看護師付き添いで行きました。


 その後も、面会に来てはくれなかったような…家、すぐそばだけど…


 いつもベッドの同じ側の柵を掴んで、うつろな目をしていました。食べることにも意欲がなく、促してやっとスプーンを動かす…それも、この一年スプーンを持とうともしなくなりました。介助すると口は開けてくれるのですが、飲み込みも悪くなり

「年を越せないかもね」

で、ご家族に連絡をしました。

「食事量がガタンと減ってきています。飲み込むのもそろそろ難しくなってきています、面会に来ていただけませんでしょうか?」

「あ、そうですか、今忙しいんですけど」

 電話連絡した看護師は

「何なの!自分の親だよね!関心ないの?忙しいのに、余計な話するなオーラ出しちゃってさ…来るのに10分かからないのに…それも出来ないほどに忙しいってどういうこと?」

 

 今年に入り、三食の介助は難しい(飲み込むのに時間がかかるので、片手間?に食介されると誤嚥してしまう)ということで、、朝は起こさずに栄養プリンと水分ゼリーとしました。

 そして、昼も夜も、栄養プリンだけとなり、栄養士さんからも家族に連絡、それでも面会に来てくれませんでした。

 そして、全く飲み込めなくなり、絶飲食に…


 「食べることが全くできなくなった」これの意味することはご家族も理解できたようで、面会に来てくれる運びとなりました。


 その頃は、骨と皮…人間ここまで瘦せられるんだって身体になっていました。目は開けているのですが、光がないと言うか。、視線を動かず感じがない。お人形のような…


 看護師は18時半で帰ることを伝えると、17時に来てくれました。ホントは、そこまで持つのか、ちょっと心配なほどでした。


 変わり果てた姿、さぞやびっくりされると思っていたのですが、意外と動揺することなく…


「前に保険の関係で面会に来たのですが、全く話をしないし~来ても仕方がないというか、来る必要がないと思ったんです」

 相談員さん曰く

「月に一回、入所料を納めに来る時も、大急ぎで帰っていく。「面会なさいませんか?」なんて聞く間もありゃしない」


「いつも、ベッドの柵をしっかりと握っていらっしゃいました」

と、布団から手を出して、ご家族に手をつないでもらいました。しっかりと、ご家族の手を握り…

「あ…」

虚ろな瞳に光が差す…そんな瞬間でした。


 時々静養室の様子を見に行き、近況を伝え…

「声をかけてあげてください、聞こえると思いますよ」

と、でも、話し声は聞かれません。

 結局、一時間半、ただ傍に佇み、いよいよ帰るという時、戻されていた手が、布団から、ご家族に伸びました。自分から、ご家族に触れようとしたのです。家族だと分かっていた、面会に来てくれたことを分かっていた。そう、待っていたんですよね、ずっと…


「明日朝、早く来るからね、それまで、ちゃんと寝ていてね、明日はお風呂に入ろうね、綺麗になろうね、ご家族も又、明日来てくれるよ」


 朝、かなり呼吸が浅くなっていましたが、足にチアノーゼも出ておらず。午前中一番でサッとお風呂に入り、歯科往診の日だったので、念入りに口腔ケアをしてもらい、嘱託医の往診日だったので「よく頑張ったね」と声をかけてもらい…早番の私が帰る時も、穏やかな表情で…

 18時にご家族が来て、その時は息があったそうです。看護師が18時15分、静養室に行くと、魂が抜けたような…呼吸停止、傍に座っていたご家族は気が付かなかったようです。


 面会を待っていたんです。暮れに亡くなっていてもおかしくない状態でした。


 ご家族が面会に来ても、もうわからない人、沢山います。息子さんの事を「お兄さん」と言う人とか、そもそも言葉を発しなくなってしまった人、目も開けなくなってしまった人…

 そんな親を見るのは辛いと思います。でも、会いに来て欲しい、声をかけてあげて欲しいです。


 今、胃瘻の方が、難しい状況です。栄養を吸収出来ないのか、うっぷうっぷしていて…

 そもそも入所した時から、起きている時は息を止めるような呼吸です。息を止めて、無理になると「プファ~」と息を吐く、その繰り返し。

「生きていたくないのかな?絶対息を止めているよね…」

聞きたくても、言葉がでません、首を振ることも、手を動かすことも出来ません。

 最近は胃瘻をつなげると胃から逆流してしまいます。消化されていません。

 胃瘻交換の時だけ、旦那さんが付き添ってくれますが、面会には来てくれません。お子さんが数人いるのに、一度も来てくれません。

「お母さん、まだ生きていますよ~~~」そう言いたい!

 朝、胃瘻を繋げる時

「おはよう」

と言うと、目を覚まされます。聞こえているんです。それなのに

「お子さん来ないね~」

なんて、耳元で言っちゃった…残酷な…

どんな気持ちで日々を過ごしているのか?願わくは、もう、何も考えられないくらいに認知症進んでいるといいのですが…


 「生きている」それは、素晴らしいことですが、「どんな状態で生きているか」「生きていることを喜んでもらえているか」それもまた大切だと思います。

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