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今旬の「絶賛困ったちゃん」

 確かに、面接の時「ん?」って思いました。


 独居の一部屋しかないマンション、ケアマネさん同席で面接。

 玄関扉横の水道や電気の計器がある所から鍵を取り出しながら、ケアマネさんが

「まったく、物取られ妄想が酷過ぎで、私は関わりたくないんですよね!本人が一人暮らしに不安が出てきたというので、サッサと施設に入った方がいいと思います!」

 滅茶苦茶嫌われているオーラ…

 部屋に入ると、「うっ」ってぐらいの樟脳?服の防虫剤の臭いでした。

「あ、これ、うちの入所者さんで、物取られ妄想が激しい人の居室と同じ臭い!」


 車椅子への移乗は自分で出来るし、食事も自分で食べられる。トイレでの排泄も自分で出来る。耳は遠いけれど、補聴器自己管理出来ている…お断りする理由が見当たらない…「やな感じ」だけでは何とも…


 その時、ケアマネさんに本人が

「脚の補装具を新しくできるはずなのに、手続きはどうなっているのか?これじゃあ困るのよね!」

と言っていました。ケアマネさん曰く、「手続きを進めています」だったので、入所する前にお願いしますとお伝えしたのですが…やってくれていませんでした。

 入所時に、そこの所をあやふやにしたまま、本人の荷物も勝手に捨ててしまったようで

「私の顔用に小さなマスクを買っていたんだけど、「そんなの、施設にあります!」って捨てられたの。出して頂戴!」と…

 え~と、大人用しかありません。


 新しい補装具を作ってもらうために、今まで受診していた整形受診の予約を取り、行ってみると

「役所の手続きが必要です」

と、そこで断られ、手続きを。で、その書類を持って再度受診。再診の日に新しい装具を取りに行くと

「前回の時、本人が頑なに採寸を拒否したので、作れませんでした」

「え?」

「じゃあ今日の受診は?」

気分なんです。欲しいと言ったり要らないと言ったり…


 そんなこんなで、何度も相談員さんが病院に(結構遠い)通って、結局一年がかりで新しい装具が出来ました。両脚、膝上まで何本ものテープ止め…その装着自分で出来ると言っていたのに「やって」になり、車椅子に移乗するたびに付け直さなければなりません、は~


 装具が合っているのかの再診が予定されていたのですが、本人が

「この足は、病院になんか行っても治らないんだから、もう行かない!」

ということで、キャンセルしました。


 色々と欲しいものを書いて、職員に渡します。


 だいたいは、面会に来てくれた入所者さんのご家族が持ってきたものです。

 鳩サブレ、茹で卵、カップ麵、アイス、プリン、アメ、お煎餅等々書く連ねて…

 入所した時、あまりにも皮膚の色がグレーだったので、血液検査の結果はそれほど悪くなかったのですが、嘱託医に相談したところ

「おやつの塩分ぐらい控えた方がいいかもね」

となりました。そんなこともあり、お煎餅は、一日おきに、昆布茶は二日おきとか、本人と相談しながら担当の介護員さんが考えて、制限がかかりました。それも、気に入らなかったのか

「私は意地悪されている、食べたい物を買ってもらえない!」

と、職員を呼んでは泣き出します。この訴え一回捕まると長い…

 そこで、血液検査をしてもらい、そこまで塩分制限をしなくても大丈夫と介護員さん達に伝えました。でもね~既に要求が多く、コール頻回で、話が長く、泣いたり怒鳴ったりで…みんなイライラが募っていたから

「決めたことなので、このままで」

と、言われてしまいました。

 なんとか、妥協点をと、「みんなと同じように二週に一回通販でおやつ二個頼む」と決まりました。

 今はお煎餅食べ放題です。


 とにかく、コールが多く、物取られ妄想も烈しくなってきて、「どうにもこうにもやっていられない!」と、介護員さんから訴えられて、嘱託医に相談。

「夜眠らずに、コール頻回。こないだは自分の腕にボールペンを突き刺して「死にたいのに、血が出ない~~」と、泣き叫んでいました」

と、伝え、眠前薬と少し気持ちを穏やかにする薬が処方されました。


 何日かは、眠ってくれて、朝ご飯の時、すっきりした顔だったのですが、その内に

「看護師がこんな薬を飲ませるから、気持ちが悪くなったし、めまいがする、起きていたいのに眠くて食事も食べれない!私を殺そうとしている!飲みたくない!」

と、拒否されるようになりました。先生に会いたいと言われたので往診日に医務室にお連れし、どんな状態かを、話してもらうことに

「今、困っている症状は何ですか?」

「どこも悪くありません。薬が多いので、元気が無くなって来たように思います」

「では、薬を減らしてみましょうね」

「はい、お願いします」

で、薬を減量。とりあえず、めまいや食欲不振を副作用としてあげている薬を抜きました。


 今度は「痛み止めが入っていない!」と…

「あの薬は、強い薬なので、食欲不振とめまいがおきますよ」

そう伝えるも、納得されず…全て再開することに。

 処方箋を見せて、ちゃんと説明しているのですが、自分で選り好みをして飲んでいます。飲まない薬の中には、泌尿器科から処方された薬も。なのですが、

「整形外科と泌尿器科に行きたい。イトーヨーカ堂と○○に行きたい。○○の眼鏡屋に行きたい」

と紙に書いて職員に渡してきます。

「あのね、泌尿器科から出ている薬、あなた飲まないでしょ、整形外科は、せっかく予約を取ったに「行っても足が良くならないから行きたくない!」って言うから、キャンセルしましたよね、もう、行けません」

「え~~私がそんなこと言うはずないでしょ!なんで行かせてくれないの?」

は~~~


 最近は通販の雑誌を見ては相談員を呼び出し

「これを買って」

で、届くと

「こんなものを頼んでいない!これは違う!捨てて頂戴!」


 車椅子にかかっていたカーデガンのボタンが締まっているのを見て

「誰かが触った、こんなもの捨てて頂戴!」


「○○さんに、電話したい」

で、その番号にかけると「ただいまこの番号は使われていません」これも、納得されません。


 先日は、介護員さんと大バトル

「あなたが、私のズボンのポケットからビニール袋を取ったでしょ!」

「私は取っていません。見てもいません」

「あなたに決まっている!なんでそんなウソを言うの?ないんだから!返しなさい!噓つき!」

「だから~そんな物、見たこともないし、私は人の物を取ったりしません、噓をついているなんて言わないでください!」

「あなたでしょ!わかっているんだから!ぎゃ~~~」


「このジュースに毒を入れたんでしょ!こんなもの飲めません!」

え~と、パックのジュースにストローを差して渡したら、ダメだったようです。


「マスクに粉が振りかけてある、私を殺す気なんでしょ!」

あれ?死にたいは、どこへ行ったのでしょうか?


 部屋からコールがあると、行かざるおえないし、ホールに座っている時に「すみませ~ん」と言われると傍に行かざるおえない。

 みんな、厭々対応しています。言葉にも、そこんところ出てしまいます。


 元々の性格もあるだろうし、育ってきた環境もあるだろうし、そう簡単に変われないとは思います。でも、このままでは、双方辛い…

 二年ほど前に入所された方もちょっとこんな感じだったのですが、今では落着いています。それは、めげずに声掛けをして、好きなことを聞き出し、褒めて…毎日塗り絵にいそしんでいます。お花も好きだということで、彼女のテーブルに盛花から少し取って飾っています。

「○○さんならば、喜んでもらえると思って」と…良い笑顔です。


 何かないかしら?


 思うんですけれども、やることがないと、不満しか頭に浮かばなくなる。不満ばかり言っていると、みんなから嫌われる。本人も嫌われることを望んでいるわけじゃないのにね…


 「心の健康」これが、一番大事かな?


 明日からも、この「絶賛困ったちゃん」に関わらなければならない…


 今、施設では「絶賛インフルエンザA型増殖中」なんですけれど…ああ~~~


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