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<EP_035> 木春菊の花言葉

ジェイムズとターニャが結婚して一年が経った頃、娘が生まれた。

ジェイムズは彼女にマーガレットと名付けた。

昼間は娘マーガレットを抱き、ターニャと笑い合いながら質素な生活を送っていく。

マーガレットはお転婆でジェイムズやターニャと共に野を駆け回るのが好きな娘だった。

やがて、マーガレットは美しい娘へと成長し、ジェイムズたちの元を離れ、街で生活するようになる。

ジェイムズとターニャは娘がいなくなり、少し広くなったログハウスで慎ましく暮らしていた。


「お父さん、紹介したい人がいるの」

ある日、マーガレットが若い騎士を連れてログハウスを尋ねてきた。

騎士を見るなり、ジェイムズは思わず立ち上がってしまう。

「初めまして。俺、トンマって言います」

「トンマくん……キミのお父上は……」

バーカスに良く似たトンマに、声を詰まらせながら、ジェイムズは言葉を絞り出す。

「……俺の親父は近衛騎士団長のバーカスです」

「やはりな……お母様は聖女マリア様だね。ご両親は息災か?」

「はい……あの両親と知り合いでいらっしゃいましたか?」

「いや、街中で見かけただけさ」

ジェイムズは椅子に腰掛ける、二人へ座るように促した。


座った瞬間に、トンマはテーブルに額を叩きつける勢いで頭を下げてくる。

「ジェイムズさん!マーガレット、お嬢さんを俺に下さい!」

あまりの大きな声にテーブルが揺れ、お茶を持ってきたターニャが目を丸くした。

(やれやれ……猪突猛進なのは親父似なのかな)

頭を下げたまま動かないでいるトンマを見て、頬が緩んでしまう。

「お父さん、お願い。いいでしょ?」

その隣ではマーガレットが泣き出しそうな勢いで懇願してくる。

「トンマくん。不出来な娘だが、よろしく頼む」

ジェイムズがトンマの肩に手を置くとトンマは顔を上げ、マーガレットと抱き合う。

ジェイムズが見上げると、ターニャも嬉しそうに二人を見ていた。


近衛騎士団長の息子の結婚式ということで、来賓に女王に即位したアリスも出席していた。

久しぶりに見るアリスは美しさと気品を兼ね備えていた。

アリスは夫である重臣とともにトンマとマーガレットを祝福しており、傍らには、まだ幼いサイ王子とサリス王女が付き添っていた。

二人の結婚を優しく見守るバーカスとマリアの姿、トンマとマーガレットの笑顔に、ジェイムズはようやく贖罪が終わったような気持ちになった。


この頃から、ジェイムズは家族が寝静まったのを見計らって、かつて魔王城があったところに、地面を掘ってマグマ溜まりを見つけると反物質爆弾を生成していく。

作った反物質爆弾は次元空間(ディメンジョン・ポケット)の魔法により作った体内空間に少しずつ溜め込み続けた。


孫も生まれた。


……時が流れた。

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